Wunderbarな日々

妻子連れ30代生物系ポスドクのドイツ滞在記です。

マーストリヒト・ユトレヒト(1)

9月上旬。もうすぐ小学校も始まるので、休暇を取ってどっかいくならこの時ですが、まだ行ってないスペインもポルトガルも、新型コロナで行けるような状況じゃありません。近くで異国情緒が味わえて、ドイツに帰ってきても隔離を要請されないところということで、オランダに行ってみることにしました。

ドイツに帰国後に2週間の隔離が要請される地域は日々ロベルト・コッホ研究所から更新されています。9月上旬の時点では、ブリュッセル・アントワープ・アムステルダムだけが指定されていましたが、10月上旬の現在では、第二波の影響でベルギー全土(9月30日)オランダほぼ全土(10月2日)も指定されており、まあ、行けるうちに行っといてよかったなというところです。8月中の方がもっと自由でしたが、そのころは仕事に追われて…。

RKI - Coronavirus SARS-CoV-2 - Informationen zur Ausweisung internationaler Risikogebiete durch das Auswärtige Amt, BMG und BMI

本当は格安パックツアーを使いたいところでしたが、さすがにこのご時世ではほとんど設定されていなくて、普通に宿を予約しました。

 

・マーストリヒト

オランダ最古の町にして、EU発祥の町。ハイデルベルクからは車で3時間ちょっと。レンタカーはほぼ正規料金で、いつもはいろいろ使える割引クーポンがほぼ使えませんでした。VW PASSATが一週間で約270ユーロ。オランダなんて大してドイツと変わらんかなと思っていましたが、そんなことはなく、低くて窓が大きくてレンガ造り(表面だけ?)の家がずらりと並んだ感じはなるほど、違う国に来たなと感じさせるのに十分な感じでした。

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宿はArtagnanというところをBooking.com経由でとりました。車は路駐してあとはご主人が手続きしてくれました(12.5 ユーロ)。外見上は全くの普通の民家ですが、ドアを開けると古風な調度品がふんだんにちりばめられたところ。女主人は英語も堪能だし、ドイツで育ったこともあってドイツ語も流暢。さらにオランダ語だから、三つぐらいはみんなしゃべれるのね。。。一軒家を3部屋に分けて貸しているようで、私たちは2階の部屋へ通されました。マスクは「心配ならしたらいいと思うけど。。。」という感じした。

www.booking.com

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お姫様ベット風に子供たちも大喜び。

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部屋自体はワンルームでしたが、廊下伝いの図書室的な部屋も自由に使ってくださいとのことで、立派な感じに感嘆。おもちゃも用意されて子供もすっかりお気に入り。ジャグジーバスもあって、ゆっくり疲れました。ラジオは出るわ、泡は出るわ、ライトは出るわ。。。

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翌朝の朝食はホテル1階のテーブルで。一人12.5ユーロ。子供も入れて3人で37.5ユーロ。ふんだんにヴィンテージのガラス食器が使われていて妻が大興奮。子供がいると大人はヒヤヒヤ。こういう食器はこう使うのかといろいろ新しい発見があったようです。巨大ながま口財布の保温器から紅茶やらコーヒーのポッドが出てきたときは驚きました。オランダの朝食はドイツとは少し勝手が違うようで、パンの上にチョコチップやらなにやら甘いこまごまとしたものを載せるようです。Muisjesとか、Hagelslagとか、Vlokkenと呼ばれるもののようで、スーパーに行けばずらーと並んでるし、オランダ食材のオンラインショップでもトップページに並んでるし、なるほどこれがオランダ人のソウルフードですか。

Streusel & Frühstücksaufstriche aus Holland online kaufen

オランダ内ではコロッケ(kroket)があちこちに。高速のサービスエリアでも熱々のコロッケをパンにはさんで売ってました。マクドナルドでもMcKroketなるものが発売されてました。日本のジャガイモベースのコロッケというよりは、クリームコロッケという感じですが、どこも結構おいしい。サクサクした食感がオランダ人の好みなのかもしれません。

McKroket » oer-Hollands Genieten ☆ McDonald's

ディナーはPieke Potloedというちょっと路地裏にあるレストランで。

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Home - Bar Bistro Pieke Potloed Maastricht

味はドイツ以上フランス未満といったところでしょうか。味の濃さもほどほどで、ドイツ程はしょっぱくない。値段は比較的お手頃でした。英語も流暢。星のロゴはマーストリヒトのマークです。

街を歩くと目につくのが、Vlaai(フラーイ)と呼ばれるスイーツ。コロナ中で入店できる人数は2、3人に制限されていますが、老若男女が店先で並んでました。パイともタルトともちょっとだけ違う感じで、甘さも控えめで結構パクパク食べれました。パンも柔らかめのものが多く、商品も一個ずつ袋に包んでくれるので、日本のパン屋さんの様でした。

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https://bakkerijpaulissen.nl/

マース川を渡ったところに老舗ショコラティエのFriandisesもまだ人気があるようで。

http://www.friandisesmaastricht.nl/

 

Artagnanは1泊だけでチェックアウト。朝食代や駐車代は現金払いなので要注意。他のゲストが主人に話してるのを立ち聞きしてると、なんでもヴェネツィア行ってみたらどこもガラガラですごい良かったぜと自慢してたので、ここぞとばかりにヨーロッパ内であちこちに出かける人もいるようです。10月に入ると、オランダ・ベルギー・チェコ・フランス・スペイン・ポルトガルなど、主な都市はほぼリスク地域に指定されてしまったので、ある意味早い者勝ちだった感じもします。

 

街をぶらぶらしようと思ったらあいにくの雨だったので、マーストリヒトの洞窟へ向かいました。

Maastricht Underground | Explore Maastricht

要オンライン事前予約でしたが、当日の午後でも空いていました。1グループは12人まで。

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 中はもちろん真っ暗。広大な洞窟は地中でベルギー・フランスともつながっているそうです。建築材としての石灰岩を掘り出すために掘ったトンネルで、規模が大きい。マーストリヒトの地名は地学的には有名な様で、白亜紀最後の期はマーストリヒチアンと呼ばれていますし、恐竜の存在が知られる前の1700年代後半にモササウルスという海中の巨大トカゲ(~10m)の最初の化石もここで見つかったようです。

マーストリヒチアン - Wikipedia

http://www.scc.u-tokai.ac.jp/sectu/box/9510yk11.html

モササウルス - Wikipedia

石の質はもろい方ですが、その分加工もしやすく、様々な建築物の見えないところに使われたとか、すごい水分を吸うから鍾乳洞にはならなかったとか、キノコ育ててるとか、いろいろな面白い話を聞かせてもらいました。トンネル内随所に壁画が描かれています。ここは面白かった。

