Wunderbarな日々

妻子連れ30代生物系ポスドクのドイツ滞在記です。

引っ越し(2)

ああ、11月も更新が落ちてしまいました。。。なんなんでしょうねえ。日本にいるとやることが次から次へとわいてきます。

 

・次の店子(Nachmieter)を探す。

契約上3か月前の通知。ただ、急に帰国が決まったので、通知した時点ですでに3か月を切っていました。ラボの人に聞くと、大家さん側は、通知から3か月分の家賃を請求する権利があるらしく、前の店子からとっておいて、次の借りる人からもとるなど二重獲りが結構ざらにあるらしい。次の店子がすんなり決まれば、その分は取られないので、私たちも頑張って探すのを手伝います。日本だと、借りてる人が次の人探すなんてほとんどありませんが、そういう事情もあるようです。私たちにとっては、引き取ってもらえる家具などがあると、処分する手間が省けますし、大家さんにとっても、不動産屋に頼むと手数料が取られますから、直接見つけられると、その分節約できます。

ImmobilenScout 24などの大手賃貸サイトにも、Nachmieter探しの物件を見かけます。どうしたらいいかなどのチップスがまとめてあったりもします。

Erfolgreiche Nachmietersuche

とはいえ、こっちもいろいろ忙しく、見ず知らずの人とドイツ語でやりとりするほどの自信もないので、そこまではしませんでした。身近なところで、大学や、日本人、中国人の掲示板・グループチャットなどには情報を載せました。Neuenheimというところは高級住宅地で、以前なら空きが出たらすぐに埋まったものですが、コロナの影響もあるのか、なかなかそうとはいきません。私たちの広告伝いだったり、大家さんの紹介だったりで、問い合わせはぽつぽつとあり、内覧も何回かしたのですが、最後まで決まることはありませんでした。内覧のたびにそれなりに片付けないといけないので、妻はだいぶぶつぶつ言ってましたが。。。

 

・部屋の引き渡し

結構もめるところのようです。

問題となったのは木製・無垢のフローリングで、ところどころはがれてくるところがありました。大家さんには知らせていたのですが、水分が足りてないから、渡した液体せっけんでよく水拭きするようにとの指示でした。指示に従ってやってると、どんどん余計にはがれてくるようになり、、、

 

ドイツには家主協会(VermieterVerein)と、借主協会(Mieterbund)があり、双方が自分たちに都合の良いような賃貸契約書のテンプレートを出しています。間に不動産屋が介在している場合は、そこと交渉すれば良いのですが、うちの場合は、いろいろ特殊事情で、適当にそこらへんから拾ってきたような賃貸契約書だったので、あんまりこれをベースに解決する感じではありませんでした。どっちもたいして条文読んでないし。。ドイツに来て間もなかったころはそのあたりの事情もよくわからず、適当にサインしていたのが実情です。だって物件見つからなかったし。。。

Mieterverein Heidelberg e.V.: Home

ドイツ人でもそのあたりはもめやすいようで、ハイデルベルクにもテナント協会があり、年会費64ユーロを払っておくと、そのあたりいろいろ相談に乗ってくれるそうです。

Mieterverein Heidelberg e.V.: Auf einen Blick

大家さんとしては、どっか損害賠償保険に入ってないのかということでしたが、あいにく公的保険に変更したときに、やめてしまって、特に探して加入はしなかったのでありませんでした。どこか契約しておけばよかったかもしれません。言われたとおりにメンテナンスしてたから、こっちの責任じゃないだろというのがこちらの言い分。いろいろあって話し合いということになり、家賃二か月分の敷金(Kaution)から適当な金額を決めて引いて、それで解決ということになりました。日本と違って、敷金は原則全額返ってくるそうですが、まあ、あれにつけてこれにつけていろいろ取られるようです。まあ、本当に全面フローリング張替えとかなったら、敷金じゃ足りないので、敷金内に収まってよかったかもしれません。

取られたお金で本当に修理するかどうかなんて誰にも分らないですが、大家さんが特にあくどいという感じでもなく、次の借主が見つからなかったので、請求する権利があった家賃も請求されず、結局とんとんという感じでしょうか。ドイツでは次の人に貸す前にクリーニングを入れないことが多いので、大家さんから「ここキレイにして」みたいな要求がすごいとうわさを聞き、妻がせっせかと、水垢がなくなるまであちこちをピカピカにしていたのですが、敷金が一部取れて満足したのか、特にみられることもなく、何も言われなくて済みました。「そんなんだったらここまできれいにしなくてもよかったじゃん!」と妻はキレてましたが。。。壁も最後はもう一家塗って返すみたいなことも多いそうですが、そのあたりも免除ということになりました。

教訓としては、借りるときは床にも気を付けろというところでしょうか。薄い無垢材は問題が起きやすいので避けたいところです。損害賠償保険は入っておいてもよかったかもしれませんが、賃貸は対象外のところも多いです。 Privat-Haftpflichtversicherung に補償範囲が含まれているかは要確認です。Mieterbundに入っておいてもよかったかもしれませんが、結局年会費に見合うだけのものがあったかどうかは何とも言い難いところです。間に管理会社が入っていれば、そのあたりはもめずに済むのでしょうが、まだまだドイツでは大家さんが直接貸しているところが多くて、選り好みできるほどの選択肢があるかどうか。

 

・帰国

昼の便を予約しました。NH204 13:30- FRA-HNDです。全日空のこの便だけは、コロナ禍のなかも毎日飛ばしてくれていて、ありがたいです。当日の朝に少し時間があったので、最終日の朝まで家に宿泊して、当日の朝に最後の処分物を片付けられました。帰国準備はカーシェアリングのStadtmobilにずいぶん助けられました。

荷物全部片づけて、最後はホテルに泊まってという人が多いようです。本当は最後は旅行して帰るのがよかったんですが。まあ、なじみの家でいろいろとお世話になった方とお話ししたり、子供が遊んだりできたのは良かったです。

このころは、ドイツで一日400人が、日本で一日1000人ぐらいぐの新規感染者出ていました。当時のルールでは、出国前72時間以内のPCR検査が必要ということだったので、それにあわせてDarmstadtの検査センターを予約しました。空港にも検査センターがあるのですが、一人300ユーロ近くとっていて、高すぎ。。。今は唾液でもOKになったのですが、当時は鼻咽頭ぬぐい液というかなりドイツでも珍しい検査方法しかなく、その方法でも証明書を出してくれるところはなかなか近くでは見つかりませんでした。

