Wunderbarな日々

妻子連れ30代生物系ポスドクのドイツ滞在記です。

COVID-19中の一時帰国

・発端は歯医者

ハイデルベルクでは3月下旬から幼稚園が閉鎖。当初は公園で遊んではいけないなど規制も厳しく、毎日散歩で外出するぐらいでした。子供の歯医者は何とか空いてますが、いきなりそりが合わなくなって息子が暴れはじめ、口を開けて機械を口の中に入れるだけで泣きじゃくるようになってしまいました。これまでは機嫌よく何本も直したんだけど、なぜ最後そうなってしまったのか。。。予約が午後になって延び延びになってしまい待ちくたびれて眠かったのかなあ。。。わからん。

最後の虫歯の治療で大きなクラウンを入れられ妻はカンカン。昔からドイツでのアマルガムを用いた治療はかなり制限されていましたが、2018年7月からドイツでは15歳以下の乳歯に対する合金を用いた治療は原則禁止となったそうです。ということで、日本ならインレーとかで済むものもドイツでは基本クラウンで対応。しかも既製品でサイズが合わないものを泣きじゃくる息子に無理やりあてがったらしいと後々判明。オオカミ少年じゃないけど、いつも痛いって泣いてると肝心の時に気づかない。。。

https://www.bzaek.de/fileadmin/PDFs/b/Position_Amalgam.pdf

子供専門の歯医者でドイツの中ではかなり良い方の歯医者でしたが、泣きじゃくって一時間やっても治療ができないこともあったりすると、さすがに商売あがったり(治療代を請求できないので、材料費だけ実費で支払いました)。次の予約を取るのも難色を示されるようになり、とりあえず二、三か月おいてパニックが落ち着いたらまずは検査から始めましょうとのことに。ドイツで他の歯医者にも通ってみますが、それでも妻は満足いかなかったようで、子供連れて日本に帰国して治療するということになりました。ドイツからの一時帰国に難色を示していた妻の実家も、歯なら仕方がないと一転して受け入れ態勢に。そういうものですか。。。

 

・日本へ一時帰国

帰国自体は思ってた以上にスムーズでした。6月上旬に一週間後のチケットを予約。この時期でも全日空NH204 フランクフルトー羽田便は毎日飛んでいました。価格も大人一人12万円ちょっと。航空会社はこれじゃ利益にはならんでしょうが、ライフラインとして飛行機を飛ばしてくれる皆様方には感謝です。フランクフルト空港はもちろんガラガラですが、特に何事もなく通常通り搭乗です。機内食はあまり期待できなさそうという情報でしたので、機内で食べるものだけは準備していきました。

妻の実家が関東圏だったので車で迎えに来てもらい、入国もスムーズ。検査はありましたが子連れで優先してもらえたようで、着陸後1時間ちょっとぐらいで空港から出れたようです。自家用車がない人は、タクシーはだめだけど、ハイヤーならいいとかよくわからんルールです。

ここから2週間は自宅隔離生活。心配していた検査結果も陰性でとくに何も変わったことはありませんでした。ドイツではまだかなり制限された生活だったのですが、日本の方がだいぶ緩いように感じたようです。ハイデルベルクでは、レジ打ちの周りは大概アクリル板で覆われ、支払いはできるだけカードでするようにお願いされ、やっとこさ再開した店舗は大概買い物カゴの数で入場できる人数を制限してましたが、、、まあ、どれが有効な対策かはよくわからないわけですが、「自粛を要請」というのがいかにも日本らしいです。ドイツはそのあたりルールを作りに行ってしまうので、「マスクしろ、さもなくば罰金」になるわけで、さらに進めば、罰金払ってるんだからマスク外してもいいだろという理屈も成り立ち、そのためにわざわざ常習犯は○○というルールまで作る徹底ぶり。罰金の代わりが周りの白い目になるのが日本ですかね。うまくいけば何でもいいですが。

 

