Wunderbarな日々

妻子連れ30代生物系ポスドクのドイツ滞在記です。

フンボルト財団 年会(Jahrestagung der Alexander von Humboldt-Stiftung) 2017 その1

ベルリンで開かれたフンボルト財団の年会に行ってきました。1年に1回の大イベントです。長ったらしい体験記です。

 

0.行く前

2017年度の年会はベルリンで6月28日ー6月30日に開かれます。4月20日にメールで招待が届きました。早速、家族三人で行く旨を、オンライン上で登録します。ドイツ連邦の大統領に会うということで、個人情報なども登録します。

他にはNetworking Guideという項目もあって、これは年会に参加した人の交流を促進するために配布される冊子+PDFに記載されます。写真や研究内容などを記します。

Humboldt Lunchtime Fairというイベントもあり、これはベルリン工科大学(Technische Universität Berlin)内のラボツアーや、キャンパス案内、講演などで、自由参加ですが事前に登録が必要なイベントです。Flying in the SEPHIR-Simulatorというのを申し込みましたが、定員は4-5人だったようで、僕ら家族の申し込み(3人分)でいっぱいになりました。人気のものはすぐに埋まるようですので、早めに登録してよかったです。

年会が水木金の予定だったので、二晩延泊して日曜日まで滞在することにしました。知らされていたHotel Berlinの担当者にメールして聞いてみたのですが、一晩135ユーロになるとの返答。一方、Webサイト(http://www.hotel-berlin.de/en/)から予約すると一晩78.28ユーロだったのでこちらにしました。途中で部屋を変えることもなく滞在することができました

 

ちなみに、年会の前の週ぐらいになって、Humboldt Life (フンボルト財団関係者のSNS)に三つのファイルがアップロードされました。ファイルは公開されており、下記リンクの右側からダウンロードできます。

Alexander von Humboldt-Foundation - 13 - Jahrestagung der Alexander von Humboldt-Stiftung 2017

年会の参加者に関する統計で、一つ目は

Aus welchen Ländern kommen die Teilnehmer der Jahrestagung 2017?で、参加者(研究者)の分野ごとの統計です。

https://www.humboldt-foundation.de/pls/web/docs/text_id_50294359/F-480580356/NeT_Dresden_Statistik_Fachgebiete.pdf

抜粋だけご紹介しますと、総数578人に対し、

農業林業、園芸および獣医   2.59%

生物              8.32%

化学              16.44%

人文系             19.89%

地球科学            6.06%

工学              15.57%

数学              3.64%

医学              7.92%

物理              7.96%

社会・行動科学         11.40%

その他             0.17%

 

二つ目はIn welchen Fachgebieten forschen die Teilnehmer der Jahrestagung 2017?ということで、出身の国・地域に関する統計です。

https://www.humboldt-foundation.de/pls/web/docs/text_id_51466384/F-1954450918/JT_Lander_alle.pdf

アフリカ       9.16%

アジア        37.88%

オセアニア      1.73%

ヨーロッパ      25.77%

中南米        8.81%

北米         16.61%

国別には、79か国と地域から研究者が来ており、

アメリカ(13.15%)、中国(11.59%)、インド(10.55%)、ブラジル(5.36%)、イタリア・スペイン・カナダ(3.46%)、イラン・インドネシア・フランス(3.11%)、、、中略、、、日本(1.90%)となっておりました。フンボルト財団の認知度の問題もあるでしょうが、やっぱり日本人は引きこもり気味ということですかねえ。

最後は今ドイツのどこに滞在しているかというもので、Berlin (21.11%)、München (5.36%)、Hamburg・Freiburg (3.46%)、Mainz (3.29%)、Bonn (3.11%)、Stuttgart (2.60%)、Heidelberg (2.42%)と続きます。外国の研究者から選ばれるような研究が、ドイツ全国各地で行われているのがドイツの特徴でしょうか。

https://www.humboldt-foundation.de/pls/web/docs/F85234756/JT_Orte-alle.pdf

 ほか、フェローシッププログラム獲得者などの統計は下記リンク先にあります。フンボルト財団としてはこれらの統計を通じて、あらゆる国の、あらゆる研究をサポートしてますよということをアピールしたいのでしょうか。

Alexander von Humboldt-Foundation - Statistical Trends

 

ちなみに、日本の学振も外国人特別研究員(一般)のプログラムを行っておりまして、採択率は10%の狭き門で年間で約240名を採用しているようです。フンボルト財団Research fellowshipは採択率約3分の1で年間約500名採用です(Experienced Researcherを含む)。比較すると、人文学(文系)が日本にくる研究者ではわずか5%と、相対的に少ないようです。また、アジアからの割合が54%、ヨーロッパからが29%となっています。まあ、極東の日本語を主とする国の割には、結構人気がある方ではないでしょうか。

採用状況 | 外国人特別研究員|日本学術振興会

 

あれあれ、話がだいぶそれてしまいました。

 

 

1.一日目

フンボルトネクタイにフンボルトバッジをして、フンボルト帽子を息子にかぶらせて早朝に電車で出発です。15:30までにホテルに到着して連絡バスに乗れ、さもなくば直接会場に向かえとのお達しです。車内で同じくフンボルト財団の年会に向かうご家族と出会いました。ハイデルベルクにはMax Planck Institute for Comparative Public Law and International Law というのがあり、法律を学びに結構様々な国から人がやってきているようでした。「あれっ、そのバッジ!フンボルトの方ですか!」と。ホテルについてからももう一人、同じマックスプランクから来ている方と知り合いました。ちなみに、バッジもネクタイも帽子も、会場ではほとんど見かけなかったです。。。ちょっと恥ずかしい。