結局インドじゃこの検査方法ができるところがなくて、大使館がそのための施設を用意する羽目になったそうですが、何のためのルールなんだか。そして、日本入国後の検査も全部唾液でしたし、帰国者に鼻咽頭ぬぐい液を指定してたのは単なる嫌がらせだったんでしょうか。。。

日本人専用のPCR検査受け付け窓口開設(インド、日本) | ビジネス短信 - ジェトロ

フランクフルト空港まではタクシー。貸し切りにしかできないので高価ですが、荷物が多い家族持ちの私たちにはちょうどでした。

Zuverlässiger Flughafentransfer nach Frankfurt - TLS

入国後は流れに沿って歩いていくだけですが、最初に検体を提出して、いろいろ手続きをして、PCR検査の結果が出るまで4-5時間ぐらいは羽田空港に滞在しました。QRコードでスキャンすりゃいいだけなのに、QRコードの印刷された紙が持っているかどうかを2回ぐらいチェックするためだけの人が配置されていて、日本に帰ってきたなと実感しました。「頑張っているのは認めるが、効率が悪い!」

このころは3泊4日の指定宿泊施設での隔離。家族別々になることも覚悟してましたが、狭くてもよいなら一部屋に入れるとのことで、別々にならずに済みました。案内されたのはこの開業前のホテルで、設備も新しく、Wi-Fiも完備でありがたいことに至れりつくせりでした。バスタブから出てくるお湯も温泉らしく、肌がすべすべになったと喜んでいました。どの宿泊施設になるかは勝手に決められるわけですが、家族持ちに対しては多少考慮してくださったのかもしれません。子連れで、さらに飛行機に乗せられて遠いホテルに飛ばされたみたいなのはあまり聞きません。

天然温泉|【公式サイト】住友不動産ヴィラフォンテーヌ|羽田空港国際線ターミナル直結 / ホテルヴィラフォンテーヌグランド

ご飯もコンビニ弁当ということではなく、結構豪華な松花堂弁当でした。最初は喜んで食べていたのですが、味が濃い。。。後になると食も進まず、持ってきたフリーズドライのぞうすいがおいしく感じました。人間の感覚って不思議なものです。

最終日にPCR検査して無事陰性で、親族に迎えられ、無事入国できました。

引っ越し(1)

ああ、9月もブログ更新が落ちてしまいました。。。

諸事情ありまして、ドイツ・ハイデルベルクから日本へ引っ越しました。

 

・大家さんへの通知

普通にWhatsAppで通知しましたが、契約上は書面で3か月前に通知することになっているそうです(Kündigungsschreiben)。フォーマットはあっちこっちに転がっています。

Mietvertrag kündigen: So geht's mit unserem Muster

後で知り、慌てて作成して、大家さんのポストに入れて、署名をしてもらいました。3か月以上前からの通知を義務付けている契約書は法律的に無効だそうです。

Kündigungsfrist Wohnung – Alle Fristen für Mieter und Vermieter

 

・携帯・インターネット手続き

携帯電話はプリペイドなので、そのまま継続。

ドイツのプリペイドでも大概は日本でローミングできるので(高いですが)、日本でも使えます。それでも、入国後は日本の携帯電話番号があった方が良いかなと思い、事前調達しました。実家などの郵送物が受け取れる国内の住所が記された身分証明書が手元にあったので出来た技ですね。

格安SIM/格安スマホ・インターネットサービスのIIJmio

で発行できました。実家よりドイツへ送ってもらいました。菅首相のおかげで月2GBまででも1000円以下と、大分安くなりました。

NUROモバイル

は厳しくて、書類が足りませんでした。

楽天モバイルは月々0円からということで、よさそうではありますが、機種によっては機能が限られているようです。所持しているWiko View 3で調べてみると、

ご利用製品の対応状況確認 | 製品 | 楽天モバイル

4Gデータ通信・SMS(楽天回線)はいけるけど、

以下の機能はご利用いただけません
通話・SMS(KDDI回線)・APN自動設定海外/国内・ETWS(緊急地震速報、津波警報の受信など)・110/119通話などでの高精度な位置情報測位

と出ましたので、ちょっと使えないかなあ。。。

 

家のADSL回線(O2)は、ネットのマイページで契約解除してから、確認の電話を10日後以内に入れる形式でした。ちょっと勧誘されましたが、すんなり受け付けてくれました。モデムは返却しないといけないのですが、返送手続きもオンライン上でできて、引っ越す前日にDHLで送り返しました。

 

・そのほかの手続き

妻の分の銀行口座は解除。直接窓口で出向きました。手数料など清算後残金を別の口座に振り込むようにします。

僕がお世話になっていたCOMMERZBANKは、長年管理費無料でお世話になっていましたが、この7月から規定が変わり、毎月700ユーロの入金がないと管理費月額(4.9EUR)を取るようになってしまいました。規定上はヨーロッパに住所を持たないと、口座も解約しないといけないのですが、そうはいったって離れてからもしばらくはお金の取引があるので、1個は銀行口座を残しておかないといろいろ不便です。帰国が急に決まったのでいろいろ手続きを間に合わせられる自信もなく、手数料はしばらくあきらめてしばらくは口座を残しておくことにしました。

小学校・保育園に連絡。大した手続きはありませんが、小学校の先生はかなり細かく記述の入った成績書(?)を書いてくれ、面談で手渡してくれました。コロナの影響でやっと通常授業に戻ったところだったので、ちょっと息子には悪いことしたかなという感じですが、、、出発する前日まで友達と少し感傷に浸りながら遊び惚けてました。もう帰るとなるとね、、、

NHKにあたるARDにも通知して料金支払いを止めてもらわないといけません。手続きはオンラインでできますが、転出届(Abmeldung)を市役所に提出したという証明書(Meldebescheinigung )が必要です。転出届を提出できるのは実際に引っ越す一週間前からなので、手続きはそれまでお預けになりますし、それから清算で場合によっては返金・追加請求ですので、やっぱり銀行口座は必要ですね。

Der Rundfunkbeitrag - Abmelden

住民登録がなくなる場合は、子供手当にあたるKindergeldも止めるようです。ドイツ国内で給与をもらって、海外に滞在する場合などは、そのままもらい続けるということもできるそうです。Familienkasseにオンラインで問い合わせて連絡します。数日後に書面で連絡が返ってきました。こちらもARDと同じく、転出届が必要です。メールでOKでした。

健康保険も連絡して止めてもらいます。これは大学内にTKの営業所があったので直接出向いて手続きしました。

電気代もオンラインで止めてもらいます。Stadtwerke Heidelbergと契約しているので、

https://www.swhd.de/から、

      >     Dienstleistungen     >     Online-Kundenservice     >     Online-Kundenservices     >     Abmelden

