Wunderbarな日々

妻子連れ30代生物系ポスドクのドイツ滞在記です。

研究雑話(10)

・ポスドク探し

お金はあっても人がいないんじゃしょうがないということで、ボスのポスドク探し。

一人目の候補者はフランスで学位を取得したてのインド人男性。ボスのツイッターをフォローしていて、求人情報に飛びついたらしい。へー。今どきはそういうのもありか。プレゼンはまあまあですが、ひたすらしゃべり倒しで人の話をあまり聞かない。。。3Dプリンターで細胞から組織を造形して調べればいいんだよ!って、いやまあ、冗談半分でいうならともかく、まじめな顔で言われても。。。セミナー翌日も書き仕事が忙しいからと予定を早々に切り上げて帰っちゃっいました。多分うちのラボの論文一報も読まずに来たんじゃないかなあというラボの評判。あえなく落選となりました。ボス抜きでディナーを食べたドイツ料理屋はおいしかったです。

Dorfschänke Heidelberg

https://www.dorfschaenke-hd.com/

 

二人目はウクライナで学位を取ったウクライナ女性。ジュニア研究員という肩書だけど、もうパーマネントポジションらしい!すげえ!前者と違ってコミュニケーション能力たっぷり。分野が違う僕たちの研究も一生懸命理解しようといろいろ質問してくれました。研究も一生懸命頑張ってはいるんだが、手法とかがいろいろちょっと古めで、今すぐうちのラボに来てもどれだけ貢献できるかというと。。。とりあえずフンボルト財団のフェローシップを出して、採用されたらおいでという対応となりました。世知辛いけど仕方がない。一応、夜も外に連れ出そうと誘って本人も行く気満々だったのですが、この日は他のラボメンバーの都合が悪く、行けそうなのは僕だけに。。。体調が悪いと言っているイタリア人女子学生を、なんとかもう一度誘いますが、断られてしまい、結局ラボでお別れすることになりました。ウクライナ的には、男女二人で夜ごはん食べに行くのは無しなのか。なるほど。

 

三人目はオーストリアで学位を取ったドイツ男性。プレゼンは情熱的な感じでちょっとまくし立てていたけど、まあわかる程度だったし、うちのラボが何をやっているかもわかっている感じ。コミュニケーション能力も申し分ないのですが、本人が将来的に何したいか、うちのラボとどう関わるのかはちょっと今一つ。聞けば、ドイツに戻ってきたくて職を探しているそうで、まあ、なるほどなと。D論提出が二週間後に差し迫っていてこちらもすぐに帰っていきました。一通りラボメンバーの意見を聞いた後で意見を聞いた後でボスもまあ及第点かなという感じでとりあえずポジションはオファーすることに。果たしてきてくれるのか?

ウィーンからはLaudamotionというオーストリアの格安航空会社(今はライアン航空の子会社)でシュトゥットガルトまで飛んできたらしいですが、お値段片道9.99ユーロらしい。安い。。。空港行くまでの方がお金かかる。。。

Lauda (airline) - Wikipedia

 

・サポート

ポスドク一人になってから一気に中間管理職の様相へ。。。いいのか悪いのか。

イタリア人の博士学生はやる気はあるものの、実験はまさに一から足取り手取りの感じ。ボス曰く、イタリアの学生は大体が実験経験の不足気味とのこと。そういうもんですか。でも、初回のプログレスレポートは自分の力だけで大演説をぶってきたし、プロジェクトをちゃんと理解はしているようで、そういうところは手がかからない。軌道に乗るまでは実験の面倒をこまめに見て、なんとか早くひとり立ちしてもらおう。

「解析だいぶやりましたし、ボスのプロジェクトを論文にまとめるのはいいんですが、この実験までは手が回りません。僕のプロジェクトもやらなきゃいけないんで。。。」と断ったつもりが、「じゃあ、バイトを雇おう!」と予想外の展開に。スウェーデン人の修士学生がHi-Wi(Wissenschaftliche Hilfskraft)(リサーチアシスタント)として来てくれることになりました。所得税がかからないMinijob範疇は月450ユーロ。これだと月38時間契約になるそうで、時給は11.6ユーロぐらいですかね?特に募集をかけたわけでもなく、良いタイミングで彼女の方からボスに仕事ありませんかとメールで聞いたようです。

書類をいろいろすませて、お仕事開始。今まで一人で好きにやってた仕事を、人にわかるようにタスクとして振らないといけないわけで、これはこれで大変。。。無駄仕事させちゃったり、時間が合わなかったり、いろいろです。こちらも軌道にのるまで辛抱という感じでしょうか。ポスドクが他にいないので技官さんもいろいろ手伝ってくれて、単純作業がますます減りました。

そうやって空いた時間で、何をやるのか。結局最後まで他人に振れない仕事となると、書類書きや論文書き、プレゼン・ポスター作成、まだうまくいくかわからないパイロット実験とか実験計画を立てるところになるわけで、ある意味、これらが本来研究員がやるべき仕事ということなんでしょうか。ついつい手を動かしたくなっちゃうからまだまだ慣れないですな。。。

 

・予算消化

フンボルト財団から毎月800ユーロの研究費が研究室に振り込まれているのですが、フェローシップが終わるまで使い切らないといけないようです。まだ結構残っていましたが、ボスは好きに使っていいよという事なので、いろいろ計画を。請求書が来ないことにはいくらになるかわからないので、共通機器室をせっついて、RNAseq分の請求書を発行してもらいます。ほっとくと何ヶ月もかかったりしますからね。。。2000ユーロぐらい余りそうだから、ハードディスクとか電子機器とか買おうかなと算段していました。

ところが秘書さんがやってきて、お金ないよと。日本出張で立替払いの分は確保していたのですが、日当が出るの忘れてた。。。しかも、まだ行ってない出張の航空券を旅行代理店から頼んでいたのですが、その分もすでに支払われてる。。。出張にいくのはフェローシップ期間外なのですが、そこらへんはルール上OKらしい。ということで2000ユーロ余るどころか、400ユーロ足りないらしい。すみません。。。ラボ予算にお世話になります。

ところで、と秘書さんが切り出すには、もう一個口座があるよと。研究費はオーバーヘッドで大学が10%ぐらい取っていくのですが(日本の間接経費)、そのお金が貯まってるよと。聞けばなんでもインフラ用のお金になるらしく、2400ユーロほど貯まっていましたが、こちらは期間内に使い切らなくてもも良いらしい。ハードディスクとかパソコンとか買いたいならここから支出してもいいわよ、一応インフラだしって、オーバーヘッドも一部はラボの裁量で使えるとはびっくり。今使い切らなくていいなら急がなくてもいいなという事で、このお金はとっといてもらうことにしました。