 昼下がりにツアーも終わり、車でユトレヒトに向かいます。

COVID-19中の一時帰国

・発端は歯医者

ハイデルベルクでは3月下旬から幼稚園が閉鎖。当初は公園で遊んではいけないなど規制も厳しく、毎日散歩で外出するぐらいでした。子供の歯医者は何とか空いてますが、いきなりそりが合わなくなって息子が暴れはじめ、口を開けて機械を口の中に入れるだけで泣きじゃくるようになってしまいました。これまでは機嫌よく何本も直したんだけど、なぜ最後そうなってしまったのか。。。予約が午後になって延び延びになってしまい待ちくたびれて眠かったのかなあ。。。わからん。

最後の虫歯の治療で大きなクラウンを入れられ妻はカンカン。昔からドイツでのアマルガムを用いた治療はかなり制限されていましたが、2018年7月からドイツでは15歳以下の乳歯に対する合金を用いた治療は原則禁止となったそうです。ということで、日本ならインレーとかで済むものもドイツでは基本クラウンで対応。しかも既製品でサイズが合わないものを泣きじゃくる息子に無理やりあてがったらしいと後々判明。オオカミ少年じゃないけど、いつも痛いって泣いてると肝心の時に気づかない。。。

https://www.bzaek.de/fileadmin/PDFs/b/Position_Amalgam.pdf

子供専門の歯医者でドイツの中ではかなり良い方の歯医者でしたが、泣きじゃくって一時間やっても治療ができないこともあったりすると、さすがに商売あがったり(治療代を請求できないので、材料費だけ実費で支払いました)。次の予約を取るのも難色を示されるようになり、とりあえず二、三か月おいてパニックが落ち着いたらまずは検査から始めましょうとのことに。ドイツで他の歯医者にも通ってみますが、それでも妻は満足いかなかったようで、子供連れて日本に帰国して治療するということになりました。ドイツからの一時帰国に難色を示していた妻の実家も、歯なら仕方がないと一転して受け入れ態勢に。そういうものですか。。。

 

・日本へ一時帰国

帰国自体は思ってた以上にスムーズでした。6月上旬に一週間後のチケットを予約。この時期でも全日空NH204 フランクフルトー羽田便は毎日飛んでいました。価格も大人一人12万円ちょっと。航空会社はこれじゃ利益にはならんでしょうが、ライフラインとして飛行機を飛ばしてくれる皆様方には感謝です。フランクフルト空港はもちろんガラガラですが、特に何事もなく通常通り搭乗です。機内食はあまり期待できなさそうという情報でしたので、機内で食べるものだけは準備していきました。

妻の実家が関東圏だったので車で迎えに来てもらい、入国もスムーズ。検査はありましたが子連れで優先してもらえたようで、着陸後1時間ちょっとぐらいで空港から出れたようです。自家用車がない人は、タクシーはだめだけど、ハイヤーならいいとかよくわからんルールです。

ここから2週間は自宅隔離生活。心配していた検査結果も陰性でとくに何も変わったことはありませんでした。ドイツではまだかなり制限された生活だったのですが、日本の方がだいぶ緩いように感じたようです。ハイデルベルクでは、レジ打ちの周りは大概アクリル板で覆われ、支払いはできるだけカードでするようにお願いされ、やっとこさ再開した店舗は大概買い物カゴの数で入場できる人数を制限してましたが、、、まあ、どれが有効な対策かはよくわからないわけですが、「自粛を要請」というのがいかにも日本らしいです。ドイツはそのあたりルールを作りに行ってしまうので、「マスクしろ、さもなくば罰金」になるわけで、さらに進めば、罰金払ってるんだからマスク外してもいいだろという理屈も成り立ち、そのためにわざわざ常習犯は○○というルールまで作る徹底ぶり。罰金の代わりが周りの白い目になるのが日本ですかね。うまくいけば何でもいいですが。

 

・保険など

短期滞在を理由に、以前日本で住民登録を拒否されたことがあり、そのため、国民健康保険に加入できませんでした。その時はドイツで私的保険で、海外での治療もカバーされていたので事なきを得ました。今回は、念のためドイツで海外旅行保険にも加入しました。公的保険はTKという会社ですが、提携先のenvivasで契約すると安いらしい。

https://www.envivas.de/

一回あたり60日以内の海外旅行までだと、TK加入者の場合は家族全員で年間28.90ユーロ。しかも、何回海外旅行に行ってもいいらしい。治療費全額負担の保険なので激安。。。それぐらいみんな海外旅行に行くってことなのね。結局使うことはなかったので、いいのか悪いのかはわかりませんでしたが。この状況でも日本での滞在は保険適応内ですかと聞いてみましたが、問題ないという回答でした。それよりも福島原発に近づいた方が問題らしい、、、さいですか。

今回はコロナの影響もあってか、無事に住民登録を受け付けてくれ、妻が世帯主になって国民健康保険にも入れました。小児医療助成を申請しようとしたところ、僕がまだ海外にいることを証明するために、戸籍の附票を提出するようにとの指示。関係あるのか、それ?まあ、言われるがままに郵送請求して一週間後に受け付けられました。子供手当はドイツで頂いているので、日本では申請しませんでした。このあたりどうするのが正解なんだろうな。。。市役所へは妻の両親が委任状を持って手続きに出かけていただきました。

 

・滞在

僕は実際に行ってないのでわかりませんが、自宅隔離後もひたすら虫取りやら、魚釣りやらで、人混みを避けておじいちゃんとの夏休みを過ごしたらしいです。日本のかかりつけの歯医者さんは泣きわめいても治療止めないで淡々とやるので、しまいには泣かなくなったらしいです。さいですか。ドイツの歯医者が無理やり治療したところは結局一回クラウンを外して、炎症が起きてたので収まるのを待って、丁寧に治療しなおしたそうです。やれやれ。ドイツ人は歯が強いのかね。。。

 

・再びドイツへ

8月上旬の予約で、昼便のNH223でドイツに戻ってくる予定だったのですが、この便はコロナでずっと欠航していて、7月末になって案の定欠航が決まり、振替するようにとの連絡が入りました。正確には深夜便に振り替えたのでよければWebサイトで確認を、無理なら電話してくださいとのことだったので、電話して、次の日の深夜便のNH203便(羽田0時10分発)に変更しました。この時は、ドイツは現在の感染状況からみて日本からの入国を通常通り受け入れるつもりではあるが、日本がEUからの外国人の入国を拒否しているので、まだ受け入れられないというスタンス。

新型コロナウィルス感染症に伴う査証(ビザ)制限・出入国制限・渡航制限 よくある質問(FAQ) - ドイツ外務省

ただ、ドイツで居住している外国人に関しては例外で、滞在許可証を見せれば何事もなくスムーズに入国できました。日本からの入国の場合は特に自宅待機期間もありませんでした。