と解約手続きです。電気メータを読んで送らないといけないので、実際に送信するのは最後に家を出る日になってしまいます。これも後日清算ですので、要銀行口座です。

ドイツで払った年金も本当は払い戻しの手続きとかいろいろあるらしいんですが、、、とりあえずはパスです。

大事な書類があとで届くかもということで、一応転送(Nachsendung)を郵便局に出しました。直接日本に送るサービスもありますが、研究室の秘書さんが受け取ってくれるというのでお世話になることにしました。日本と違って有料です。6か月で23.9ユーロ、12か月で26.9ユーロでした。

Nachsendeservice | Shop Deutsche Post

職場関係は自分で退職届(Kündigungsschreiben)を作って、教授にサインをもらうのだそうです。それをもって、秘書さんに手続きをしてもらいます。

退職届テンプレート(ドイツ語・英語) – hataraku.ch

研究費のあれこれもありますので、僕の場合だと学振やJSTと相談して調整します。

 

・N26銀行

ゆくゆくはCommerzbankの口座は閉じないといけないので、今後(?)のために、N26銀行というオンラインバンクの無料口座も開設してみました。ドイツ在住中じゃないと開設できませんからね。まあ、ヨーロッパ圏から離れたら本当は口座を維持してたらだめなんでしょうが、、、

口座管理費なしの鳴り物入りで参入してきたドイツ発のオンラインバンクですが、最近はしきりに有料の方の口座を薦めるので、なかなか商売がうまくいっていないのかもしれません。無料口座では、他社の銀行のATMから手数料なしで引き出せるのが月3回と限られていたり、現金での入金にも制限があります(場合によっては1.5%の手数料が取られることも)。基本はオンラインで決済して、現金での取引を減らしましょうという考え方なのでしょうが、ちょっと怖いなと感じるところもあります(携帯がなくなったら→スマホアプリのみでWeb版のページがなく、店舗もないので送金できないなど)。ヨーロッパで口座を持っている親族でもいないと、なかなかメインバンクとしてはちょっと難しいかなと思ってしまいます。こういうところで保守的になるのはもう若くない証拠ですね。。。

Compare Bank Accounts & Plans — N26

説明書き通りに申請して、スマホを通じたチャットで本人確認の認証があります。言われるがままにスマホの権限をオペレーターに与えると、フラッシュや背面カメラの切り替えとかも勝手に操作されました。。。恐ろしい。認証をOKすると、数週間後に無事フランスからMasterCardが送られてきました。ECカードとしても使える代物です(ドイツではまだまだクレジットカードを受け入れない店舗も散在します)。帰国までは妻の日常遣いのカードとして使ってもらいました。

海外で職探し(2)

・面接準備

面接に呼ばれると、日程調整。大体2,3週間後という感じでしょうか。形式は様々で、準備に追われて、実験どころじゃなかったです。

Dのところは、学部生向けのようなイントロ(5分)、研究のプレゼン(25分)、質問タイム(15分)、選考委員会の面接(45分)というスケジュール。

Eのところは、所内公開の公開シンポ形式の研究プレゼン(ディスカッション込で30分)、学部生向けの模擬授業(題目指定、20分)、選考委員会の面接(45分)、学生代表との面接、お偉いさんとの面接×2(それぞれ15分ぐらい)。

Fのところは、所内公開の研究プレゼン(30分)、研究構想(15分)、質疑応答(15分)で、一次面接はそれだけで、選考委員会面接はなしだそうです。

内容はどれも似たようなものになりますが、時間に合わせて、各ポジションの募集要項に合わせて、いろいろ微調整が必要です。応募先のことを今一度よく調べて、どんな共同研究ができそうかとかも、スライドに盛り込みます。研究科内の他のPIにも声をかけて、一度発表を聞いてもらいました。でき超悪かったけど。。。模擬授業もラボ内の人に見てもらって、学生から見て、難しすぎるところとか、いろいろアドバイスをもらいました。大幅に作り直すことになりました。

質疑応答は、サイエンス以外のところは大体決まっているそうで、答えをしっかり準備しておく必要もあります。

・志望動機は?

・研究室運営のプランは?(人数・予算のあてなどと、運営方針も)

・他の応募状況(ほかに面接に呼ばれていることも、アピールポイントになるそうで、選考委員会はほっとする(変な奴呼んでない)らしいです。御社が第一志望です!他は受けていません!みたいな人はリスクマネージメント能力がないと思われるそうです。)

・元ラボとの関係(どう元ラボと被らないように独立していくのか)

・教育に関する考え方

・男女平等などの、ダイバーシティに関する考え方

・質問はありますか?(場所、スペース、スタートアップパッケージの予算、必要な機器など、テニュアの審査基準はなど、自分が確認したいところを事前に用意しておく)

 

・本番

残念ながら、コロナで全部オンラインとなりました。。。行って見物がてらいろいろ話したかったですけどね。。。他の候補者ともいろいろ打ち解けるっていうし。実際、Dに至っては、他の候補者が誰なのかもわからなかったです。研究科内の部屋を借りて、黙々と一人PCに向かっていました。スーツは浮くっていうので、辞めました。

発表は公開だったり、非公開だったりしましたが、選考面接というのは分かっているので、緊張してあんまりシニア以外からの質問の機会はありませんでした。模擬授業のところで質問を投げかけても、シーンとしているので、応対に困ります。あとで聞けば、ZOOMのリアクション機能をうまく使った候補者もいて、あっ、なるほどですね。。。。オンライン授業にももう少し対応せんといかんかったかもしれません。。。情報を教えるのではなく、研究者育成の気持ちを込めて、どうしたらこれが発見できたのか的な観点を大事にしました。

Eだけは他の人の研究発表だけは聞けて、いろいろ勉強になりました。サイエンスはさておき、プレゼンの仕方などのテクニカルなところはこうやって経験値を積むんだろうなあ。他のところも聞きたかったです。さすがにほかの候補者はCNSやら、姉妹紙に出してる人も多く、パブリケーション的には見劣りしてますが、発表としてはダメそうなのが2人ぐらいで、あとの5人は、シニアとくらべるとやっぱりまだまだで(もう独立してないとおかしいレベルの人はいない)、一長一短で団栗の背比べかなー、というのが個人的な印象です。ひいき目入ってそう。ここまで来ると、合う合わないの僅差ですかね。

