Wunderbarな日々

妻子連れ30代生物系ポスドクのドイツ滞在記です。

産婦人科での入院生活

ドイツ・ハイデルベルクのKlinik Sankt Elisabethで、帝王切開にて無事出産。術後3時間ほどして、家族4人で病室に戻ってきました。

 

・1日目

ご飯はどうしますかといろいろ聞かれて、適当に注文。Kochwerk Heidelbergというところが食事を作っていて、昼食のメニューはSPEISEPLAN Cafeteriaとたぶん同じです。なので、事前にカフェに行けば、試食もできますね。このほか夕食メニューと飽きた人向けのいくつかの定番メニューもありました。

Willkommen - Kochwerk Heidelberg

7:30からは朝食でビュッフェ形式。病室と同じフロアの一室に朝食が用意されていて、各自好きなものを取って、病室に持って行って食べるようです。そこら辺の小さいホテルよりは豊富な品ぞろえで、ハム・チーズ・パン・フルーツ・シリアル・ヨーグルトなどなど。長男はパンにはちみつべたべた塗って喜んで食べていました。しかし、病院食でも野菜はないのか…こりゃ文化ですな。 産婦さんに許されるのはコーヒー1杯までと、ヨーグルトと白いパンのみとの説明でしたが、まだそんなに食欲はなくあまり食べませんでした。食べているとGüntherさんがやってきて回診。お腹を見て、今のところ問題はなさそうで、痛みのことや尿管をいつ抜くかなどについて説明。

長男は眠たそうにしてましたが、親の都合で幼稚園へ。すまんねえ。。。しかし親も休みたいのよ。。。ついでに家にも寄って片づけたり荷物を持ってきたり、研究室にも寄って保険の書類を送信。DAADのPrivat保険では、新生児の名前と出生日がわかったらすぐに教えてくれということになっていたのでした。これで無事保険にも加入。

 病室に帰ると、小児科医が訪ねてきたとのこと。新生児を連れて行くのではなく、小児科医が病室までやってくるのか。。。しばらくして麻酔科医もやってきて、容態の確認。そうこうしているうちに昼食が運ばれてきた。

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これがうわさと違って、普通においしい。学食と比べてもおいしい。妻はまだスープだけです。

食事が終わると、3時のおやつはどうしますか?とも。ケーキと飲み物が出てくるようです。至れり尽くせり。

ひと段落したら今度は諸手続き。入院手続きの完了を知らせる用紙には院内のWi-Fiのパスワードが書いてありました。さすが。出生届は病院で代わりに出してくれますが、パスポートのコピーやら、滞在許可証のコピーやら、婚姻証明書を受付に提出。出生届は無料のものが3枚(Kindergeld, Elterngeldなど専用と記されているもの)、国際版(12ユーロ)2枚、ドイツ語版(12ユーロ)1枚頼みました。まあ、そんなにいらなかったですけど、結局は。。。料金は後日家に届く請求書での支払い。日本の役所はほとんど先払いしか許しませんが、ドイツは役所でも病院でも後払いの請求書払いが結構多いですね。間違いがなくて証拠も残るし、お互い楽っていえば楽ですが、取りっぱぐれはないんでしょうか?

午後になって、長男を幼稚園から連れて帰る。一気にやかましくというかにぎやかになりました。お兄ちゃんぶって一人でシャワーなんか浴びちゃってあらまぁ。。。Güntherさんもやってきて再び回診。また明日も来るわだそうで。ありがとうございます。

18時前には夕食が運ばれてきました。評判の悪いKalt essen(冷たい食事)ですが、食えなくはないけど味はいまいちでちょっと足りない感じでした。妻も食事再開です。

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点滴薬は終了になり、錠剤の痛み止めを約8時間おきに服用することになりました。薬が効いているせいか痛みはほとんど感じないようですが、しばらくしてスタッフが「さあ、立ち上がる練習よ!」とやってきました。

ベッドには吊り輪みたいな取っ手がぶら下がっており、そこに手をかけながら、傷口のところに負担がないように起き上がる練習です。助産師さんに介抱されながらなんとかベッドから起き上がったら、今度は病室内のトイレまで歩く練習。さすがに痛むようで、妻の顔もゆがみますが、それなりに達成感もある様子。手術当日に立ち上がるだなんて拷問だと思っていたけど、案外やってやれないことはないのねと妻の感想。助産師曰く、早く頑張れば、そのあとの回復も早いのよとのこと。そのほか、尿の量をしきりに気にしていて、毎日4リットルは水を飲むようにとのこと。いっぱい飲んでいっぱい出せば早く回復するって、それも本当ですかね?でもまあ、頑張って飲むほかないです。いっぱい尿が出ると、褒めてくれます。

トイレいけるようになったから(?)もう尿管抜く?と聞かれますが、もう一日はゆっくり眠らせてくれということで明朝まで延期。「うちの病院は優しいけど、大学病院じゃこうはいかないからね!」となぜか対抗心むき出し。新生児の子はすごくよく寝ているが、3時間おきには起こして授乳させるようにとのご指導。

夜寝るときになって、助産師さんがやってきて、「毎日、深夜0時超えてから、授乳する時には、赤ちゃんをナースステーションに一時預かるのでナースコールしてください。」だそうで。体をふいて、体重計って、着替えさせるようです。