 

緊急事態なので仕方がないとは思いますが、日本では外国籍の人は一律入国禁止、滞在資格や永住権を持っていても再入国禁止になって約半年が経ち、この9月でようやく解除になりました。疫学の観点からすれば人の往来は減らすに越したことはないだろうし、国籍で縛るのが一番やりやすいのでしょうが、一方で、日本に長年住んでいても、こういう時は日本人とは違う対応をされるんだなという感覚はなかなかきついものがあると思います。疫学的にも国籍は本当は関係ありませんから、日本は日本人のための国なんだなとつくづく感じさせられます。この間、ドイツに居住している外国人がドイツへ入国するのを制限されていたことは一度もありません。いろんな事情があって日本を選んで来てる人たちなんですから、もう少し大事にしてあげてもよい気がします。「入国管理局」という名前からして優しさがないよね。。。わざわざ改称して「出入国在留管理庁」にしたらしいですが。

練馬在住32年でも「二流市民」か 再入国拒否の絶望 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

 

まあ、「歯医者ぐらいでドイツから日本に帰ってくるなよ、ウイルス持ち込んできたらどうするつもりなんだ!」との批判もありえそうですが(そんなにアクセスがあるブログでもありませんが)、特に反論もありません。

研究雑話(14)

・学生、学生、

グループリーダーたちが学長宛てに要望を出して、ようやくラボの人数制限なしでの再開が認められるようになりました。7月20日から再開なので、ロックダウン後約4か月後のことでした。換気を4倍にすることを条件にしたらしいけど、、、なんか変わったか?まあ、大学の本部の方はやっぱり緩和に二の足を踏んでいたらしく、こういう規制緩和も、ボスたちの苦労の末勝ち取ったものかと思うと、少し感慨深いです。適度に距離を取ってマスクをつけることは続けますが、各部屋の予約ではなくて、出退勤を記録するだけで済むようになったので、手間もだいぶ省けます。

コロナ渦にも慣れたぐらいになると、続々とラボローテーションのオファーがボスのところに舞い込んでいるようです。どのラボも実働人数を減らしていて、なかなかラボに入り込むのも大変なようで。。。ボス的には大学は教育機関だからとできるだけ受け入れるようで、気が付いたら博士課程の学生とポスドクを合わせて10人のラボになってるんですが、学生が7人ぐらい別々に来る予定になってるので、もうラボ総出ですね。いくらなんでも混み過ぎなんじゃ。。。

僕が担当することになったのはエジプトの大学から来た修士学生ですが、打ち合わせからして話す距離が近い。。。イメージングやりたいです!というから詳しい話を聞いてみようと思ったのですが、ただ単にウェスタン以外の何かがやりたがっただけの様で、特に何かに興味があるわけでもなかったらしい。「授業の発表では結構いい感じだったよ」というボスの推薦の言葉が風前の灯火です。うちのボスが人を見る目がないのは今に始まったことではありませんが。

ローテーション以外にもぜひ何かさせてくれというので、DNA抽出やらPCRやらをやらせてみたものの、普通の学生の3倍ぐらい時間がかかるうえに、数を間違える、濃度を間違える、説明を聞いてない、途中で投げ出して帰る。。。どうしようもないな、こりゃ。ずっと携帯いじってて、作業中は必ずイヤフォンで、話聞いてる時も外したイヤプラグからずっと音漏れ。話すとぐいぐいくるのでやる気はないわけではないようですが、いかんせん根の性格が適当なので、どうしようもありません。思わず「集中しろ!」とキレちゃいました。あぁ。怒るのは疲れるうえに後から後悔するのに。(折木奉太郎がうらやましい。)

「君が面倒みた前のギリシャ人学生よりいい感じだったよ。」ともボスは言っていましたが、僕的にはこのギリシャ学生を結構かっていました。なんというか、やり始めたらとことん追求という研究者の心構えはあった気がします。しかし、ライティングが全然だめで、発表も思い込みがいろいろ多くてだめで、評価となると冴えない感じでした。以前面倒見た学生たちもそういう傾向で、スマートになんでもパッパッとこなせる人は、研究の本質には興味がないし、こだわりがあって深堀できる人は大体プレゼンやライティングが下手で伝わらない。日本でもそんな感じだったので、研究者気質も世界共通といったところでしょうか。両方できないと生き残れませんが、気概と違ってスキルは磨けるので、やっぱり気概が大事だと個人的には思います。そのあたり現ボスは逆で、人の評価がいつも僕と入れ子になります。

件のエジプト学生的には、将来いい職をゲットしたい→今の自分のCVに足りないものは何か→イメージングのスキルが必要→授業でイメージングやってたラボでローテーションしよう、という思考回路で、それ自体は一見至極全うですが、RPGの攻略みたいになっていて、結局君は何がしたいの?ということになりかねません。実際、特に彼もイメージングに興味があるわけでもないようで、実験中もずっとレポートをどう書けばいいのかばかリ考えて効率的にやろうとします。それ自体は間違ってないですが、さっきの見本画像と全部同じ設定で撮りました!と一つ一つの設定に興味がないので仕組みは学べないし、データをよく見ないから画像は真っ暗で使い物にならんし。。。今時論文はだれでもアクセスできるわけで、本当に優秀な学生は、論文いっぱい読んで既にこういうサイエンスしたいと思っているところがあるので、話すと違いがすぐに分かります。

まあ、そうはいっても、ローテーションはローテーション。やることやって、レポートを書いてくれたらそれでいいわけですが、そのあたりの考え方の違いも身に着けてくれたらいいのですが。教育者としては良くないですが、早く3週間過ぎてくれと、省エネモードで願うばかりです。

 

・査読

人生で初めて査読の依頼。ハイデルベルクに来る前に日本でやっていた分野からです。ボスたちにとってはただの面倒であることも多いですが、若手にとっては、たとえマイナージャーナルでも、少しだけ研究者として認められた感じもしてちょっとうれかったり。CVに書く人も結構いるようです。が、そう思ったのも束の間、受理して本文読んでげんなり。。。なんじゃこりゃ。中国の研究グループの論文ですが、RT-PCR、ウェスタン、抗体染色だけなのに、英語は無茶苦茶な上に論文の形式になってない。まあ、初めてだし、引き受けたからにはまじめにやりましたが、その後3度の改訂に付き合わされ、最終的に受理。ひたすら校正作業をやった挙句に、大して得られた情報もないし、こりゃ確かに割に合いませんね。

査読投稿サイトにはpublonsへ知らせますか?というオプションがついていて、なるほど、今時誰がどれぐらい査読したかを集めるサイトも登場したんですね。連携してないジャーナルでも、エディターからのメールを転送すればカウントしてくれるようです。いやしかし、改訂版の査読も1カウントされてしまったが、これは水増しのような。。。