・保険など

短期滞在を理由に、以前日本で住民登録を拒否されたことがあり、そのため、国民健康保険に加入できませんでした。その時はドイツで私的保険で、海外での治療もカバーされていたので事なきを得ました。今回は、念のためドイツで海外旅行保険にも加入しました。公的保険はTKという会社ですが、提携先のenvivasで契約すると安いらしい。

https://www.envivas.de/

一回あたり60日以内の海外旅行までだと、TK加入者の場合は家族全員で年間28.90ユーロ。しかも、何回海外旅行に行ってもいいらしい。治療費全額負担の保険なので激安。。。それぐらいみんな海外旅行に行くってことなのね。結局使うことはなかったので、いいのか悪いのかはわかりませんでしたが。この状況でも日本での滞在は保険適応内ですかと聞いてみましたが、問題ないという回答でした。それよりも福島原発に近づいた方が問題らしい、、、さいですか。

今回はコロナの影響もあってか、無事に住民登録を受け付けてくれ、妻が世帯主になって国民健康保険にも入れました。小児医療助成を申請しようとしたところ、僕がまだ海外にいることを証明するために、戸籍の附票を提出するようにとの指示。関係あるのか、それ?まあ、言われるがままに郵送請求して一週間後に受け付けられました。子供手当はドイツで頂いているので、日本では申請しませんでした。このあたりどうするのが正解なんだろうな。。。市役所へは妻の両親が委任状を持って手続きに出かけていただきました。

 

・滞在

僕は実際に行ってないのでわかりませんが、自宅隔離後もひたすら虫取りやら、魚釣りやらで、人混みを避けておじいちゃんとの夏休みを過ごしたらしいです。日本のかかりつけの歯医者さんは泣きわめいても治療止めないで淡々とやるので、しまいには泣かなくなったらしいです。さいですか。ドイツの歯医者が無理やり治療したところは結局一回クラウンを外して、炎症が起きてたので収まるのを待って、丁寧に治療しなおしたそうです。やれやれ。ドイツ人は歯が強いのかね。。。

 

・再びドイツへ

8月上旬の予約で、昼便のNH223でドイツに戻ってくる予定だったのですが、この便はコロナでずっと欠航していて、7月末になって案の定欠航が決まり、振替するようにとの連絡が入りました。正確には深夜便に振り替えたのでよければWebサイトで確認を、無理なら電話してくださいとのことだったので、電話して、次の日の深夜便のNH203便(羽田0時10分発)に変更しました。この時は、ドイツは現在の感染状況からみて日本からの入国を通常通り受け入れるつもりではあるが、日本がEUからの外国人の入国を拒否しているので、まだ受け入れられないというスタンス。

新型コロナウィルス感染症に伴う査証(ビザ)制限・出入国制限・渡航制限 よくある質問(FAQ) - ドイツ外務省

ただ、ドイツで居住している外国人に関しては例外で、滞在許可証を見せれば何事もなくスムーズに入国できました。日本からの入国の場合は特に自宅待機期間もありませんでした。

 

緊急事態なので仕方がないとは思いますが、日本では外国籍の人は一律入国禁止、滞在資格や永住権を持っていても再入国禁止になって約半年が経ち、この9月でようやく解除になりました。疫学の観点からすれば人の往来は減らすに越したことはないだろうし、国籍で縛るのが一番やりやすいのでしょうが、一方で、日本に長年住んでいても、こういう時は日本人とは違う対応をされるんだなという感覚はなかなかきついものがあると思います。疫学的にも国籍は本当は関係ありませんから、日本は日本人のための国なんだなとつくづく感じさせられます。この間、ドイツに居住している外国人がドイツへ入国するのを制限されていたことは一度もありません。いろんな事情があって日本を選んで来てる人たちなんですから、もう少し大事にしてあげてもよい気がします。「入国管理局」という名前からして優しさがないよね。。。わざわざ改称して「出入国在留管理庁」にしたらしいですが。

練馬在住32年でも「二流市民」か 再入国拒否の絶望 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

 

まあ、「歯医者ぐらいでドイツから日本に帰ってくるなよ、ウイルス持ち込んできたらどうするつもりなんだ!」との批判もありえそうですが(そんなにアクセスがあるブログでもありませんが)、特に反論もありません。