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Wunderbarな日々

妻子連れ30代生物系ポスドクのドイツ滞在記です。

学生実習

前の会話の続き。

「あとさ、学生実習やらなきゃいけないんだけど、担当してくれる?」

「僕がですか?」

「クローニングと、イメージングで3週間。学生は一人。こうして、ああすればちょうどいいんじゃないか?」

「こうはいいですけど、その「ああ」はまだやったことないんですが。。。」

「ああ、そんなに難しくないよ、ラボメンバーに聞いてくれればみんな教えてくれるよ。」

「はぁ。。。まあ、そういうことでしたら頑張ります。頑張ってみます。」

「3週間に収まるようにちょっとプラン考えてみて。」

「はい。。。ではまた来週ご相談ということで。。。」

ということで、もう一つ野暮用です。同年代の研究者でも論文どんどん出してる人いるのになぁ…こんなことやってる場合じゃない気もするけど…。まぁ、何事も経験ということで。

 

修士課程1年生用のコースで、受講者は4人。実習のテーマは「クローニングとイメージング」で、4つのラボが1人ずつ受け持つようです。一緒にやりゃいいのになあ、、、不思議。期間は3週間。なのである程度自由度はありそうです。せっかくなので、クローニングした蛍光たんぱく質付コンストラクトを発現させて顕微鏡で観察するということにしました。

始まる前に学生を一度呼び出して打ち合わせ。内容はほとんど学部生の時にやったことあるとのこと、、、おいおい。なんでこれを選んだんだ?実習中の3週間はずっと朝の一限目が講義のようで、10時ころから毎日ラボに来れるのだそうです。クローニングに使うプライマーの設計をやらせてみるもののいろいろ怪しい様子。音を上げずにずっと考え込んでるのはえらいっちゃえらいけど。。。少し手ほどきしてぽちっと注文。

その後実習が始まり、無事PCRもうまくいき、実習はスムーズに進みました。評価はレポートとプレゼンの様で、終了から2週間後に学生4人と、指導したポスドク4人と、責任者の教授が出てきて発表会を行いました。教授の方からのちにメールが回ってきて、評価もよろしくーと丸投げ(?)。五段階評価をつけて返信して終了です。

感じたこととしては、、、

 

1.発表がうまい。

日本のM1の平均よりはだいぶ発表が上手な気がします。英語でドギマギしているような人はいなかったし、皆ちゃんとアイコンタクト取りながら身振り手振り交えながら発表になってました。原稿棒読みとか、何しゃべってるか聞こえないとか、スライドを見ても何が言いたいのかわからないとか、そういうのはなかったです。レポートも自分の学生の分しか見せてもらってませんが、実習中のしどろもどろな感じとは打って変わってそれなりにしっかりしたものが出てきました。科学的なところはまあ、そんなこといっちゃっていいのかよみたいな所はいろいろありますが、そういうのはこれから学んでいくのでしょう。論文を書くとか、発表するとかの基本的なところは彼らにとって朝飯前みたいなんだなあと思うと、うらやましい限りですなあ。

 

2.学生が自由。

ほかの人を見てもあまり子弟制度みたく、付きっきりで面倒を見ている人はいなかったので、郷に入っては郷に従えで適当に泳がせました。あるものは勝手に使うし、わからなかったらあたりの人に適当に聞くしと、よく言えば自立してる感じです。勝手しすぎてこっちが肝を冷やすことが何回かありましたが(他人のバッファー、道具を勝手に使うとか、勝手にどっかに物を置くとか)。

 

3.実験が下手

自由な反面、細かいところは誰も教えていないようなので、実験のいろんなところがむちゃくちゃです。ピペットマンはこう持つとこういうとき便利だよとか、この量は大事だけど、こっちは比較的適当でいいよとか、そういうノウハウが、学生さんにちゃんと伝えられていないです。学生の方もドイツ人の気質なのか、「理屈上うまくいく」となれば後は実行するのみの様で、ほかの人を盗み見てどうしたらもっと効率よくできるのかをあまり学ぼうとはしてないようです。ピペットマンがプルプルしてるんだから、座ってやるとか、もう片方の手を添えるとかいろいろあるだろうに、、、混ぜた後に毎回遠心機でまわしてスピンダウンしなくてもいいだろうに、、、お昼ご飯食べる前にそれやらないと帰るの遅くなるのに、、ええ、結局明日に延期しちゃうの?まぁいいけどさあ。。。

 

4.実習がいっぱいある。

こんな感じの実習生がよくラボに出入りしてるので、ラボも扱いがよくわかってる感じです。どうせならラボの研究にも役立つかもしれないような、まだ結果がわからないようなところに踏み込もうとボスに相談したのですが、「ただの実習なんだからそんなに欲張らなくていいよ」とたしなめられました。ただただ無事に一通り実習を終らせてくれればいいという感じです。学生の方もそんな感じで、あまり何かワクワクするようなものを求めているのでもないよう。。。ほかのラボの発表も聞きましたが、ラボの研究を手伝わせただけのようなところもありました。ラボローテンションなどもありますし、サクッと小さいテーマを立てて、ちょっと実験して次に進むみたいなトレーニングをよく積んでいるなという感想です。

日本とは違って、博士課程の研究は枠が限られているようで、学生側もこういった実習での体験を履歴書(CV)に書いて、選抜を勝ち抜かないとありつけないようです。なので卒業するために単位が必要なだけ、というよりは今後の自己アピールのためにも実習が必要な感じです。

 

今回は学生一人しか見てないので、どこまで一般化できるかは怪しいところですが、必要最小限の努力以上はあまりしたくない様子。こんなこともできるよ、あんなこともできるよと紹介しても、「別にいいです。」「やったことあるので大丈夫です」「ほかにもいろいろ忙しいんで。」とほとんど断られました。まあ、そっちがその気なら、こっちから取り立てて詰め込むこともないですが。。。菌が増えるのを待っているだけの日とかはそそくさと帰っていきました。まだやってない実験もあったし、レポートをラボで書くとかしてたらいろいろ相談に乗れなくもないのに。。。時間があればほかのラボメンバーの研究も聞いてみてとも言ってるのですが、結局誰の研究にも興味を持つことはなかったようです。うーーん。まあ、満足してくれたようなので、よしとはしますが。。。