ことは続くようで、老舗ジャーナルからも査読の依頼。受理してみたものの、これも中国からのなかなかひどい論文で、Methodの記載をさぼりすぎてて、何をしたのかがわからんうえ、論理の飛躍もひどい。今時は査読者は掲載すべきかどうかはコメントしないことになっているので、問題点を指摘して主張はサポートされていないとコメントしました。他の査読者も似たような感じで、エディターがバッサリ再投稿なしのリジェクトしてくれたのでよかった。自分だけ見る目なかったらどうしようかと、ちょっとドキドキでした。

二度あれば三度あるではないですが、今度はボスからの依頼の下請け。というより、興味あるなら引き受けるよーと聞かれていたので、最初から丸投げのつもりだったか。まあ、査読なんて、自分がすごく気になるテーマじゃなければ、そんなもんだよね。姉妹誌クラスのどっさりしたデータ論文でした。うむ、これは最新情報。勉強にはなる。ざっと読んで、まあいいんじゃないのとのボスの印象でしたが、いやいやこれ基本的な問題が結構あるから、RejectかMajor revisionぐらいだと思いますよと諭します。コメントを下書きして、ボスも納得してくれて、修正してもう一回送る前にチェックしてというから見てみたら、ask がスペルミスしてassになってる、、、スペルミスじゃないから赤線が引かれなかったようで。直して送信して、しばらくするとEditorからのReject決定のメールが転送されてきました。他の2人の査読者も似たような意見で、僕がここまでいうのはかわいそうかなと手加減したところまで書いてある。良かったね、現ボス。1人だけゆるいコメントしなくて。ある意味自分の審美(?)眼が試されているので、自分が査読した論文への他の人の査読結果は結構ドキドキです。

しかしまあーえらくならないと、まともな論文回ってこないんですね。。頑張ります。

 

生活雑話(14)

閑話休題。コロナで出かける当てもないとなると、ブログの話題にも困ります。

 

・閉店

再開できる店は再開し、閉める店は閉まってしまいました。薬局(Apotheke)はどんな小さな街にもあるドイツ都市の必須アイテムですが、HeidelbergのNeuenheimの大通りBrückenstraße 35にある薬局 "Neuenheimer Apotheke"も閉店です。一番敷地面積が大きい店舗で、確かにあまり人の入りもよくもありませんでした。まあ、他にも薬局は開いてるので特に支障はありませんが。

https://www.rnz.de/nachrichten/heidelberg_artikel,-heidelberg-die-neuenheimer-apotheke-ist-geschlossen-_arid,515586.html

大きいところでいえば、Galeria Karstadt Kaufhofも事実上の倒産に追い込まれたようです。6月の時点では、172店舗のうち62店舗を閉店する計画を発表し、その後の調整で幾分か減っています。ハイデルベルクの2店舗のGaleriaは含まれていませんが、MannheimのN7は含まれているようです。Galeriaは、日本の昔でいうところのダイエー的な雰囲気で、そんなに洗練されてないけど、一応は庶民的なデパートといった感じの店ですが、規模を維持しながらの運営は難しいようで。

Galeria Karstadt Kaufhof schließt 62 Filialen – diese Städte sind betroffen

矢継ぎ早の資金注入や公的補助で、コロナショックによる影響を減らすべく政府は努力してますが、そうはいっても一時的なもの。資本主義的にも、利益を出せない事業を維持しておく道理もないですし、大き過ぎてつぶせないルフトハンザはともかく、事業を見直すのも至極当然といったところでしょうか。とはいえ、雇用は減るし、経済の規模は小さくなってしまうし、、、一発パンチはかわせても、ボディブローはじわじわ効いてきます。

 

・電子ピアノを買う

5歳の子供がピアノを習い始めることに。いやまだ早いかなと思ってたんだけど、なんか始めることになったらしい。だって、まだ幼稚園児だぜ?まあ、そんなこと言ってちゃいけないですけど。

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日本式での音楽教育をお願いして、教科書も購入。Amazon.co.jpだと免税価格の1100円で、送料は1480円とお安くないですが、一週間ぐらいでDHL Internationalでドイツまで届きました。すごい。。。

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出生祝いで頂いたKAWAIの25鍵盤ミニピアノ(1106-5 )でずっとごまかしていたのですが(さすがKAWAIという感じで値段の割にはかなり出来がいいです。)、ガミガミ怒られながらも順調に成長して、ついにキーが足りなくなってしまい、ピアノ教室の先生からもいい加減買いなさいと迫られ(そりゃそうだ)、購入を決断し、品定めに入りました。電子ピアノでもいいですけど、せめて88鍵にしてくださいとの先生からご指示。そりゃそうだけど。。。88健ともなると、さすがにおもちゃじゃなくて、ちゃんとした楽器がほとんどですね。

自分が小学生の時は、気が付いたら家にあった66健のキーボードを、暇なときにひたすら自分で弾いてただけ、特に習いに行くこともほとんどありませんでした。なんというか、楽器は弾きたいから弾くもんだったので、宿題だとか、課題だとか、そういうのってよくわからないんですよね。まあ、まじめに習わなかったから何のものにもならなかったですけど。ましてや小学校入学前の子供にそれを求めるのは無茶なのもよくわかりますが。おだてて練習させて、叱って、ほめて、、、こりゃ大変だ。

Stage Pianos – Musikhaus Thomann

Thomannという楽器屋さんがよさげでした。自社製ブランドの電子ピアノも安めの値段設定でしたが、まあ、ここは日本企業応援ということで、YamahaのP-45 Bにしました。P-125もよさそうだけど、、、予算オーバーかなぁ。

www.thomann.de正規品は現時点で418ユーロ。買ったときは円高だからもうちょっと安かったけど。B-stockというB級品もあり、返品されてきたものを動作確認して少し値引きして販売しているようです。

www.thomann.de現時点389ユーロということで(購入時は365ユーロ)、10%引きぐらいでしょうか。楽器屋だし大丈夫そうということでB-stockを購入しました。

届いた感想はまずデカい。存在感抜群です。そしてキーのタッチのリアルさにびっくり!キーボードとはわけが違うなあ。。。こんなもん子供のころ家にあったら毎日弾くわぁ(そんなこともないだろうけど)と思わず感激し、子供を差し置いて夫婦でかわるがわる楽しんでます。親がうまそうに弾くと子供はむすっとした顔してますが、、、なんならちいさい方もやってきて家族四人でピアノ奪い合ってますが。子供の方は相変わらずピーキーいいながらですが、いつかはまじめに音楽と向き合える日が来るといいですね。

 

・リズと青い鳥

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京都アニメーション(京アニ)の放火事件から1年が経ちました。少しは支援になればと、配信サイトでいくつか作品を視聴しました。その中で、『リズと青い鳥』という作品が繊細で美しくて心打たれました。VPN Gateでつないで、ドイツからdアニメストアで見ましたが、ドイツのAmazon.deでも配信やdvdの販売をしているようです。今時すごいな。。。『響け!ユーフォニアム』の方はドイツじゃ売ってないようですが。やっぱり正統派の部活モノは日本人にしか通じないかなぁ。題材の絵本は架空のものですが、その舞台はドイツ(かオーストリア)の様で、劇中の絵本の表紙にはドイツ語で「Liz und ein Blauer Vogel」と書いてあったし、パン屋さんの窓ガラスにもBäckereiと書いてありました。ドイツ版のDVDのタイトルは定冠詞derになってるから、ein Vogelはさすがに寂しすぎた?

