Wunderbarな日々

妻子連れ30代生物系ポスドクのドイツ滞在記です。

研究雑話(16)

・面接

 7月末、JSTより選考日程のアップデート。いまどきツイッターで告知するのか。。。しかもこの情報、たしかツイッターでしかつぶやかれてなかった気がする。

https://twitter.com/JST_Kisokenkyu/status/1289025490246754304?s=20

 該当領域の期日が過ぎても連絡が来なかったので(落ちた人は郵送通知)、まあ、落ちたかなと思いましたが、一日遅れで面接へのご連絡。。。いろいろ心臓に悪い。中の人もコロナとかで、てんやわんやなんでしょう。面接自体はコロナの影響でオンラインですることになったので、日本に帰る口実がなくなりました。残念。

面接の日程は3週間後。面接までに提出するファイルやら、説明書きやらで10個ぐらいのファイルがどっさり送られてきました。ZOOMの使い方についてスクリーンショットがいっぱいの説明ファイルもついてきて、こういうの作ってたから期日に間に合わななかったんだろうな、、、でもZOOMのサイトの説明書き読めでいいんじゃないかな、一応対象は若手研究者なんだし、ZOOMみんな使い始めてたし。

そこからは準備に追われる日々。大学本部ともやり取りして、チェックリストという書類に署名をもらわないといけません。大学もJSTとのやりとりは初めてなのでいろいろ慎重になります。チェック項目に「原則として、上記以外の条項においてもJSTが指定する内容で契約を締結すること。」というのがあるのですが、英語版は「原則として」が抜かれてあり、結局大学の法律担当の人は契約書の全条文をチェックする羽目に。。。しかもミスでこの項目だけチェックされないまま署名されてしまって、JSTに釈明したり、大学本部から事情を聞いたりと、てんやわんやでした。最終的には無事何とか間に合いました。

学振側ともやりとり。JSTとしては、海外学振の身分でさきがけをもらうことに問題はないかという確認をしてほしいとのことで、海外学振側に問い合わせて、前記事での受給条件を満たせばOKとの言質をメールでとり、JST側に転送。月額10万円の兼任報酬を辞退することで問題がないようです。一件落着かと思いきや、面接の直前になって、今度は、JSTとしては、海外学振のテーマを含むような研究提案という形は既存のテーマにお金を足すという形は受け入れられないので、海外学振とは別のテーマであることを希望。そのあといろいろ頑張って、面接後もやり取りが続きましたが、何とかJST、学振両方が合意できるような形で着地させることができました。今回は学振側がずいぶん柔軟に対応してくださいました。

面接はプレゼン10分に質疑応答15分。上記のようなもろもろに追われ、たどり着くだけでもう精一杯という感じで、あんまりしっかり準備ではできなかったです。反省。だって。。。以下略。一応上半身だけスーツに着替えて、ラボのセミナー室を貸し切って臨みました。おおむね申請書どおりにプレゼンし、追加でとれたデータも少し足しましたが、あくまで研究提案なのでこれから解くべき問題・手法について時間を多めに割きました。質疑では将来的に何がやりたいのか、一番の売りはなんなのか、などについても聞かれましたが、他は科学的な質疑応答でした。ZOOMでの質疑応答はちょっと難しく、誰が聞いてるのかすぐにはわからないし、タイムラグもあって2、3問はうまくかみ合ってませんでしが、ほかはなんとか答えられたかなあ。終わるとどっさりと疲労感で、ちょうど8月末で、この夏はこれで終わった感じです。

 

・採択

面接後もいろいろと電話・メールでやりとりがあって、約3週間後に、メールで採択との通知。Wow!と喜んだのも束の間で、だんだんとプレッシャーの方が大きくなってきましたが。。。領域会議怖い。。。

 

・採択後

研究計画書やら、予算計画書やら、採択後も書類がどっさり。学振側にも研究資金受給届を提出。大学広報にも一応お知らせ。

海外の機関とは、研究開始日以降になってようやく契約締結の手続きが始まり、こちらも紆余曲折合って、一か月半ぐらいかかってようやく締結。お金が実際に振り込まれるのは研究開始日の3か月後ぐらいのようです。今現在まだ振り込まれてません。国内ならお金が振り込まれる前から使えるようですが、海外だとどうなんでしょうね。。。予算間の付け替えはあとで簡単にできるようですが、僕がもってる研究費はほかにないし、ボスに毎回頼むのもなあ。。。悩ましいところです。まあ、請求書はどうにかなりますが、技術支援員や学生を雇うとなると、そのあたりの計画がたたないと難しいです。たぶん無理そうだと見込んで、初年度は人件費計上しませんでしたが。また、国内と違って、海外機関では年度繰り越しができないようです。うむむ。

