2017年9月24日の日曜日に、ドイツ連邦議会選挙が行われました。結果や選挙制度などはドイツ大使館がわかりやすくまとめています。
日本の衆議院と同じような小選挙区と比例代表の並立制ですが、比例票をまず各政党に割り当て、そのあとに小選挙区で当選した人数を引いたり、超過議席で調整したり、5%の投票数にいかない政党には議席を与えないなど、いろいろややこしいようです。結局のところ、国会全体の議席の党の割合はほとんど比例票で決まります。こちらはWikipediaが詳しいですが、299選挙区のうち、小選挙区ではメルケル首相が党首で率いるCDU (Christlich-Demokratische Union Deutschlands ドイツキリスト教民主同盟)やCSUが231選挙区で勝利し議席を獲得しています。一方、比例票に基づく議席配分では246議席のため、比例で追加された議席はわずかに15議席でした。それに比べて、ニュースでよく話題になる新興政党のAfD (ドイツのための選択肢 Alternative für Deutschland)ですが、小選挙区で勝利したのはわずかに3議席。ただ、比例票に基づく議席配分では94議席のため、91人が比例名簿で当選しました。
ちなみに、Heidelberg選挙区の結果は市役所がまとめていまして、CDUのProf. h.c. Dr. Lamers, Karlが当選しました。Prof. h.c.は名誉教授の意味です。4年前の選挙より獲得した票が8%下がって33%ですから、結構厳しい評価ですね。2013年からはCDU/CSUとSPDが連立政権を組んでいましたが、ご覧のとおり小選挙区では与野党とも各政党が候補者を出し合って競い合っています。全部で候補者は10人もいました。日本では候補者調整を与党も野党もやりますから、やり方がだいぶ違いますね。各小選挙区で殴り合ってから、連立の相手を探すようです。実際、選挙が終わって一か月たちましたが、まだ連立の相手が決まっていないようです。なお、ハイデルベルクでは無所属はいませんでしたが、他はどうなんでしょう。結局比例票で政治が決まるんじゃ、あんまり無所属で出る意味も確かにないような。。。
Bundestagswahl 2017 Wahlkreis 274 Heidelberg – Erststimmen (Standard-Darstellung)
比例の結果はこちらです。Heidelbergは第332選挙区(Wahlbezirke)です。まあ、大体小選挙区と結果は変わりませんが、こちらは泡沫候補ならぬ、泡沫政党が立ち並び、全部で21政党もあります。小選挙区で3つとるか、比例票で5%行かない政党に議席はないみたいです。
Bundestagswahl 2017 Wahlkreis 274 Heidelberg – Zweitstimmen (Standard-Darstellung)
投票用紙はこんな感じです。ドイツ大使館のTwitterより引用。候補者の名前を書かせるのは日本ぐらいなもので、それはそれで誇らしいですが、数%は無効票が出るようですからいいのやらわるいのやら。
日本の選挙は投票用紙に直接候補者の氏名や政党の名前を記入しますが #ドイツ連邦議会選挙 の投票用紙は、自分で候補者の名前を記入するのではなく該当箇所にチェックをつけます。ちなみにドイツで該当箇所にチェックするときは、✔ではなく✗ ←バツ印です。選択肢にチェックといえば✗なんです。 pic.twitter.com/QIsiJlaUoa
— ドイツ大使館 (@GermanyinJapan) 2017年9月6日
ポスターは日本以上に、政党名と候補者名しかないです。Rhein Neckar Zeitung よりパシャリ。
日本のように指定された場所ではなく、ポスター、というかポスターボードは、好きなところに取り付けていいようです。街灯の柱など、あらゆるところに取り付けられていました。川岸にはもっと大きなポスターボードもありました。町中がポスターだらけになって、選挙なんだなあという感じがします。選挙カーみたいなうるさい選挙運動は特に見当たりませんでした。AfDの青色のポスターは大体一番上だそうで、なんでも下の方に取り付けると勝手に壊されちゃうんだとか。。。
CDUがUni Platzで大会を開き、メルケル首相もやってくるというので、冷やかしに見てきました。広場がいっぱいになるほど人が集まっていました。ビールやらソーセージの屋台も出てました。ビール片手に政治談議というのも悪くないですね。写真では見えませんが、前の方は関係者(?)が椅子を並べてずらっと座っています。メルケル首相が見えているのは中継のスクリーンで、肝心のご本人の姿は聴取が掲げた黒い横断幕で隠れています。日本の選挙戦でも、最近は演説中にネガティブなメッセージのプラカードを掲げるようになったようですが、こちらはもっと多いです。40分ほどの演説でしたが、ドイツ語はほとんど意味わからなかったものの、雇用・社会保障・教育の問題に時間をよく割いていたようです。スピーチ後にトマトを投げつけられたようで、ニュースになりました。
投票率は76.2%で関心は高かったようです。研究室の学生たちも選挙のことはいろいろと興味を持っているようでしたが、どうせCDUとSPDが連立するのよと、どこか冷めているようでもありました。
日本の衆議院選挙もありましたが、在外選挙人証までは手に入れたものの、いろいろと予定の調整がつかず、投票までたどり着けませんでした。。。残念。フランクフルト総領事館まで行けばよいかと思っていたのですが、予定に変更があって。。。こんなことなら郵送で投票用紙を頼んでおけばよかったですかね。次回の参議院選挙こそは。。。
河野外相がインターネットを利用した投票の検討を指示したとのことですから、早くそうなってくれないかなあ。