 (Amazon.deの広告)

 武田綾乃作の「響け!ユーフォニアム」シリーズの小説が原作で、京都アニメーションが2015年、2016年に2クールにわたってアニメ化していました。高校の吹奏楽部の日常を描いていて、まあ、言葉は悪いですが、題材としてはよくある学園・青春ものという印象です。涼宮ハルヒシリーズを手掛けた石原立也監督が、けいおんシリーズを手掛けた山田尚子とタッグを組んでということで、京アニらしく、テレビアニメらしく、ディテールの描写にこだわった演出がされた、起承転結がしっかりとしたアニメでした。

本作はその原作の中で、オーボエの鎧塚 みぞれ(C.V. 種﨑敦美)と、フルートの傘木 希美(C.V. 東山奈央)の二人の話を抜き出して、テレビアニメシリーズとは違って山田尚子が監督を務めた作品で、原作・過去のアニメを知らなくても大丈夫な独立した映画として制作されたようです。


『リズと青い鳥』本予告 60秒ver.

導入から、普段のテレビアニメシリーズとは違うんだなと、くぎ付けにされます。釘を刺される?キャラクターデザインもガラッと変わっているようで、普段のシリーズのように輪郭や色彩がはっきりとしてきらきら輝くのではなく、静かな空間に二人の足音の響くような、柔らかいデザインになってまるで別人。キャラクターありきではなく、描きたいもののためのデザインってすごいなあ。前作もそれなりに売れただろうに。オープニングでは淡々と歩くシーンが続くので、髪の揺れ方や、姿勢や、歩き方に自然に目が行きます。けいおんシリーズに引き続き、本作もひたすらに女子高生の足・脚・腿。足は口ほどにものをいうといわんばかり。もちろん足だけじゃなく、一瞬の表情やセリフの間合い、視線・視点の置き方や、揺れ、ぼやけなどなど、主人公たちの感情の機微な変化が手に取るようにわかる描写が、漫画みたく茶化したりふざけたりせず、延々と90分間続きます。中高は男子校で育ったので、女性の感情変化には疎い方ですが、それでも伝わってくるほどで、なんというか、その表現力は小説の文章や実写版の映像では不可能なレベルまでに達してると思うんですよね。最後のみぞれの覚醒シーンのオーボエ演奏は特に圧巻で、思わずうるっと来てしまいました。言葉を超えた音楽の力、すごいです。

中高生がテーマになりやすいのは、未来、友情、恋愛、家族、学校、現実など、様々な問題を同時に抱えてるからだと思うんですが、吹奏楽部のようなところでは特に、楽器のうまい下手というのは、これでもかとはっきりわかる物差しで、すべての人間関係を縛ります。プロのCD聞いて、羨望というわけには当然行かなくて、相手は自分と年齢も変わらないわけで、自分のふがいなさを悔いたり、過去を嘆いたり、妬ましくなったり、あきらめたり、頑張ろうと気合が入ったりと、そんな入り混じった感情を練習のたびに思い起こされるわけで、まあ、いろいろ単純ではないですよね。聞くだけでわかっちゃうというのも残酷なところです。大人になるにしたがって、だんだん慣れてきちゃって、今更「あっ、今のパッセージ下手と思われた」と気づいたところで、「すみません、音程が悪くて~」と適当に予防線を張って、感情の起伏は抑えられますが、本作は、音楽に限らず、些細な一言や出来事に心揺れるまだ大人になる前の主人公たちの様子が丁寧に描かれていて、甘酸っぱい気持ちになります。まあ、研究発表だって露骨に物差しで測られますが、一応物差しが一つじゃないので、気持ち的に逃げ場所はあるというのが救いでして。本当は今だって、自分と正面から向き合って、自分に研究の才能があるのかなんて考え始めたら逃げ出しちゃいたくなっちゃいますよ。。。いろんな人のいろんなすごい才能を見せつけられて、とりあえずはコツコツまじめに学業にいそしむかといって来たところで、結局は才能を見せつけられるだなあ。まあ、そりゃ才能だけがすべてじゃないし、才能だと思っていたら努力だったりすることもママありますけれども。それはさらにショックか。30代ポスドクなので、まだなんとか自分の居場所を見つけていく最中ではありますが。

日本は吹奏楽部の部活が盛んなのですが、部活で楽器やってましたけど、卒業と同時にやめちゃいました、という人が多くて、残念です。コンクールの功罪なんですかね。結局は音楽の楽しいところが根付かなかったとすれば、それはやっぱり教育方法が間違ってると思いますね。聴く楽しさと、弾く楽しさはやっぱりぜんぜん違いますよ。甲子園も同じだと思います。セルジオ越後さんなんかもよくおっしゃってますが、中高の部活の補欠ってやっぱりおかしい。各学校代表で1チームしか出れないのもおかしい。二軍でもBチームでもなんでもいいから、絶対に本番に出た方が良い経験になる。プロじゃないんだから。本作は二人の少女の関係を描いてるからいいのですが、本編アニメシリーズのようにひたすらみんなで揃えて、軍隊式に指導者の要求に頑張って応えるのは、なんだか日本だなという感じで、ドイツで映像作品が発売されていないのもうなずけます。意味わかんないですからね。練習中はひたすら指揮者からの一方的な指示で、まあ、原作者の経験に沿ってるんでしょうけど、音楽って本当はいろいろ考えながら試行錯誤してやるのが楽しいと思うので、図らずも日本の音楽教育の暗い面を描いてしまった感じでしょうか。いやまあ、そんなことやってたから、楽器の成長は遅いし、結局は大してうまくはならなかったけれども。でも今でも楽しんで続けられています。もちろん、原作にとっても吹奏楽部はあくまで題材で、音楽が描きたいテーマではないのでしょうけれども。

なんの文章だかよくわからなくなってしまいましたが、おすすめの映画ですので、ぜひ機会を見つけて一度ご覧ください。山田尚子監督と京都アニメーションの魅力がこれでもかと詰まっております。

