Wunderbarな日々

妻子連れ30代生物系ポスドクのドイツ滞在記です。

カリフォルニアへ行く(2)

・UCSF

同期の知人に会いにUCSF(University of California, San Francisco)へ。日曜日で勝手がわからないということもあって、ホテルまで迎えに来てもらいました。バス&鉄道はあることにはあるものの、本数も少なく、乗りこなすのは大変なようで、移動はすべてUberでタクシーを呼んでくれました。さすがアメリカ。というかピックアップトラック多すぎ、、、ほとんど荷台空なのになぜ。。。看板とかがドイツ語じゃないから全部読めちゃう不思議な感覚。

車内でいろいろ雑談。UCSFは学部はなくて大学院だけで、しかも医学系だけらしい。へー。大学近くでワンルームのアパートを借りると家賃$2500らしい!まじか!大概の奨学金じゃ足りないので、研究室からの補填が不可欠なんだとか。なるほど。ポスドクの給与はNIH基準で基本決まっているので、全米で大差があるわけではないらしく、いろいろ大変だそうで。

20分ちょっとでMission Bayエリアに到着。どのキャンパスもデカい。。。USJのアトラクションを回ってるような感覚です。2003年に建てられたというGenentech Hallの中へ。研究室内はどこも似たような感じですが、共有するヨーロッパとは違い、やはり個の感じだそうで。

そのほか研究の話やら、生活の話やらでいろいろ深夜まで盛り上がりました。こういうざっくばらんな話を気軽にできる友達は、外国ではやはり得づらいもので。言葉の壁もありますが、いい年した大人はなかなか仲良くなりづらいものです。単身のアメリカ生活にはもう飽きたようで、日本に帰って独立かー。いやー、負けないように頑張らんとなあ。

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坂がとにかく多かった。。。そして電柱も。

・Asilomar Conference Grounds

翌朝はホテル(Millwood Inn)で朝食。可もなく不可もなくといったところでしょうか。そういえばここのホテルは駐車場を取り囲むように2階建ての建物がコの字になっていて、土地余ってるなあという感じの作りです。リゾート系とでもいうでしょうか。地価高いのになあ。

無料のシャトルバスを予約して、再びサンフランシスコ空港まで。しゃがれ声のおじさん運転手が、ラジオのDJっぽくいい感じにアナウンスしてくれて、車内も盛り上がっていました。ただ、道路が混んでいて思った以上に時間がかかりましたが。。。自分の車がないと、余裕持って行動しないと怖いですね。Taco houseで昼食。Burritoで$10。思ったよりおいしくて量もいっぱい。

https://www.flysfo.com/content/24th-mission-taco-house

 Asilomar Conference Groundsが学会会場で、サンフランシスコ空港から南へ約180km。Monterey Airbusというシャトルバスを事前にWebサイトから予約していきます。

Welcome to Monterey Airbus | SFO Airport Shuttle | SJC Airport Shuttle

道中はさすがアメリカという感じで、デカい車がバンバン走ってるし、高速道路?の中央分離帯に電車走ってるし、San Jose空港近くではAdobeの本社ビルがデーンと建ってるし。Pacific Groveに近づいてくると植生もだいぶ変わり、うまく形容できませんが背丈が低くて、もさもさした感じとでもいうでしょうか。

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空港のバス乗り場から乗ったのですが、まず出発から遅れ、San Jose空港など各地で停車したり乗客をピックアップしたり届けたりして遅れに遅れ、学会会場に着いたのはバスに乗って3時間半ほど経った頃でした。すでに最初のトーク始まってるし。。。予定では2時間のバス移動のはずだったのですが。前泊までしたのに遅刻とは情けない限りですが、もっと時間に余裕を持てということですかね。慌ててチェックインして、会場の教会に入り込みました。

 ここの会場はいろいろ歴史があるようで、パンフレットやら説明書きがよくありました。中でも目を引くのがミーティングのメイン会場の教会の建物(grace dodge chapel auditorium)で、Julia Morganという著名な建築家が設計したものです。木製で1915年築ですから、木目や色、艶などもいい感じに年季を帯びてきた感じでした。

