Wunderbarな日々

妻子連れ30代生物系ポスドクのドイツ滞在記です。

海外で職探し(2)

・面接準備

面接に呼ばれると、日程調整。大体2,3週間後という感じでしょうか。形式は様々で、準備に追われて、実験どころじゃなかったです。

Dのところは、学部生向けのようなイントロ(5分)、研究のプレゼン(25分)、質問タイム(15分)、選考委員会の面接(45分)というスケジュール。

Eのところは、所内公開の公開シンポ形式の研究プレゼン(ディスカッション込で30分)、学部生向けの模擬授業(題目指定、20分)、選考委員会の面接(45分)、学生代表との面接、お偉いさんとの面接×2(それぞれ15分ぐらい)。

Fのところは、所内公開の研究プレゼン(30分)、研究構想(15分)、質疑応答(15分)で、一次面接はそれだけで、選考委員会面接はなしだそうです。

内容はどれも似たようなものになりますが、時間に合わせて、各ポジションの募集要項に合わせて、いろいろ微調整が必要です。応募先のことを今一度よく調べて、どんな共同研究ができそうかとかも、スライドに盛り込みます。研究科内の他のPIにも声をかけて、一度発表を聞いてもらいました。でき超悪かったけど。。。模擬授業もラボ内の人に見てもらって、学生から見て、難しすぎるところとか、いろいろアドバイスをもらいました。大幅に作り直すことになりました。

質疑応答は、サイエンス以外のところは大体決まっているそうで、答えをしっかり準備しておく必要もあります。

・志望動機は?

・研究室運営のプランは?(人数・予算のあてなどと、運営方針も)

・他の応募状況(ほかに面接に呼ばれていることも、アピールポイントになるそうで、選考委員会はほっとする(変な奴呼んでない)らしいです。御社が第一志望です!他は受けていません!みたいな人はリスクマネージメント能力がないと思われるそうです。)

・元ラボとの関係(どう元ラボと被らないように独立していくのか)

・教育に関する考え方

・男女平等などの、ダイバーシティに関する考え方

・質問はありますか?(場所、スペース、スタートアップパッケージの予算、必要な機器など、テニュアの審査基準はなど、自分が確認したいところを事前に用意しておく)

 

・本番

残念ながら、コロナで全部オンラインとなりました。。。行って見物がてらいろいろ話したかったですけどね。。。他の候補者ともいろいろ打ち解けるっていうし。実際、Dに至っては、他の候補者が誰なのかもわからなかったです。研究科内の部屋を借りて、黙々と一人PCに向かっていました。スーツは浮くっていうので、辞めました。

発表は公開だったり、非公開だったりしましたが、選考面接というのは分かっているので、緊張してあんまりシニア以外からの質問の機会はありませんでした。模擬授業のところで質問を投げかけても、シーンとしているので、応対に困ります。あとで聞けば、ZOOMのリアクション機能をうまく使った候補者もいて、あっ、なるほどですね。。。。オンライン授業にももう少し対応せんといかんかったかもしれません。。。情報を教えるのではなく、研究者育成の気持ちを込めて、どうしたらこれが発見できたのか的な観点を大事にしました。

Eだけは他の人の研究発表だけは聞けて、いろいろ勉強になりました。サイエンスはさておき、プレゼンの仕方などのテクニカルなところはこうやって経験値を積むんだろうなあ。他のところも聞きたかったです。さすがにほかの候補者はCNSやら、姉妹紙に出してる人も多く、パブリケーション的には見劣りしてますが、発表としてはダメそうなのが2人ぐらいで、あとの5人は、シニアとくらべるとやっぱりまだまだで(もう独立してないとおかしいレベルの人はいない)、一長一短で団栗の背比べかなー、というのが個人的な印象です。ひいき目入ってそう。ここまで来ると、合う合わないの僅差ですかね。

科学的な質疑応答では、一人英語がどうしても聞き取れない人がいて、何を言ってるのかが分からず困惑する場面もありましたが、何とか切り抜けます。ヨーロッパの各訛りが入った英語ばっかり聞いてると、急にアメリカ英語が来ても困っちゃいます。これもオンラインじゃなかったら、いろいろ他の人からのサポートをもらえるのでしょうが、、、

選考面接はまさにボスが言う通りで、上記に挙げたような質問を一人一人が聞いてくれる感じでした。印象的だったのは面接の最初で、各選考委員が時間をとって自己紹介してくれたことです。なるほどー。確かに、お互い、だれがだれか知りたいですよね。選考には外部委員も入っているのですが、Dの外部委員にFの人が入っていて、Eの外部委員にDの人が入っていて、もう全部つーつーですね。どこで何しゃべったのか全部わかられてそうです。