研究雑話(13)

・卒業1

ラボに来て4年経ちますが、3人目の学生が博士課程を修了しました。左隣に座っていたドイツ人学生です。同じぐらいにラボに加入したので、約4年で彼女の方が先に卒業。こうやってどんどん古株になっていくなぁ。

もともとハイデルベルク大学の学生でしたが、博士課程のポジションはすぐには見つからなくて、ポルトガルでちょっと研究して、奨学金を獲得してからラボに加入してきました。とはいえ、そこまで研究に情熱を燃やす姿も見たこともなく、サイエンス話に花を咲かせることもなく。まあ、自分が研究に向いてないなということと向き合う4年になったようです。それはそれでつらいか。「私は細かい実験のことじゃなくて、研究プロジェクトの管理とかの方が向いてるかもしれない」と口走ったときは、どう突っ込んでいいかわかりませんでしたね。。。プロジェクトはうまくいかず、メンターだったポスドクが辞めてからはほぼほったらかし。奨学金の延長もうまくいかず、一回ぐらいは海外学会に行きたい!と言ってもボスには相手にされず、最後の方は「どうせ私は。。。」状態でした。

代わりじゃないけど、よく引っ越し、合唱にもよく行き、運動もよくし、彼氏ともケンカして別れ、にぎやかなで楽しそうな生活をしてました。彼氏と別れてからタバコ吸いだしたときはびっくりしましたが、、、ちょっとタバコくさいだけで文句言ってたのになあ。4年も過ごせば、いろいろ変わるものです。まあ、何があっても最後にはケロッとしているのが彼女の強さでもあるでしょうか。ふさぎ込むよりは、よっぽどましです。生活と社会の基盤をしっかり持っていると多少のことはやり過ごせます。

就職活動はそんなに苦労はなかったようで、ドイツの北の方の大学で、医療と科学をつなぐコーディネータのような職につくようです。3月に博士論文を仕上げて、コロナのロックダウンが始まる前に引っ越し、4月から就職しました。6月に大学に戻って口頭試問というスケジュールでした。お祝いのパーティはコロナ中なので、控えめに野外でやりました。D論出して、就職して、あとで公聴会というパターンも結構あるようです。D論の原稿を見させてもらって、予聴会にもオンラインで参加しましたが、通り一遍の形式はできているものの、サイエンスの心も楽しさも伝わらなかったんだなあと思うと、ちょっと寂しい感じですね。まあ、新天地では心機一転で充実した毎日を過ごしてほしいところです。

 

・卒業 その他

他にも続々と同僚が大学を離れていきました。Thermo FisherやEurofinsなどのバイオ関連会社をはじめ、医療系の会社や、製薬会社、農産物関連の会社、Wileyなどの出版社などなど、皆さん関連分野に就職です。ドイツ語が怪しい人も多いですが、英語だけでも職は見つかるようで。ポスドク3年やって、DFGのPIグラント3年やってもまだまだ民間職は見つかるようで、日本よりはだいぶ機会が多いようです。ハイデルベルグに住み着いている人もちらほら。上述の公聴会後のパーティで久々に会った同僚は、会社から転勤を勧められているけど、家族のことを思って固辞しているという話をしてました。それほど魅力がある街なんですなあ。ラボ内だけでなく、研究科の中でも古株の方になってくると、そろそろ我が身の振り方も考えないといけませんね。。。

 

・改訂のための実験

身を振るにも無い袖は振れませんので、論文です。HiWiのバイトとの協同もうまくいき、2本目の論文を投稿。Reviewerコメントもおおむね好意的。よかったよかった。追加実験を仕込もうとした矢先、コロナでラボもロックダウンになってしまったので、大量のクローニングをどうしたもんかなと思っていたのですが、幸いラボの予算は潤沢ということで、思い切って遺伝子合成で全部外注することにしました。GENEWIZというドイツにも社屋がある会社を使いましたが、製造は全部中国だったのか、知らなかったな。Eurofinsと、ハイデルベルク大学キャンパス内にあるBioCatという会社にも見積もりをお願いしましたが、キャンペーン期間中のGENEWIZが最安で、数十万円の注文を獲得しました。送料込みでも安く、納期も早いとなれば、選ばないわけには行かないですが、できれば学内で済ませたかったな。。。グローバリズムですね。コロナ最中でもDHLでは中国から数日で届きました。やっぱり自前の輸送網を持ってるところは危機にも強い。おかげでロックダウンの最中も進捗を滞らせることなく済ませることができました。しかし、クローニングもそのうち外注が普通になるかぁ。覚えてきたクローニングの実験のコツが全部じゃないにしろ、過去の遺産で無駄な長物になる日も近いですかね。やれやれ。どんどん新しいことを学んでいかないと置いてけぼりになっちゃいます。

 

・新ポスドク

ドイツ・フライブルクから学位を取ったばかりの中国人がポスドクとして加入。これでポスドクの数はやっとこさ3人に戻りました。コロナと被ったので、ビザとか引っ越しとかいろいろと大変でしたが、無事加入できました。ハイデルベルクじゃ家が見つからなかったからマンハイムから通うらしいけど、大丈夫かいな。。。?とりあえずは前述の卒業したドイツ人学生のあとを引き継ぐようです。ドイツ内の移動なので、生活の変化はそこまででもないようですが、学位をとった環境と違うところで研究するのはいろいろと戸惑いもあるようで。まあ、当たり前だと思っていたことがいろいろ初めて当たり前じゃなくなるので、当然ではありますが。

どんな色を出してくれるのか、楽しみですが、僕も含めてアジア人はなんとなく人の世話になるのが苦手なようで。ヨーロッパの人たちは、わからんものはわからんといって、ぐいぐい来てくれるので相手してるだけで大丈夫ですが、アジア人は迷惑かけまいとついつい一人でなんとかしようとするので、見ているこっちがハラハラしますね。。。まあ、座席も左隣なので、目についたところはおせっかい出すようにしますが、ぜひとも自発的に来ていただきたい。

とりあえずパソコンのセットアップからですが、卒業したドイツ人は左利きでマウスを設定し、あやしげなPDF作成ソフトとか、ウイルス対策ソフトとかをたんまり残して出て行ったようで、、、消すだけで結構手間取りました。自分の時は立つ鳥跡を濁さずを心がけよう。

 

 