 

・創発

さきがけの採択情報が公開されたと同時に、JSTより連絡が入り、重複制限の対象となりますので、さきがけを受託するなら創発の申請を取り下げてくださいとの旨。放置すると不採択になるので、応募できる回数が一回減ってしまいます(?)。お金の使い勝手は創発の方がよかったので、あわよくばこっちをと一瞬浮気心に思ったこともありました。ごめんなさい。さきがけさんと一蓮托生します。

 

・影響

正直なところ、まさか通るとは本気で思ってなかったので、将来の身の振り方についていろいろ急に考えさせられることになりました。さきがけ研究は3年半あるのですが、海外学振は開始時点であと1年3か月しかありません。現ボスは特に雇える予算はもっておらず、「いてくれるのはいろいろ助かるけど、君のキャリア的にもそろそろ異動だよね。」というのはお互い思うところです。

さきがけ専任研究員となればJSTから給与が出るし、研究費ももっていくんじゃ、国内のはどこでも受け入れてくれる可能性が高いはずです。人間として個人的に嫌われてなければ。。。そういう意味じゃ非常にありがたいシステムで、研究を進めるうえで一番いい環境に入れます。4000万円もあれば、結構な設備投資もできるので、できればどこかで腰を据えてやりたいところです。ただ、早く動かないと人材的な魅力は研究費の使い込みとともに減っていきますし、物を買ってから動くのは面倒だし、海外学振が終わるのを待ちたくはないなというのが心情です。また、雇用する側に立てば、人件費という意味でも魅力的で、ドイツでフルタイムの技官さんを雇うと年俸600万円はくだらないですが、日本は2-300万でいけるらしい。まあ、それがいいかどうかはまた別の問題ですが。。。博士課程の学生もしかりで、日本ではRAとして年俸200万円が推奨されていますが、ドイツでは支出する方は4-500万円ぐらい用意しないといけません。

となると帰国一択のような気もしますが、一方でこのライフワークバランスは手放しがたいものでもあります。日本で一人だけ9-17時で帰ったり、バカンスで2週間休み取ったら確実に浮くし、し烈な競争に勝てる気がしません。。。ドイツはそれでも研究が回るようなシステムになっていますが、日本で一人で孤軍奮闘してもなんとかなる問題ではない。。。給料や福利厚生面は断然ドイツの方が良く、また、独立ポジションのチャンスは日本よりは多い印象です。任期なしの職に就くのは同じぐらい大変ですが、、、さきがけ研究をやるとなると、他のプロジェクトで雇用されるポスドクにはなれないし、教授の下の助教である程度自由に研究できるようなポジションは、ドイツではほとんど見当たりませんので、必然的に独立しか方法がありません。そして、海外で続けるとなると、子供が小学校に入学したこともあって、できるだけドイツ語圏で探したいところです。アメリカ・イギリスもいいけれど、、、うーん。

ということで、最終的にはせっかくのチャンスなので、年内いっぱいぐらいはドイツ語圏のグループリーダポジションに応募してみて、だめそうなら来年は日本に帰って腰を据えてやることにしました。来年末にハイデルベルクに残らないよう(=職探しが失敗して他が見つからない)、がんばります。

赤裸々に書き過ぎかな、、、まあ匿名だし(笑)。だれも傷つけないよう配慮はしたつもりですが、差し障りがあるようでしたら削除しますのでご一報ください。

 

・領域会議

2期生(今年度採択)だけの領域会議と、1期生も交えた領域会議が終了しました。残念ながらオンライン開催。また日本に一時帰国する口実が一つ減りました。コロナよ、早く終わってくれい。。。内容は守秘義務があるので何とも言えませんが、、、まあ、よくもまあこのメンバーに入れさせていただいたという感じで、とても刺激的でした。ポスドクよりは先のステージに進んでる人も多く、抱えてる複数のプロジェクトのうちの一つがさきがけ研究ぐらいな感じで、将来はこうならないといけないんだなと勉強になりました。こっちはもう、ほぼ全戦力・データつぎこんで、やっとこさ1プロジェクトですからね、貫禄+余裕具合が違います。一年ごとに進捗をチェックされるので、緊張感をもって取り組みます。そのためにも早く居場所を見つけないといけませんね。