Wunderbarな日々

妻子連れ30代生物系ポスドクのドイツ滞在記です。

ワールドカップ2018(Weltmeisterschaft 2018)

2018年6月はサッカー・ワールドカップ@ロシアでした。2年前の時のEURO 2016のとき以上の盛り上がりでした。

 

・ヨーロッパ予選

ヨーロッパ予選グループCに入ったドイツは北アイルランド、チェコ、ノルウェー、アゼルバイジャン、サンマリノと対戦。ホーム&アウェイの10試合で10勝0敗で43得点4失点と圧倒的な成績。2017年10月5日の9戦目で、北アイルランドに勝利してW杯出場を決めました。日本は8月31日にもうW杯を決めていたので一か月ほど遅かったです。グループ内で強豪もいなかったので、特に予選は盛り上がる感じではなかったです。W杯王者の貫禄という感じでしょうか。周りの反応も、まあ、また勝ったねぐらいな感じでした。

 

・親善試合

風向きが変わり始めてきたのは開幕直前の6月の親善試合。オーストリアに32年ぶりに負け、サウジアラビアにもなんとか2-1で辛勝。内容もよくなかっただけに、うちの代表大丈夫か?とか、今年の代表は強くないとかとの声が同僚たちからも漏れるようになりました。

 

・予選第1戦

ドイツはメキシコ、スウェーデン、韓国と同じグループF。6月17日(日)にメキシコと初戦でした。街の中もだんだんとドイツの国旗が飾られ、フェイスペインティングする人も増えてきてやっとワールドカップモードに。子供の幼稚園にはトーナメント表のポスターが張り出され、大学の食堂(zeughaus-Mensa im Marstall)でもパブリックビューイングが行われ、芝生のところに巨大なスクリーンが登場しました。普段スポーツバーじゃないようなカフェもどこからか大きいテレビを持ってきてサッカー中継です。大学の食堂に見に行くと、前の試合のコスタリカーセルビア戦も映してましたが、さすがにまだ人はまばらで、芝生で子供とサッカーできるぐらいでした。ソーセージのスタンドもビールのスタンドも休憩。まあ、自国の試合だけじゃなくて、ほかの国の試合も時間ある限り映してくれるのはありがたいです。テロ対策ということで、入口には警備会社の人が手荷物検査をやっていて、人数制限もありました。

前のコスタリカーセルビア戦が終わるぐらいになって人が増えてきて、最前列にはなんとメキシコ国旗を身にまとってソンブレロという帽子をかぶった軍団が出現。勇気ありますね。さすがです。結果は0-1でいいところなく、ドイツがほぼ完敗。こりゃやばいんじゃないかという雰囲気が出てき始めました。うちのラボにはメキシコ人も韓国人もいるのですが、翌日はラボのドイツ勢が、「メキシコが買ったんだから、ケーキもってこい!」とぶー垂れてました。その日はスウェーデンー韓国戦も行われ、韓国の敗戦。さらに翌日の6月19日には日本がコロンビアを破り、何人かから、「日本案外すごかったねー」と声をかけられました。

 

・予選第2戦

6月23日(土)に第2戦。メキシコが2-1で韓国に勝ち、負けると敗退が決まるドイツは背水の陣。ドイツでは20時の試合開始で、家のテレビで観戦。実際この試合が一番視聴者が多かったようで、Einschaltquotenは推定でドイツで2748万人が試合をテレビで見たそうです。視聴率(占有率:Der Marktanteil)換算だと86.3%。。。すごい。

Statistik: Ranking der Spiele bei der Fußball-Weltmeisterschaft 2018 in Russland mit den meisten Fernsehzuschauern in Deutschland (in Millionen) | Statista
Mehr Statistiken finden Sie bei Statista

Auch ohne Deutschland: Fußball-WM beschert ARD und ZDF hervorragende Einschaltquoten - CHIP

メキシコに負けてギアが入ったのかと思いきや、単調な攻撃をひたすら繰り返すような感じで、見ていてもあんまり面白い試合じゃありませんでした。後半延長5分のギリギリでドイツが2点目の決勝点を入れて辛勝。決勝トーナメント進出に望みをつなげます。そのあとスーパーに買い物に出かけましたが、道行く車がクラクションを鳴らしてお祝いしてました。これがドイツ流なのか。テレビの放送はオリバー・カーンが解説を務めてました。日本のように女性タレントや芸人を起用することもなく、ひたすらサッカーを語るような感じで、派手なテロップもなし。日本だと試合後はゴールシーンのハイライトやインタビューを繰り返し放映しますが、そういうのもなく、淡々としてました。これもドイツ流。