科学的な質疑応答では、一人英語がどうしても聞き取れない人がいて、何を言ってるのかが分からず困惑する場面もありましたが、何とか切り抜けます。ヨーロッパの各訛りが入った英語ばっかり聞いてると、急にアメリカ英語が来ても困っちゃいます。これもオンラインじゃなかったら、いろいろ他の人からのサポートをもらえるのでしょうが、、、

選考面接はまさにボスが言う通りで、上記に挙げたような質問を一人一人が聞いてくれる感じでした。印象的だったのは面接の最初で、各選考委員が時間をとって自己紹介してくれたことです。なるほどー。確かに、お互い、だれがだれか知りたいですよね。選考には外部委員も入っているのですが、Dの外部委員にFの人が入っていて、Eの外部委員にDの人が入っていて、もう全部つーつーですね。どこで何しゃべったのか全部わかられてそうです。

まあ、細かいところではいろいろ反省すべき応答もありますが、自分のやってきたこと、やりたいこと、人となりは大体は伝わったかとは思うので、あとはもう好きにしてくれと、思うぐらいにはできました。予算はどこも似たような感じで、研究員1-2人、テクニカルスタッフ1人に、スタートアップ5-600万円ぐらいに、基礎の予算が毎年4-500万円ぐらい付くく感じでした。共用施設や設備が多いので、これでも、日本だとかなり良い条件のような気がします。それもあって、海外で職を探しているわけですが、、、

 

・二次面接

一次面接後、Fのところから連絡が来て、二次面接へどうぞとのことでした。そんなにしゃべりに自信はなかったから、素直にうれしい。二次面接はチョークトーク(90分)をしたのち、各PIと30分ずつのトークで、丸一日かかるんだとか。次の日も、今度はFのところから、施設やサポート体制などについての説明を受けるらしい。チョークトークはしたことがないので、これも準備に追われました。いや、、、みんなどうやって職探ししながら研究してるんだろ。

オンラインチョークトークになるので、ZOOMでいろいろ試してみましたが、マウス入力で書くのは論外にしても、iPadをつないでもちょっとタイムラグがある感じでした。ちょうどディスプレイをまだ買ってないPCがあったので、Wacomのペンタブを購入。ディスプレイにもなっているので、使いやすかったです。

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ZOOMのホワイトボード機能を使いこなすために、何回も練習しました。文字はタイピングできるので、使いこなせればチョークより便利でした。面接前に、今後の参考に、シニアポスドクが見学してもよいかと聞かれ、OKしました。初めてだし、僕のチョークトークを見てもあんまり参考にならない気はしますが、、、しかし、キャリアサポート的には、こういう機会があったらよかったなと、ちょっと恨めしくも思いました。

練習のかいもあって、チョークトークで準備したことは伝わった感じですが、「なんでその実験系なの?」「その実験系じゃないとわからない問いなの?」といった問いに、あんまり満足する答えを出せませんでした。まあ、そういう自覚もあるので、何回も聞かれているうちに、こっちが白旗を投げてしまったのもありますが。。。ただの実現可能な研究プランじゃなく、その実験系じゃないと答えられない、生物界を驚かせるようなビッグなクエスチョンに取り組む提案がみたいそうですが、今のところ、自分でも心底そうだと思えるような提案をできていないので、まあ、実力・構想力不足といったところでしょうか。

各PIとの面談は、研究内容を聞かせてもらったり、雑談したりといろいろでしたが、自分と近い分野の人とは早速反省会みたいになっていて、僕はわかるけど、他の人にはもっと売り込み方を考えないと!と親身なアドバイス(説教?)をいただきました。翌日は事務方、実験サポート担当の両方から、候補者に一人ずつプレゼンをしていただいて、いやー、すっげーいいとこだわー、と逆により行きたくさせるような内容でした。ほんと、すごい。着任一日目から研究できるように、事前準備しますとか、聞いたことない。。。

 

・結果

Dは面接依頼、音沙汰なし。裏から聞いたところによれば、落ちたらしい。ちょっとほしい分野と違っていて、さらに男女参画てきな部分もあって、ノーチャンスだったらしい。

Eは思わせぶりで、面接後、教育ポートフォリオを提出してくれとか(4-5枚はあった)、CVに子供のこと書いてないけど、子供がいたのか、その子育て状況は?(育休はあったのかとか)を聞かれ、後日それを書いたCVを再度提出してくれとか、いろいろ追加で提出させられました。こりゃチャンスあるかも!?と期待していましたが、5月になって、3位でウェイティングリストに、いう結果が、郵送で届きました。通常のポジションなら、3位でも脈ありですが(上位者は複数のところからオファーをもらうことが多く、おこぼれが回ってくる)、今回はテニュアトラックのポジションなので、おそらくなさそうです。

Fはすぐにメールが来て、やっぱりVisionが求めるものより小さかったとの返答でした。なにはともあれ、フィードバックがあるのはありがたいです。他のところも、非公式に尋ねればいろいろどうだったか教えてもらうもんだということなのですが、ZOOMでオンラインしかあってないと、難しいところですよね。。。

 

そんなわけで、結局ポジションを探す意味では全滅でしたが、アプリケーションも発表も、だんだんと磨かれていきましたし、自分の研究に対して、いろいろ考える機会になりました。多くのPIと話して、多少なりとも名前を憶えてもらえる機会は貴重で、話をしていても、勉強になることが多かったです。今後、こういうネットワークが、いつかはきっと役に立つことでしょう。役に立たせます!

 

海外で職探し(1)

ポスドクも6年目に入ったことだし、そろそろ次のステージへ行きたい頃です。ドイツ留学後の論文が1報出て、2報目がリバイスにかかったぐらいですので、まだまだ条件は整っていませんが、どの人に聞いても、まずはこいつが就活してると認識してもらえるのが大事だと言いますので、いくつか応募してみました。あまり成功談でもありませんので、ひけらかすほどのことでもないですが、誰かの役に立てれば…?