まあ、細かいところではいろいろ反省すべき応答もありますが、自分のやってきたこと、やりたいこと、人となりは大体は伝わったかとは思うので、あとはもう好きにしてくれと、思うぐらいにはできました。予算はどこも似たような感じで、研究員1-2人、テクニカルスタッフ1人に、スタートアップ5-600万円ぐらいに、基礎の予算が毎年4-500万円ぐらい付くく感じでした。共用施設や設備が多いので、これでも、日本だとかなり良い条件のような気がします。それもあって、海外で職を探しているわけですが、、、

 

・二次面接

一次面接後、Fのところから連絡が来て、二次面接へどうぞとのことでした。そんなにしゃべりに自信はなかったから、素直にうれしい。二次面接はチョークトーク(90分)をしたのち、各PIと30分ずつのトークで、丸一日かかるんだとか。次の日も、今度はFのところから、施設やサポート体制などについての説明を受けるらしい。チョークトークはしたことがないので、これも準備に追われました。いや、、、みんなどうやって職探ししながら研究してるんだろ。

オンラインチョークトークになるので、ZOOMでいろいろ試してみましたが、マウス入力で書くのは論外にしても、iPadをつないでもちょっとタイムラグがある感じでした。ちょうどディスプレイをまだ買ってないPCがあったので、Wacomのペンタブを購入。ディスプレイにもなっているので、使いやすかったです。

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ZOOMのホワイトボード機能を使いこなすために、何回も練習しました。文字はタイピングできるので、使いこなせればチョークより便利でした。面接前に、今後の参考に、シニアポスドクが見学してもよいかと聞かれ、OKしました。初めてだし、僕のチョークトークを見てもあんまり参考にならない気はしますが、、、しかし、キャリアサポート的には、こういう機会があったらよかったなと、ちょっと恨めしくも思いました。

練習のかいもあって、チョークトークで準備したことは伝わった感じですが、「なんでその実験系なの?」「その実験系じゃないとわからない問いなの?」といった問いに、あんまり満足する答えを出せませんでした。まあ、そういう自覚もあるので、何回も聞かれているうちに、こっちが白旗を投げてしまったのもありますが。。。ただの実現可能な研究プランじゃなく、その実験系じゃないと答えられない、生物界を驚かせるようなビッグなクエスチョンに取り組む提案がみたいそうですが、今のところ、自分でも心底そうだと思えるような提案をできていないので、まあ、実力・構想力不足といったところでしょうか。

各PIとの面談は、研究内容を聞かせてもらったり、雑談したりといろいろでしたが、自分と近い分野の人とは早速反省会みたいになっていて、僕はわかるけど、他の人にはもっと売り込み方を考えないと!と親身なアドバイス(説教?)をいただきました。翌日は事務方、実験サポート担当の両方から、候補者に一人ずつプレゼンをしていただいて、いやー、すっげーいいとこだわー、と逆により行きたくさせるような内容でした。ほんと、すごい。着任一日目から研究できるように、事前準備しますとか、聞いたことない。。。

 

・結果

Dは面接依頼、音沙汰なし。裏から聞いたところによれば、落ちたらしい。ちょっとほしい分野と違っていて、さらに男女参画てきな部分もあって、ノーチャンスだったらしい。

Eは思わせぶりで、面接後、教育ポートフォリオを提出してくれとか(4-5枚はあった)、CVに子供のこと書いてないけど、子供がいたのか、その子育て状況は?(育休はあったのかとか)を聞かれ、後日それを書いたCVを再度提出してくれとか、いろいろ追加で提出させられました。こりゃチャンスあるかも!?と期待していましたが、5月になって、3位でウェイティングリストに、いう結果が、郵送で届きました。通常のポジションなら、3位でも脈ありですが(上位者は複数のところからオファーをもらうことが多く、おこぼれが回ってくる)、今回はテニュアトラックのポジションなので、おそらくなさそうです。

Fはすぐにメールが来て、やっぱりVisionが求めるものより小さかったとの返答でした。なにはともあれ、フィードバックがあるのはありがたいです。他のところも、非公式に尋ねればいろいろどうだったか教えてもらうもんだということなのですが、ZOOMでオンラインしかあってないと、難しいところですよね。。。

 

そんなわけで、結局ポジションを探す意味では全滅でしたが、アプリケーションも発表も、だんだんと磨かれていきましたし、自分の研究に対して、いろいろ考える機会になりました。多くのPIと話して、多少なりとも名前を憶えてもらえる機会は貴重で、話をしていても、勉強になることが多かったです。今後、こういうネットワークが、いつかはきっと役に立つことでしょう。役に立たせます!