・学内恋愛

指導しているラボのイタリア人女子学生が、上のフロアのドイツ人ポスドクと恋仲に。どうりで去年はやたらとキノコ狩りに誘うなと思っていたらそういうことだったのか。キノコで口説き落とすとはなかなかです。来てからまだ1年も経ってませんが、恋に落ちるには十分でしたか。結構浮名が立つ人らしく、研究科内の彼女も3人目だとか!?そもそも研究科内のカップルはそんなに多くないですが。。。コロナ中はラボの中でもマスクして、距離をとれとの指示だけど、まあ、ヨーロッパのカップルでそういうわけにもいきませんので、ラボ内でもわざわざマスクをとって抱擁したりキスしたりするわけで、、、見て見ぬふりというか、見ても何も驚かぬふりです。まあ恋愛は大いに結構ですが、くれぐれも研究に影響が出ぬよう。。。

小学校登録(2)

-必要な書類

子供の出生届(Geburtsurkunde)か戸籍に相当するFamilienstammbuchs、身分証明書(Ausweispapiere)と、Gesundheitsamt保険局から発行されたVorschuluntersuchungという入学時の健康診断的なものを登録時にもってこいということでした。子供は日本で生まれたので、戸籍謄本の認証翻訳の認証コピーを持っていきました。健康診断なんてあったっけと思っていたら、前年の春のまだ子供が4歳のころに、保健局の人が幼稚園にやってきて検診したらしい。ほぼ一年前。紛失寸前でしたが何とか結果が書かれた色紙を見つけ出しました。母国語がドイツ語じゃないことなどで、いくつかの懸念事項はあるから小児科に相談的なことが書いてありましたが、その後U9の検査(5歳児検査)を小児科でパスしたので、子供手帳も持って行ってクリアです。

学校登録直前の2月下旬に、小学校からお便りが届き、はしかワクチンを接種してないと入学できないので、証明書を持ってくるようにとのこと。ワクチン接種に関して疑念を持っている保護者は、ドイツにも一定の割合いるようで、接種は強制ではありません。しかし、幼稚園や小学校に入るとなると、接種が必要となる場合もあるようです。この小学校では、学校登録の時点では他のワクチンについては不問でしたが、はしか(Masern)は3月からの政府の方針で必須と新たに指定されたようです。

https://www.bundesgesundheitsministerium.de/impfpflicht.html

学校登録自体はA4一枚の申請書で、小学校の公式WebサイトからPDFでダウンロードです。おぉー。日本だと願書取り寄せですよねー。。。個人情報などを入力していくわけですが、珍しいと思ったのは、母国語や宗教を聞いたり、ドイツ語以外の話せる言語を聞く項目があるので、なんだかんだいって多民族・多言語にも対応しようとしてるんだなと。どのお友達と一緒のクラスになりたいですか(Wunschfreund)?という項目もあって、これも幼稚園からスムーズに小学校へ移れるようにとの配慮でしょうか。親を一番怖気づけさせているのが、泳げるか?(Kann Ihr Kind schwimmen?)という項目で、泳げないと体育の授業で初心者クラスにまわされて、全然楽しくないばかりかさらし者にされるらしいという噂です。水泳の授業が始まるまでにはなんとか泳げるにと、結構みなさん頑張って教えるようです。

 

-学童

小学校自体は朝7時45分から始業で、45分授業です。小学校1年生は週に2回(?)だけ、7時45分始業で、残りの日は8時30分始業。曜日によって違うんか。7:45-8:30, 8:35 - 9:20, 9:25-10:10 の3コマ授業のあと、20分間の朝食休憩。運動場でドッジボールする時間じゃないんだな。。。10:30-11:15, 11:15-12:00と1年生はここで終了。学年が上がると、さらにもう一コマ12:15-13:00で午前中(?)のうちに詰め込んでしまうようです。

公立の小学校の校舎の中には学童がついていて、そのあとは任意で子供を預けることができます。ハイデルベルクではpäd-aktivという団体がやっています。

Willkommen bei päd-aktiv - päd-aktiv

申込書を見るとかなり細かく様々なオプションが選べるようで、始業が遅い曜日は、始業前(7:30-8:30)もお願いすることができますし、終業後は、預け終わる時間を13時、14時、15時、17時の中から選びます。給食は月74ユーロの有料オプション。14時以降に預ける場合は宿題の面倒を見てくれるようです。料金は預ける時間や給料によって変わりますが、一介のポスドクだと月200ユーロ行かないぐらいでした。詳細はWebサイトから確認できます。学校登録の日に学童の申請も受け付けるということでした。長期休暇中も開けてくれるようで、それらは別途申請、別料金です。遠足に出かけたりもするようです。

 

-学校登録

いよいよ登録の日。子供と二人で書類を携えて向かいます。僕らは校長先生の秘書さんの方が対応してくれました。お名前なんですか、誕生日はいつですか、父親の名前はなんですか、母親の名前は何ですか、どこに住んでますか、一緒のクラスにしたいお友達はいますかなどと矢継ぎ早に子供に質問が飛んできます。そうなるのか。。。もうちょっと仕込んでおけばよかった。誕生日と住所とかは答えられずじまいでした。ひぇー。まあ、追い返されることはなく、とりあえず書類も不備もなかったということで、親子ともどもそれなりに緊張しましたが、無事申請は受け付けられました。

学童の担当者も来ていましたので、用意してきた学童の申請書も提出です。

就学前の保護者懇談会とかもいろいろ予定されていたのですが、コロナでキャンセルなので、どうなるでしょうか。

 

-お祝いバッグ

Schultüte – Wikipedia

入学の日は人生の記念すべき日のようで、Schultüteという円錐状のお祝い袋をもらうのが習わしのようです。コロナで休園中の幼稚園から、そのSchultüteにつけるワッペン(Schultütenmotiv)を記念に贈るから、どの柄がいいか、どの色がいいかを選んでくれと連絡が来ました。そこまでしてやるほどの大事なことなんですね。。。

 

-鞄購入

日本だとランドセルですが、ドイツでも(Schul)ranzen。ランドセル自体はオランダ語が語源のようですが、この辺りの言語ではどこも近い言葉なのかもしれません。ランドセルよりはもう一回り大きいぐらいの大きさで、革製品は皆無です。年が明けるとデパートやら文房具屋で売られているのを目にします。小さなカバンなどとセットで売られていることも多く、新品のセットだと200ユーロぐらいです。

https://www.schulranzenwelt.de/

オンラインの専門店もいくつもあり、去年の型落ちだと、半額近くで売っています。お店で並んでいるもの見てみると、なにしろダサい。。。もうちょっとカッコよく作れんかいなという感じです。モチーフはたくさんありますが、どれもパッとしなくてさすがドイツという感じですね。あれこれ背負ってみて、息子はMcNeillというドイツメーカーを気に入って、なかなか製品もしっかりしているのでここにしました。

https://www.schulranzenwelt.de/marken/mcneill

型落ち品の方の柄がいいということになって、ラス1の在庫品を注文。すぐに届きましたが、背中の電気がつくところのバッテリーのふたが壊れていました。まあ、電気がつかなくなったところでなんてことはないんですが、息子的には大事なポイントだったらしく。。。テープで貼り合わせときゃとりあえずは間に合いますが、時間経つとはがれて電池の接触の、メールで販売店に連絡。型落ちで替えはないし、返金には応じますが、、、うーん、とりあえずメーカーに問い合わせてみますかということになり、後日部品が届きました。おぉ、、、やってみるもんですね。