 

issuu.com

学会会場としてよく使われているようで、ほかにもいくつかのミーティングが並行して開かれていました。食事もまあまあおいしく、申し分ない感じ。海岸沿いで散歩にも適していますし、朝起きたら鹿が駐車場まで集団で来ているぐらい、自然に囲まれた感じでした。

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・学会

学会はまあ、いつもの学会という感じですが、アメリカ研究者が多いので、やっぱりヨーロッパとは違うなという感じです。一人ハーバードから学生が来て口頭発表してましたが、まるで映画のセリフのようにとめどなく流れる感じでまくし立てるので、すごいです。そしてよく褒める。質疑応答の時には「Nice presentation!」とか「Very good job!」ぐらいはドイツでも声かけますが、「I was very astonished by your super cool talk!」とくるのがアメリカ流ですかね。使う言葉の段階が2段階ぐらい進んでます。

ある朝朝食に向かおうと部屋から出たところ、駐車場でオーガナイザーの一人が車から出てきました。この方UC Davisの人なんですが、学会会場からは300kmの道のりです。。。毎日通ってたのか、、、知らなかった。というかアメリカの車社会ってすごいな。ワシントン州からドライブできたやつもいたって話だし。そのまま二人で歩いて朝食会場に。初参加でしたので、いろいろ質疑応答に参加していたのですが、「盛り上げてくれてありがとう」と声をかけていただきました。おぉー、ちゃんと見てくれてた。目の配り様もさすがオーガナイザー。

ほかにも、日本オタクのフィリピン人と意気投合したり、三大紙に論文出して独立ポジションまでゲットしたのに、PIの仕事は大変そうといってアカデミア辞めて民間会社に入る人がいたりとまあ、人の生きざまはそれぞれですね。学生はどこでも同じような悩みを抱えているようで。中国人学生の苦労話をみんなで聞いてましたが、探究心とか言う前に、とりあえず競争にどう生き残るかにひたすら腐心していたのが印象的。好きに研究させてもらってる環境をありがたく思わないといけないですね。少人数のミーティングで、とにかく、いろんな人の話が聞けたのはよかった。

サンフランシスコ界隈は晴れてたようですが、180kmも離れてるとまるで違う気候。特にこのあたりは海に突き出しているせいで海流も違うらしく、ずっと雨か曇りという天気でした。外でのBBQが中止になって、なぜか外でのビュッフェになりましたが、寒いのなんの。雑誌がスポンサーで、4日間で一人当たり4枚のドリンクチケットをもらっていたのですが、足りなくなって購入しようとすると1枚約10ドル!流石にみんな料金の高さに腰が引けて、飲まないやつからチケットをもらう作戦に切り替えてました。

この学会は専門領域の学会で3年に1度の開催。お互い知り合い同士なので手を抜くわけにもいかず、クオリティは極めて高かったです。普段論文でしか読んだことがない人たちに実際会えたのもよかったですし、日本の方々とも再会したり、知り合いになれたりといろいろ収穫がありました。年に一回ぐらいの遠出も悪くないものです。そろそろ新しいデータ出さないと飽きられてしまいますが。。。次回はヨーロッパ開催のようで、いつかは口頭発表もできるといいなあ。

最終日。まわりのアメリカ流の発表にずっと気後れしていましたが、なんとポスター賞に選んでいただけました。これにはびっくり。お世辞にも発表がうまい方とは言えないので、審査員の心がどっかに引っかかってくれたのでしょうか。後日事務局から問い合わせのメールが来て、賞金振込用の書類を記入。W-8BENという租税用の書類もあって、ちょっと面倒。日本人だけどドイツに居住している場合は、ドイツで課税なのかなあ。。。英語も用語がわからないので難しい。ドイツの税番号書いといたけどこれでよかったのか?思いがけないお小遣いになりました。

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つづく。