まだ海外学振の任期が2年はある頃でしたので、とりあえずは独立ポジションねらいです。幸いヨーロッパだと定期的にそういうポジションの公募はよくあり、国内よりはチャンスがあるイメージです。ということで、ひとまず海外から探し始めることにしました。

 

・1~3戦目

子供のことも考えると、とりあえずはドイツ語圏内に狙いを絞って探します。情報源は今やすっかりTwitterがメインになっています。大概は一番情報が早いです。領域のインフルエンサー(?)的な人を何人かフォローしておくと、大概の公募情報は手に入ります。CVと、研究計画と、各大学の様式を埋めて、カバーレターを添えて応募します。朱書き書留は一個もありませんでした。すべてメールです。いやほんと、日本の応募システムなんとかならんかな。。。論文の別刷を印刷してくれとか今時、、、以下略。

アメリカとは文化が違うようで、婚姻状況や子供の数は普通に聞かれます。インパクトファクターからのh-indexとか、引用数も書けとのことです。応募する方が四の五の言っても仕方がありませんので、素直に応じます。他のところに応募して何位でしたか?という枠もありました。ドイツの教授ポジションだと、最終選考まで残った人には順位が付され、上の順位の人から順に交渉していくのだそうです。日本的な考え方だと、他のところにどう応募しているかは、隠したくなってしまいますが、ボス曰く、これはどちらかというとアピールポイントらしい。採る方も引く手あまたな候補者の方が安心するらしい。。。さいですか。

A. グループリーダー   5月応募→6月 不採択通知

B. グループリーダー 9月応募→9月 不採択通知

C. W2プロフェッサー 9月応募→10月 不採択通知

それなりに時間をかけて準備したつもりでしたが、すべて書類落ちで、箸にも棒にも掛からない感じでした。

 

・4~6戦目

Cに応募するあたりでさきがけが内定。ボスも「こりゃチャンスあるかも」となって、いろいろと参考例を見せて、本気で書類の手入れをしてくれるようになりました。

指摘ポイントとしては、まず写真を撮りなおせ。これまでは自分で撮った日本の履歴書風の写真を使っていましたが、これはいけてないとのこと。思うに、これは見た目がどうのということではなく、欧州・ドイツの文化知ってますよというメッセージなのかなと思います。ヨーロッパの慣習や文化に対して気もかけない人だというのは、これからの同僚を選ぶ際にはマイナスポイントなのでしょう。実際、他の参考例から日本の履歴書風の写真は見たことなく、皆さん斜め上から撮ったり、満面のスマイルだったりといろいろですが、個性豊かな写真でした。そういうことなので、プロの方に撮っていただきました。

次に、CVはもっと自由に、アピールしたいことは読みやすければいくら書いてもいいよとのこと。大学のポジションは教育も大事なので、指導した学生や、担当した実習などは細かく羅列し、教育に関する考え方なども数パラグラフ分は書いたほうがいいよとのこと。そういうのは応募要項に書いてなくても、書いてマイナスになることはないからだそうです。ついつい要求された必要項目だけ書いてしまうのですが、そういうものじゃないらしい。論文リストも、ただ羅列するだけじゃなくて、重要な論文はどれか、簡単な説明とか、申請者の役割とか、この論文をどう捉えているのとか、いろいろ織り交ぜて、自分を売り込まないといけないらしい。たしかに、日本の公募によくあるような字数制限はほとんど見かけませんし、様式もほぼ自由なことがほとんどでした。志望動機みたいなことは、カバーレターで丁寧に説明します。元ボスから、どう袂を分かつのかも気になる点なので、よく説明します。

研究計画は4、5ページもあれば十分だが、大体はスタッフ(ポスドクか博士課程の学生)2人ぐらいの人件費はつくので、それに見合うようなスケールで。応募先でどういう共同研究が考えられるかはよく練っておくこと。長期の展望も書いておく。学位の証明書だけでなく、学部や修士の証明書も添付するようで、大学の成績や、中には高校の成績証明書を添付している人もいたぐらいでした。こんな感じなので、添付書類も合わせると応募書類は全部で2、30ページは軽くいくもののようです。成績証明書は持ってきてなかったので、あわてて大学・大学院の教務掛に問い合わせて、英語で発行してもらいました。

なんというか、僕だけかもしれませんが、申請書類は要求されたものを提出し、様式の空欄を埋めて、聞かれてないことは書かないものだと思っていたところがあって、その辺りは意識を改めないといけないところでした。いろいろな例を見せてもらいましたが、本当にみんな多種多様に自分を売り込んでいました。なるほど。。。そりゃ落ちるわけですな。

 

そんな感じで書類をブラッシュアップして、他の人と見劣りしないぐらいにして、さきがけ研究費のことも織り込み、論文が出そうなところや、最新のデータも織り込み、再び応募。

D. W1プロフェッサー(テニュアトラック)  10月応募→11月 面接へ招待通知→12月面接

E. W1プロフェッサー(テニュアトラック)  10月応募→11月 面接へ招待通知→12月面接

F. グループリーダー 12月応募→1月 面接へ招待通知→2月面接

すると軒並み面接に呼ばれるようになり、教授の指導が効果的めんです。まあ、これはちょっと出来過ぎです。詳しいことはかけませんが、D-Fのなかには、A-Cと同じ研究機関が二つも入っていますので、一回落とされたからといって、気にする必要はないようです。面接にも呼ばれてない申請書なんて忘却の彼方。。。じゃないにしても、誰も気にしないということだと思います。また、ジョブマーケットにいることを認識してもらってるおかげで助かったこともあったようですので、ピンポイントで狙うんじゃなくて、いろいろ申請しておくものだなというのも身に染みて感じました。

そういえば、推薦書があんまり要りませんでした。Dのところだけは、面接への招待通知のときに、推薦書を一通だけ送ってくれとのことでしたが、他のところは結局連絡先だけで、問い合わせは来なかったかと思います。日本だと応募時に推薦書を要求するところもあるので、もう少し応募する方の手間暇も考えてほしいところですね。。。

 

研究雑話(18)

・海外でさきがけ研究費を使う。

国内の機関なら事務にお願いすればよさそうなものですが、海外だとお互い初めてのことが多く、手探り状態です。

1)契約書締結

契約は大学本部の管轄で、大学側とJSTが折衝します。知的財産権(IP)や、間接経費などのところで何回かやりとりがありましたが、無事になんとか丸く収まりました。11月研究開始とのことでしたが、実際に契約書が締結されたのは12月に入ってからでした。

 

2)研究費の受け入れ準備

大学側では研究費の受け入れの準備。書類どっさり、、、。研究費専用の口座を開けてもらって、Übertragung von befugnissen
Anordnung und feststellung "Sachlich Richtig"という書類で、だれが支出に署名できるかを申請します。署名は超大事なんだなあ。いろいろ手続きをお願いすることもあるので、僕本人に加えて、教授や秘書さんもリストに加えます。研究費受け入れの申請には研究科長のサインも必要ですので、ハンコリレーじゃないですが、署名リレーです。

次に、どういうお金なのかについて、いろいろと申告。何がどうなったのかよくわかりませんが、EU外からの研究資金は消費税の免税を適応できるそうです。いくつかの高価なものについては適応して、免税で購入できました。この年末はコロナの影響を受けて消費税が一時的に19%から16%に下げられていて、、、いやぁ、こりゃ会計手続きややこしそう。