 

 

 

小学校登録(1)

子供がそろそろ小学校入学。ドイツの場合はGrundschuleという、小学校1年生-4年生に相当する4年制の学校にまず入学です。

-就学日

小学校は9月下旬から学年が始まります。ハイデルベルクがあるBaden-Württemberg州では、これまで10月1日時点で満6歳の児童は必ず入学しないといけません(Anmeldepflicht)でした。これを俗称Muss-kindと呼ぶらしいです。それに加え、任意入学があるのが日本と違うところで、5歳3か月-6歳未満の子供も保護者の意志によって入学することができます(Freiwillige Anmeldung)。Musskindに対して、俗称Kann-kindということで、入学してもいいよという意味合いです。さらに、入学やり直しというのもあり(Zurückstellung)、入学したものの、まだ早かったなということになれば、次の年にもう一度入学することになります。子供の成長は一人ひとり違うので、成長に応じて就学する感じです。最大だと、入学時点で5歳3か月-7歳までの年齢差があるので、日本の年齢主義とは違うようです。

heidelberg.de - Grundschulen

うちの子供は満6歳なので、来年入学かーなんてことを去年考えていました。

やり直しにした場合は、幼稚園に戻るのではなく、準備のための学校(小学校と幼稚園の間)に通うことになるようです(Grundschulförderklassen)。

heidelberg.de - Grundschulförderklassen

 

-就学日の変更

ところが、夏ころになって雲行きが怪しい感じに。一部の保護者が早期の就学は子供の発育によくないと考えていて、就学時期の再考を求めていたところ、どうやら意見が通りそうなことに。必ず入学しない年齢が、10月1日時点の年齢でいうと、満6歳3か月に3年かけて段階的に引き上げられることになりました。2020/2021は、年齢基準が6歳1か月になるので、うちの子は6歳以上6歳1か月未満なので、新しい基準ではMusskindからKann-kindになりました。ただ、あくまで予定は予定で、州議会(?)でまだ話し合い中で最終決定ではなく、幼稚園の先生たちも何が何だかという感じ。年長クラスの子たちを送り出して、来年は学校行くぞーと意気込んでいる子供に、このややこしい事情を説明すると、困惑したような顔をしていました。

しかしまあ、州レベルでこんなことが決まるなんて、さすが連邦制ですね。各州の基準がWikipediaに出てますが、4か月ぐらいの違いがあるようです。今回の変更で、バーデン・ビュルテンベルク州ももっとも遅いグループになりました。

Kultusministerium - 2019 08 29 Einschulungsstichtag

Einschulung – Wikipedia

 

-就学準備(Vorshule)

ほぼほぼ遊んでるだけの幼稚園から、机に向かって勉強する小学校へ行くことは一大事としてとらえられているようで、上記就学日の変更も、できるだけ多くの子供がスムーズに就学できるようにといった配慮の一環です。就学準備も州によっていろいろ違いもあるようですが、ハイデルベルクで幼稚園に通っていて近隣の小学校に入学予定の場合は、入学一年前ぐらいから定期的小学校から先生が幼稚園へ訪問して、その小学校に入学する子供たちと一緒に、学校生活になじみやすいようにいろいろとやってくれるようです。学校はなにをするところとか、何を持ってきちゃいけないとか。学校訪問もしたりするようです。幼稚園の方も、通常は学年が混じったクラス運営ですが、来年入学する子供だけ集めて準備する時間もあるようです。

Vorschule – Wikipedia

ということで、準備があるので、一年前には、来年入学する意志があるか、どの学校に入学するのかを、とりあえずは仮決定して幼稚園に伝えないといけないのですが、Kann-kindになったので、判断は保護者がすることになりました。なかなか難しいところではありますが、とりあえずは様子を見ながら近所の小学校に入学することにしました。あとで撤回もできるし。幼稚園の先生と12月頃に面談した感じだと、不安も確かにあるけど幼稚園で学ぶこともあまりなくなってきたので、入学したほうがいいんじゃないかなということでした。

 

-入学手続きへ

1月10日に小学校からお手紙が届き、入学手続きの案内(Einladung zur Schulanmeldung)。日本だと、住所によって教育委員会が割り振ったりするかと思うんですが、あくまでも各小学校が主体のようです。手続きや事務作業を考えれば、集中した方が効率がいいようにも思えますが、小さな都市が数多く残っているドイツでは、やっぱり自分たちのことは自分たちで決める・やる感じなのかもしれません。親がぼーっとしてて、どこにも登録しない子供がいたらどうするんだろとかと思っちゃいますが、それは保護者の責任ということなんですかね。3月5日、6日が学校登録の日で、その前の1月30日午後7時に保護者説明会(Informationsabend)が開かれるとのことです。

1月23日に再び届き、前述の就学日の変更が正式に決定し、Kann-kindなので子供を入学させるかどうかの意思を返答してほしいとのお知らせ。登録の一か月前なんで、結構学校側もバタバタです。学校に入学しますとお手紙で返答。

1月30日は保護者説明会。場所は学校の講堂兼体育館でほとんどの保護者が参加といったところでしょうか。参加しやすいように夜に設定され、両親そろって参加している方もおられました。服装を心配してましたが、カジュアルフォーマルの人も入れば、普段着に近い人もいたので、一安心。簡単な飲み物や、学校のシールが貼られたRitter SPORTチョコも各座席に置いてありました。人を招くということは、そういうことなのね。。。

学校登録は子供と書類を連れて一人ずつやるようで、タイムテーブルに各自時間を書き込んで予約するようになっていました。なるほど。ひとしきりスライドを使って今後のスケジュールなどを説明されました。丁寧な言い回しで、Dankeじゃなくて、Wir bedanken unsみたいなドイツ語でした。ほとんどわかりませんでしたが、スライドのおかげでなんとか理解。最後は学童(ハイデルベルクでは放課後にpäd-aktivという団体が校舎内外で子供を預かることになっている)の方も来て、うちも見ていってねとの案内もありました。質疑応答もあり、一時間を超えました。疲れる。。。

最後は学校見学ということで、各教室を歩いて自由に見学です。まあ、皆さんご近所さんなので、お知り合いが多いようで話が盛り上がってましたが、他にアジア人はおらず、、、大丈夫かなあ。1年生は特にまだ集中できないかもしれないということで、教室の後ろには遊ぶスペースも設けられてました。へー。