翌日24日(日)は日本ーセネガル戦。こちらはスリリングな試合展開で見ごたえありました。翌日月曜日には「日本結構いいサッカーするねえ。」と何人かからほめてもらいました。みんな結構見てますね。上記のデータでもドイツと関係ない試合でも視聴者は軒並み1000万人を超えています。

 

・予選第3戦

運命の第3戦のドイツ―韓国戦は27日(水)。初の平日。16:00からでどうせみんな仕事にならないということで、ラボのセミナー室でビール持ち込んでパブリックビューイング。ドイツ公共放送のARDはテレビだけじゃなく、公式サイトでストリーミング配信してるのでPCをプロジェクターにつなげるだけです。韓国人ポスドクは勝ったらしばかれるわー、ということで早退。メキシコ人ポスドクはノートPCを持ち込んで裏でやってるメキシコ―スウェーデン戦を同時観戦。

試合は第2試合と同じような膠着状態。ドイツ代表のヘディングというヘディングがネットを揺らしません。裏のメキシコ―スウェーデンは0-3でメキシコが負け、スウェーデンとメキシコが2勝1敗で並びました。しかし、得失点差でメキシコは-1点で、ドイツが勝つとメキシコが進出できないため、メキシコ人ポスドクは韓国サポーターに様変わり。1勝1敗のドイツは勝たないと進出できなくなりましたが、後半アディショナルタイムに韓国に先制され万事休す。アディショナルタイムがやたら長くて、ドイツ人からも「裏で審判に金渡してるんじゃないの?」「負けは負けでいいから試合終わらせてくれよ。」と文句が出たところで、韓国2点目。試合終了でドイツはワールドカップ予選リーグ敗退となりました。翌日、韓国人ポスドクによれば、家に早く帰ってよかったというのと、朝家出るときにメキシコの人から感謝されたとのことです。ワールドカップは国際交流をも促しますね。

 

・その後

翌日28日(木)は日本ーポーランド戦。後半終了間際の敗者のボール回しはドイツでも批判されましたが、試合後長谷部キャプテンがドイツメディアのインタビューにドイツ語で応じ、„ein komisches Gefühl“ gewesen, „aber so ist Fußball.“(変な気持ちだけど、それもまたサッカー)とけろっと答えていました。国営放送で流せるレベルのドイツ語だったのか。すげー。

Eine Schande für den Fußball - Fussball-WM - Berliner Morgenpost

ドイツが負けてからというもの、街のサッカー熱は一気に下がり、応援グッズのバーゲンセールが始まりました。HauptstraßeのDarmstädter Hof Centrumでも決勝トーナメントに合わせたイベントが催されていたのですが、人は閑散としてました。まさかドイツが負けるなんてというショックの具合が伺えます。日本もメキシコも決勝トーナメントでは初戦敗退して、ラボメンバーの出身国ではロシアが残ってましたが、この学生はまるでサッカーに興味なし。「日本-ベルギー戦良かったよ!痛がる人(=ネイマール)いないし、面白い試合だった」と何人かからほめてもらいました。息子の幼稚園でも、サッカーが流行ってましたが、痛がる人(=ボールと関係なく転げまわる人)がしばらくはやったそうです。みんなの人気はゴールキーパーで、フィールドプレイヤーとゴールが足りないらしい。。。

 ヨーロッパ流のサッカーの楽しみ方は賭けサッカーらしく、ブッキングメーカーのtipicoなどのお店がいくつもあります。例えばドイツ―韓国戦では、韓国勝のオッズが15-19倍にもなったので、一儲けできそうな感じ。実際、ドイツ―韓国戦の勝敗だけ読み間違えて、6000ユーロ逃したと、中華料理屋のおじさんが言ってたり、韓国が勝って2000ユーロ儲かったよという話をまた聞きに聞きました。次は、、、って4年後はもうドイツにいないだろうけど、やってみたいと思います。

Südkorea vs. Deutschland - Wettquoten WM 2018 Gruppe F | Sportwetten Test

みんなが同じゲームを見てるので、いろいろと話題の種にもなりやすく、いままでしゃべったことがなかった人とも交流するきっかけになりました。2016年のオリンピックよりも断然盛り上がっていて、文化の違いを感じました。