ところで、今回のICE 374はFamilienbereich座席を予約したのですが、扉が付いた6人掛けの個室の席になりました。予約料金は3人セット(家族)で片道9ユーロです。ユーレイルパスを使いました。座席を予約すると、該当座席のディスプレイに今回だとマンハイムーベルリンと表示されるのですが、この表示がマンハイムを出発してしばらく経つと消えます。DBでは自由席車・指定席者の区別はなく、空いてるところは好きに座っていいことになっていますので、彼らの心としては、発車するときまでは席を押さえてあげるけど、そこから先は自由に席移っていいよということなのでしょう。子供の座席を予約したとはいえ、親のところに来たりなどしてじっと座っているわけではないのでその時座席が空き、それを見ていろんな人が「そこ空いてますか?」と聞いてきます。予約表示も消えているので、そうなりますわな。皆さん子連れで大変そうなので、途中から譲ってあげることになり、6人掛けに子供3人、親5人と大変にぎやかになりました。

途中、レストランでもらえるICEのおもちゃを巡って大紛争が起き、結局みんな一個ずつもらって仲良くなりました。同じくフンボルト財団の方は島田ゆかさん作の『バムとケロのにちようび』の英語版の絵本を持ってきていたので、こちらもと『バムとケロのおかいもの』を読み聞かせてあげました。英語通じてよかった。。。世界中で人気だったんですねえ。ストーリーと関係ないところも細かくいろいろ描かれてるのが大変すばらしいと、母親の方がほめていらっしゃいました。

ICEを降りてからローカル線へ。ローカル線の車内ではアニメから日本語を学んだというロシア人が話しかけてきました。すごく流暢でびっくり。100番バスに乗り継いで、Hotel Berlinへホテルに着いてまずはフンボルト財団のRegistration。ホテルのロビーの大部屋ではリフレッシュメントでパンやらフルーツやら飲み物やらが提供されていました。こういうサービスはうれしい。長旅の疲れが癒されます。チェックインから部屋に案内されるまではしばらく待たされましたが、浴槽付きの部屋になって、よかったよかった。

15:30を過ぎると、開会式会場のベルリン工科大学までバスで移動です。子供連れのためにベビーカーを載せられるバスも裏口に数台用意してありました。きめ細かい!しかもダブルデッキの観光バスとあって息子は大喜び。途中雨が降ってきたり、車の故障で降ろされたり、はたまた勘違いでもう一回戻されたりと散々でしたが、何とか会場に到着。日本人の方は皆さんそれなりのおしゃれをしておりましたが、アジア・アフリカ系の方は普段着の方も半分ぐらいだったでしょうか。。。妻がどんな格好していったらいいんだと空気を察するのに必死でした。そんなに周りを気にしなくても。。。

"Programs for Children"と書いてあるので何かなと思いきや、業者を呼んできて「わくわく広場」みたいな感じで子供の遊び場が大学内のスペースに作られていました。フェイスペイントやら、バランスゲームやら、子供用の簡単なビュッフェや休憩室もあって、みんな楽しそうに遊んでました。雨が降らなきゃ室外の予定だったのかも。いやー、こういうのを日本で見たことないですね。。。学会の託児サービスはありますが、普通はもっと小規模だったと思います。ただし、必ず親が付き添ってあげてねとも注意書きに書いてありました。

f:id:eulechang:20170712140105j:plain

大人向けの開会式は1階のホールで行われ、Trio Danの三重奏(メンデルスゾーン スケルツォOp.20)、Dr. Christian Thomsenベルリン工科大学学長の挨拶、Dr. Helmut Schwarz アレクサンダー フォン フンボルト財団理事長の挨拶に続いて、量子力学分野の研究で2012年にノーベル物理学賞を受賞したDr. Serge Harocheが基調講演を行いました。基調講演は英語でしたが、挨拶はドイツ語でした。ふぅ。わからん。Schwarz博士の講演内容は事前に冊子に印刷されていて、英訳が付いてました。「あのストックホルムにある団体が賞を授けるより、20年も前にフンボルト賞を受賞したHaroche教授です!」と得意げに紹介してました。これはもちろんアドリブ。

いずれの挨拶でも、政治的な発言に積極的に踏み込んでいたのが印象的でした。「科学は今危機に瀕している」「マーチ・フォー・サイエンス(科学のための行進がこの春に行われたが、我々はもっと声を上げなければいけない」と、Schwarz理事長が挨拶したのに加え、Haroche教授の基調講演も「ブレイクスルーはいつも応用研究とはかけ離れたところから生まれている」「マクスウェルもファラデーも、自分の研究が今日のような生活に応用されると夢にも思っていなかった」「ところが、政治家や一般国民にはこれがわかっておらず、すぐに役に立つ研究が求めている」と危機感をあらわにしていました。日本の科学者でも酒屋では似たような談義になりますが、公の場でこういった問題に正面からコメントを発することは珍しいかと思います。という話を帰ってからラボメンバーに話すと、「まぁ、日本はやっぱり違う文化だよね。フランス人は幸せでも、ハッピー行進のデモに行くよ」と言われてしまいましたが。

そのあとは研究レポートなどのプログラムがありましたが、サボって子供と遊んでました。最後はレセプションで夕飯をとって、バスに乗って帰りました。知り合いもおらず、生物学者にもなかなか出会えず、、、結局日本人の方ばっかりとしゃべってしまいましたが。。。

f:id:eulechang:20170712143543j:plain

ベルリン工科大学の近くをぶらぶらすると大きな門があり、これがブランデンブルク門かと思って写真を撮ったら、シャルロッテンブルク門(Charlottenburger Tor)という別の門の、しかもこの写真は裏側でした。

 

つづく