 

3)郵便が届かない

12月初めに大学の郵便から書留で日本へ署名した契約書を送ったのですが、郵便局がパンクしてたらしく、いつも来るはずの書留の追跡番号は待てど暮らせど帰って来ない。。。学内の人に問い合わせると、郵便物は郵便局の人が持ってったけど、君のだけじゃなくて追跡番号は全学で帰ってきてないと衝撃的な事実。いろいろ電話かけましたが、番号がわからないことには何も埒があきませんでした。。。

結局は無事に届いたのですが、着いたのは1月下旬と、届くのに40日以上かかってしまいました。心臓に悪い。ということで、

・年末に国際便を送るのは時間に気を付けましょう。
・大学郵便は、研究費番号を知らせると、通常は郵便局の人が郵送費を研究費から直接請求してくれるので便利ですが、書留などのように、もう一度番号を返さないといけないとかとなると面倒くさいからか、後回しにされるかもしれません。
・この一件以降はいったん立て替えて発送して、あとで払い戻しを請求するようにしました。事務の手続きを増やしてしまうのは申し訳ない限りですが、、、。Deutschpostのウェブサイトでも国際書留は簡単に注文でき、追跡番号も即時に発行されますので、荷物がどこに行ったか分からないというようなことはありません。

 

4)請求書の発行

てっきり双方が署名した契約書が郵送でJSTに届けば研究費が振り込まれるのかなと思ってましたが、そういうものじゃないらしい。契約書の郵送はあくまで保存用で、契約自体はPDFのスキャンで締結で確認してるので問題ないが、研究者の機関から請求書を発行しないといけなかったらしい。。。こういうのはてっきり大学本部がやってくれるのかと思いきや、請求書は各研究室で勝手に発行してくれだって、そんなん知らんよ。。。全員がお見合いしてました。

慌てて秘書さんにお願いして請求書を準備して、これも郵送で原本送付しました。あくまで日本円建ての請求書だそうです。FedExだと100EURを超えますが、DHL International ExpressEasyだと50ユーロぐらいで、2日で届きました。急がない書類はDeutschpost International Einschreibenで10ユーロもかかりません。10日以内には大体届くようです。

請求書が届いたのが1月末、2月末にやっと研究費が振り込まれました。ふぅ。

 

 

5)研究費を使う

家庭の銀行口座とは違うので、お金が振り込まれなくても、残高マイナスのままでどんどん使ってよかったらしいですが、初年度で研究費がどう振り込まれるかもよくわからなかったので、控えていました。請求書を出してから、もう大丈夫そうだなと思い、2月から支出を始めました。3月末が年度末ですので、買おうと思っていたものを次々に発注です。

日本の大学と同じで、ドイツの大学でも金額に応じて手続きが違います。一品500ユーロ以下のものは、各研究者で自由に発注。500ユーロ以上、5000ユーロ以下は、見積もりなどをとって、なぜその業者にしたのかというDokumentation für dezentrale Beschaffungsvorgängeという書類を出せば、各自で発注可能です。5000ユーロ以上の機器は、大学本部のBeschaffungsstelleからの発注となり、入札的なものが必要となり、いろいろな書類をへて、手続きが完了するまでは通常6週間かかるそうです。。。納品間に合うかなあ。。。このあたりはもうラボの人におんぶに抱っこでいろいろ教えてもらうしかありません。抜け道的なものがあるので、相談しながら上手いごとシステムを使い分ける必要がありました。一つだけ5000EUR超の機器を購入しましたが、書類の数が半端なく、しかもドイツ語だったりするので、もうおまかせっていう感じでした。なお、50万円以上のものはJSTの資産登録も必要になります。

支出した金額の30%以下の金額が間接経費として大学にとられ、いろいろ差し引かれたのち、PPKという名目(なんの略称なんだろ。。。)で幾分か研究者側に戻ってきます。これは文房具とか、研究に直接関係ないものでも自由に使える貴重なお金だそうで、他の資金の項目で支出しづらいものはこれでまかなうようです。帳簿はつけますが、報告の義務はありません。

 

 

6)会計報告

年度末から30日以内に会計報告を提出する必要があります。これも国内なら、はいよろしく!ですみそうですが、ドイツだと誰も経験がないので会計担当者と相談しながらさきがけのマニュアルと睨めっこで、初年度はいろいろ苦労しました。英語版の契約書と日本語のマニュアルと書いてあることが微妙に違ってたりするので(おそらく英語版が逐一アップデートされていない)、その度にJSTに確認をとりながらすすめていました。年度末の頃にはJSTから会計報告書作成上の注意事項が英語でも届きました。たとえば、ハイデルベルク大の通常の会計システムでは請求書単位でエントリーしているようですが、JSTへの会計報告書ではどのアイテムを何個購入でいくらかの記入が必要で、もう一回請求書を読み直して記入したりとまあ、いろいろありました。会計担当者はあくまでラボの秘書さんですので、「なんでこんなことしなきゃいけないのよ!」と思われないよう、背景やねらい、文化の違いを丁寧に説明しながら、ひたすらお願いするしかありません。

JSTからなんとかOKをもらい、会計担当者のサインが入った原本をJSTに送付してようやくひと段落です。ふぅ。。。

勝手が分からずにいろいろ苦労はしましたが、要求自体は穏当なものだったかと思います。他の大学はどうかわかりませんが、ハイデルベルク大じゃ検収なるものをほとんど見かけたことがありません。買ったものがちゃんと届いているかどうかを管理するのはあくまで研究者側の責任で、大学側がいちいち口出すことではないようです。日本のようにメーカーと研究者の間に業者が入りませんので、購入したものは宅配業者によって直接ラボに届けられ、請求書もいまだに郵送です(いい加減そろそろ大学のシステムが電子化するらしい)。他のラボの請求書やものが紛れ込んでることもしばしばです。もちろん不正がないわけでもないでしょうが、研究費を無駄遣いしても論文書いて次の研究費を稼げるなら、そりゃもう勝手にどうぞという感じな気がします。無駄遣いは研究者側の損になるはずで、それを防ぐのは研究者側の役目といったところでしょうか。まあ、そんな単純でもありませんけれども。

通常はこんな感じですが、ランダムに研究費をくばる団体から監査が入ることがあり、その時は大変です。学内の共有施設を当たり前のように使っていたのに、急に他の会社の見積もりとちゃんと比較してない!、請求書の中身が曖昧!とかいろいろ言われて、ボスが釈明に追われておりました。

 