 

・2日目

朝食後に尿管が抜かれ、いよいよ夫(僕)の助けを借りながら、自力でトイレに通うように。「おおできたーできたー。」と喜んでました。術後24時間ちょっとしかたってませんがすごいものです。

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昼食の魚のパスタ。おいしい。妻も食事復帰です。

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夕食のヤギのチーズ。これはおいしかった。

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別メニューの夕食。これはちょっと寂しかったので、自宅から持ってきたおにぎりで腹を満たしました。

赤ちゃんは頑張って乳首に吸い付きますが、母乳がたっぷり出るまではもう少し時間がかかるよう。。。この日は珍しく長時間泣いていて、お腹が空いたようです。助産師に告げると、もう少し頑張って授乳しなさいと厳しいお言葉が。。。うまく出ないものは出ないし、その後もう一回助産師を呼んで液体ミルクをいただきました。この申し訳なさそうにミルクをいただく感じはいったい・・・(笑)。ごくごく飲んでお休みになられました。37週の帝王切開で生まれた長男よりはいろいろしっかりしていて、ちょうど生後3週目ぐらいの様子に似ています。やっぱり発生学的には誕生日よりも受精日からカウントした方が正確そうですね。

0時以降の新生児の体拭きと体重測定は、ナースステーションまで赤ちゃん連れてって見学しました。

 

・3日目

土曜日で幼稚園がなくて、長男退屈そう。。。

この日はU2の新生児検診があり、いろいろ測定が行われました。土曜日ですが、小児科の先生が産院まで来ていて、同じフロアにある診察室までみんなでぞろぞろ出かけました。妻もだいぶ自分で歩けるようになってきました。遺伝子スクリーニングに関する同意書への署名が求められ、その後足から血液が10スタンプ分採られました。。。ああ痛々しい。ビタミンD(フッ素入り)の錠剤も処方され、薬局に行ってもらってくるようにとのこと。生後10日目から毎日1錠だそうです。

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昼食はカロリーたっぷりな感じ。完食しました。

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夕食は相変わらずな感じです。

 

・4日目

朝、Güntherさんが日曜出勤して回診。傷口のテープをはがして状態を確認。「特段問題なさそうだから、もう退院してもよさそうね。抜糸は来週にうちのクリニックか、助産師さんにやってもらいなさい。」とのこと。よかったよかった。

知人からもらうことになったベビーベッドを取りに行きました。大丈夫かなと思ってたんですが、はしゃいだ4歳の長男がさっそく赤ちゃんを踏んで、ボーとしてる赤ちゃんの目が大きく見開き、びっくりして泣いてました。。。行って帰ってきて昼頃になっても、まだ昼食が運ばれない。。。注文したはずなのに、あれれ?とスタッフに聞いてみると、「あなたたち今日で退院でしょ?」ってええっーーー!いやいや、急すぎるでしょー。さっきそんな退院決定って感じじゃなかったし、術後まだ実質3日しか経ってない。。。ちょっと食い下がってみましたが、「そうはいっても家族部屋なので、次の方のために早く空けてほしい」とのこと。まあ、回復も順調そうだし、助産師の方も家に来てくれるしと妻と相談して、ここは素直に退院しますかということになりました。訪問してくださる助産師の方に電話してその旨を伝えました。慌てて片付けて14時過ぎには病院を出ることができました。

 

・請求書

後日(数週間後)請求書が届きました。産院の付き人(僕)の入院分はたぶん保険降りませんが。保険会社が支払うFaktorの2.3を超えて、3.5となっている項目がいくつかあるので、超過分の数百ユーロも自己負担だろうなあ。しかし、産婦人科とは別に、それぞれの医師が別々に請求書を送るんだなあ。取り分がわかりやすくていいけど。

産院 妻 2720ユーロ+個室代360ユーロ、夫 240 ユーロ、赤ちゃん 890 ユーロ

Güntherさん(産婦人科医) 1000ユーロ

小児科 220 ユーロ

麻酔科医 390 ユーロ

追記)Faktorが2.3を超えていても、Belegarzt (所属医師)ということで(?)治療費は全額支払われました。付き人の分240ユーロと、個室料金90ユーロ×4の360ユーロだけは自己負担でした。

いろいろ不安なことも多かったですが、終わってみると、ハイデルベルクの充実した医療システムに守られて順調に回復できました。出産後4日目で退院とは驚きますが、それもいつ新たな妊婦さんが来てもいいように準備ということでしょうか。まぁ、ちょっとホテル暮らしのような感じもして、ぜいたくすぎるとちょうど思っていたところでしたが。病室空けるぐらいなら入院は長い方が病院はもうかる気もしますし。通常は火曜日帝王切開で週末に退院の様で、日曜日の産院の病室は結構ガラガラでした。

日本よりは痛み止めを使うのが通常の様で、ちょっとだけ痛いですと言えばすぐに痛み止めな感じでした。一方、帝王切開当日から歩く練習したり、自力でトイレに行くように促したりと、一日でも早く退院して家に戻れるようにサポートしてる感じですかね。二人目だからなのか、治療方針が違うからなのかはわかりませんが、回復は一人目の時よりも早かったです。病室内におむつ台もあり、赤ちゃんの世話はほとんど私たちだけでやっていました。