7)更新

契約は一年ごとの更新。次年度の研究計画、予算計画を承認してもらって、年度末前になって更新の契約書を再び署名しあって、研究費の請求書も振り出します。

 

さて、買うものは買ったし、あとはデータにして論文にしないといけませんな。。。

生活雑話(16)

通販ブログではありませんが、最近買ったものの紹介です。

 

・炊飯器が壊れる。

5年前に購入した炊飯器(Reiskocher)が故障。加熱ができなくなってしまいました。分解して裏をじっと眺めても原因は分からず、、、寿命ですかね。毎日使ってたしな。お疲れさまでした。使い方は慣れてるし、機能に満足はしていたので、同じものTristar製品を再購入することに。ヨーロッパじゃほかのメーカーもみませんからね。近所のアジアスーパーでも売ってますが、Amazonの方が10ユーロぐらい安いんで、アマゾンで購入。地元経済を活性化したいけど、資本力の差にはかないませんな。。。26ユーロでした。

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5年もあれば改良は進むようで、内側のコーティングがよくなりました。あと、前のものは設定があまりよくなく、手動で早めにスイッチをオフにしないと、2合炊きだとほんのり焦げていたのですが、それがなくなりました。ふたが割れたときにすんなり買いなおしてればよかったんだな。。。

 

小型電化製品なので、ゴミ箱に捨てるわけにもいきません。ハイデルベルク市の下記のサイトから申し込み、予定を決めて取りに来てもらいます(無料)。住所ごとに取りに来る日が決まっているようで、この時は一か月半ぐらい先の予定になりました。

heidelberg.de - Sperrmüll

予定日の前日の夕方に、玄関先に壊れた炊飯器を出しておきます。ふたはまた割れた時用に予備でとっておいて、ふたなしのまま出しておいたのですが、夜みたらもうありません。誰かが拾ってしまったようです。使えないのに。。。ドイツじゃよく庭先に物が置いてあって、ご自由にどうぞという感じで、ゴミ回収も特にシールとかステッカーとか貼るわけじゃないので、こういうことがよく起こります。壊れた炊飯器はまたしばらく世をさまようことになりそうです。

 

・インラインスケートを買う

ロックダウンで暇になるから、子供にインラインスケート(Inline-Skates)を格安スーパーのAldiで購入していました。20ユーロぐらいで安くてよかったのですが、もう靴のサイズが小さいから痛いとクレームがつくように。なかなかうまくなってきていたので、もうちょっとまともなものということで、もうちょっとまともそうな専門店(decathlon.de)で40ユーロのもの(OXELO Inline-Skates Inliner Fitness FIT 3 )を買いました。

www.decathlon.deこれが子供に評判上々。ぜんぜんスムーズさが違って、ぐいぐい進むようです。そうか、やっぱり高いものはいいんだなあ。。。相変わらずヘルメットとか、サポーターはつけてくれませんが。ドイツはまじめな人が多いので、自転車に乗っている大人がヘルメットを着けているにもちらほら見かけるぐらいですので、防具つけずにインラインスケートさせてるとほかの大人からよく怒られます。。。買ってはいるんですが。。。痛い目に合わないと覚えない性格のようでして。。。

 

・ストライダーを買う

お兄ちゃんがインラインスケートをゲットしたのだから私だって!!という要望に負けて、下の子にはストライダー(Laufrad)を購入。定価50ユーロのものが、セールで35ユーロでした。いやぁ、それでも高いけど。。。Müllerでお取り置きしてもらって、時間があるときに取りに行きました。結構すぐに乗りこなして、大好きなPeppa Wutzで気分上々。保育園もこれで行くと言い出すので毎日が大変になりました。。。まあ、子育てってこういうものですよね。買う前はねだられ、買った後は買った後でまた駄々をこねられる。

 

www.mueller.de

・風呂を買う

2020年の冬は雪も多く、寒い日も何日か。うちの家にはシャワーしかなく、コロナ前はちょくちょく温泉に行っていたのですが、あいにくコロナで休業中。休業が長くなりそうなので、シャワー室におけるタイプの折り畳み五右衛門ぶろを購入しました。約80ユーロと安くはありませんが、背に腹は代えられないということで。。。

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 サイズはシャワールームにピッタリ。半ば冗談のような商品ですが、結構保温性があって、思った以上にお風呂感が味わえました。お風呂上りもぽかぽかです。子供たちもえらく喜んでいて、週一回湯船につかることになりました。

ネックはお湯が足りなさそうになること。温水器でお湯がタンクにたまっていますが、使い切ってしまうと加熱が間に合わないので、途中でいったん止めて、ふたをして、加熱を待って~とかだと、匙加減が難しいです。あと、水をためる前に排水のことを考えて向きちゃんとしとかないといけません。

 

・アンティーク食器を買う

https://www.ebay-kleinanzeigen.de/

ドイツで個人間の売り買いでは一番使われているのがebay kleinanzeige。メルカリのようにちゃんとしたものではなくて、あくまで掲示板ぐらいの感じです。出品する方も、買う方も原則無料で、お金のやりとりも個人間です。お金を払うと、検索で自分の出品が上位に来るようになります。まあ、変な人もたまにいますが、おおむねは大丈夫です。

妻がアンティーク食器を見つけて、チャットでやりとりして、予定を決め、譲受に行ってきました。なんでも上の世代からもらったものらしく、捨てるに捨てられない状態だったそうでした。しかし、えらい量だけど、これ全部日本にもって帰れるのかな。。。

 

生活雑話(15)

・いちご狩り

車を走らせてると、「Erdbeer」と書かれた看板を見かけることがあります。大概の場合は売っているだけですが、自分で収穫するところがあったり。ハイデルベルクの近郊だと、Obstbau Pfistererが運営しているところがあり、自分で収穫して量り売りで売ってくれます。イチゴを摘むはpflückenだそうで。春から初夏にかけて何回か行きました。旬なときは毎週末やってるようです。

Obstbau Pfisterer – Erdbeeren & Blumen pflücken & schneiden

まず入口のところで、持ってきた空の容器の重さを測定。重さを記したメモ用紙をくれるので、それをもって入場。最初は勝手がよくわからなかったので、クッキーの空き缶とか持っていきましたが、周りは大きなかごやら、トレイやら、手押し車までもってきている強者もたくさん。どっかに転売でもする気か?値段も安いことは安いものの、ディスカウントスーパーと同じぐらいです。まあ、新鮮さはそりゃ違いますけど。収穫しない人も、パックに入ったいちごが並んでるので購入することができます。

日本のいちご狩り体験だと、時間が決まってて、入場料があって、時間内は食べ放題で、お持ち帰りは量り売りで有料みたいなのにいったことがありました。ドイツ式は時間無制限で入場料も取らないので、食べても大丈夫かいなと不安になりますが、周りの強者たちは十数キロの単位で摘んで帰ってますので、人が食べれる量は誤差の範囲内で誰も気にしてなさそうです。水で洗わずそのまま口に放り込んでる人もいっぱいいました。品種が何種類かあるので、味の違いも楽しめます。

連休のあるときは、窓口で地図のアドレスが記されたQRコードを渡され、違う畑に案内されたこともありました。コロナ中ですが、激混み。イチゴをいっぱい摘んでどうするのかという話ですが、ボウルかなんかにぐしゃって入れると傷むのも早く、生で食べるだけでは間に合いません。摘んでる間は楽しいのでついついいっぱい採っちゃいますが、結局はジャムにでもしないと、そんなにいっぱい食べれるものでもないですね。。。

 

・リンゴ狩り

こちらはHeidelberg郊外のEdingen-Neckarhausenにある果物農園Baumschule und Obstbau Georg Schneiderで、秋に数日だけ開催される催しで、リンゴ農園でリンゴを摘ませてくれます。

https://www.schneider-baumschule.de/

www.youtube.com

リンゴの木が思ったより低い。まあ、収穫は手作業なんで、高かったら簡単に採れないか。接ぎ木で増やされて、各品種が畑のようにずらーっと並んでいます。たわわに実っていて、イチゴと違って、あっという間に数キロとれました。一つか二つかはその場で食べましたが、そんなに食べれるものでもないですね。

飲み物やソーセージのスタンドもありますが、長蛇の列でなかなかありつけませんでした。リンゴの計量も長蛇の列で。。。時間にはゆとりをもって出かけましょう。

 

・そりすべり

普段は温厚な気候のラインネッカー流域ですが、2020-2021年の冬はハイデルベルクでも実によく雪が降りました。

www.rnz.de

市内から見渡せる周りの山もすっかり雪化粧に。ハイデルベルク城があるKönigstuhlはそり滑りの名所で、いかにも混みそう。ちょっと車を走らせて他に雪で遊べるところがないか探してみました。

https://goo.gl/maps/b8dyGZWdNAip2sAp6

ハイデルベルクから車で10分ほど。Dossenheimから東へ道なりに登って、上記のリンクぐらいまでたどり着くと、あたり一面の雪景色に。道が二股に分かれていて、右に行くと、電波塔と、ヒュッテZum Weissen Steinというところまでたどり着けますが、コロナで残念ながらヒュッテは閉まっています。

Höhengaststätte "Zum Weißen Stein"

狭い道中、ただっぴろい斜面になっているところがあって、そこがそり滑りの名所のようです。スキーの中級者の斜面ぐらいで、結構怖そうですが、これぐらいないと楽しくないよう。最初に行った日はあまり雪が残ってなくて、雪が積もった週末にもう一回出かけようと意気揚々で出かけたのですが、なんと先ほどの分岐点でパトカーが止まっていて車は通行止めに。。。確かにまあすれ違いが難しいところもある狭い道で、路面が凍ってれば危ないですね。かといって歩いていくには遠すぎるので断念。

そこであきらめて引き返す人もいましたが、よく見ると分岐点から川沿いに左の方に曲がっていく人もちらほらいるので、ついていってみることにしました。ハイキング道の入り口に何台か車を停めれるところがあり、そこからは登れるようになっていました。南側の道にそって上ると、ハイデルベルクから数分とは思えないような雪景色。

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ツルツルの凍った急斜面を登るのになかなか苦労しましたが、15分ぐらいでしょうか、ただっぴろい斜面(=そりで遊べる)につながる脇道があり、そこをめがけて子供たちがそりをもって出かけているようでした。特に木製のサンタさんが乗ってそうなそりはスピードが出やすく、ブレーキも利かないため、大体がそりから落ちてようやく止まってました。子供にとってはだいぶ楽しかったようで、帰り道にそりに乗せて坂道を降りていく途中で眠りについてしまいました。雪山で寝たら死ぬぞ。。。。

 

コロナでどこもしまってしまい、なかなか遊びに行けるところも少なくなっていましたが、雪のおかげでだいぶ週末がつぶせました。スキーリゾートみたいになったと、研究室の古株の同僚も喜んでましたので、ハイデルベルクではなかなか珍しいことのようです。

 

・アレルギーテスト

子供が喘息持ちで、風邪やらいろいろ重なると大変です。小児科の勧めで、Lufuというのを受けてきました。Lungenfunktionsprüfungというもので、肺機能のテストのようです。紹介されたのが、Dr. Dunckelmannというところです。

Kinderarzt Dr. Dunckelmann, Facharzt für kinder- Und Jugendmedizin

呼吸器のところはこのご時世予約をとるにも一苦労。電話したところ、書類を3枚ぐらい埋めて事前にメールしてくれとのことで、やっととれた予約は一か月先以上。行くと吸ったり吐いたりの呼吸器のテストと、皮膚パッチでアレルギーテストもやってくれました。訪れた日は特に喘息の症状が出ていない日でしたが、それでも弛緩薬を吸引すると肺機能が上昇したため、気づかないけど慢性的にいくらかは症状が出ているよとの診断でした。ストレスや寝不足や、アレルギーなどが重なるとどこかのポイントで閾値を超えて発症してしまうようです。

花粉症でもあるため、花粉が出てる日は外に遊びに行かない方がいいですかと尋ねたところ、子供は外で遊びに行くものだから、そうしてもいいように治療するのが私たちの仕事との頼もしい言葉をいただきました。なるほど。ドイツにしばらくいるなら、製薬会社がやっている喘息との付き合い方を学ぶプログラムとか、アレルギーを克服するプログラムがあるので、参加するといいよとのことでした。へー。

 

・カメラ壊れる

 子供がニコンの一眼レフを落とす。。。無事とはいかなかったようで、ミラーのところが壊れました。ミラーのところをちょんちょんと触って、引っかからなくする方法がYoutubeで上がってましたが、これでは治らず、もっと重症のようです。ミラー部分のパーツを取っかえる動画も見つけましたが、これは難しすぎてやる気がしない。。。修理に出すと数万円は取られるので、なかなか踏ん切りつきません。

www.youtube.com

治ってはいませんが、とりあえず、電源ON→シャッターを切って、エラー表示をなくす(何回かかかることもある)→Live Viewモードにして、シャッターを切ることで、ミラーを動かさずに写真を撮れるようにはなりました。フォーカスとか、フラッシュとかいろいろだめだめですけど。。。んんん。。。