Wunderbarな日々

妻子連れ30代生物系ポスドクのドイツ滞在記です。

ポツダムの小学校とS先生(1)

近所の地元の小学校に子供が転校した。

ベルリンとBrandenburg州はドイツの他の州と違って小学校(Grundschule)が6年生まである。入学した小学校では各学年3クラスずつで、一クラス30人足らず。誰か著名人の名前を冠した学校はドイツでは珍しくないが、ドイツ共産主義作家というのはなかなか珍しいのではなかろうか。自伝的小説が有名で、児童向け作品には日本語訳もあるようだ。

・Lesenacht

5月に小2の途中から転入して、いきなり学校に泊まり込むLesenachtというイベントの案内がされる。なんでも好きな本を持ち込んで、学校で寝袋敷いて一泊するらしい。そりゃまあ本読むのはいいけれども、まだ小2だぞ。。。しかも転校したばっかりでまだ友達がいない。実質親元を離れて初めての「外泊」になるというのもあって、ちょっと不安になる。日本語補習校のママ友たちに聞いても、ほとんど経験がないという。別に作家の名前にちなんだ学校だからというわけでもなく、なんなら同学年の他のクラスはやってないらしく、クラス担任のS先生の采配らしい。一人でもやっちゃうそのバイタリティーには本当に敬服。それに比べると、日本の小学校の先生はだいぶお疲れなような気がする。

さて、寝袋なんて持ってなかったので、慌てて教授から借りて、本も別に日本語でもなんでもいいから、とりあえずすぐには読み終わらない本という注文がついていて、日本語のと、ドイツ語のも一冊買って持って行かせた。まあ、読書がどうのというよりは、外泊するということが重要だったらしい。

当日は16時半に校庭に集合して準備を始め、親も交えた持ち寄りBBQパーティを開催。急にコロナにかかっちゃって参加できなくなった親子も途中で来てたような気がするが、、、まあ誰も気にしないならそれはそれでよし。19時半から子供たちは教室に戻って、親は二人ぐらいを残して解散。翌日朝8時に迎えに来るというスケジュールらしい。転校して早々で他の親御さんと顔を突き合わせる機会があったのは確かによかった。ドイツ語はそんなにしゃべれないけれども、S先生とも他の親とも一言、二言言葉を交わすことはできた。本当はもっと積極的に混じれればよかったんだが、、、下の子をだしにして子守にだいぶ時間を割いてしまった。何しゃべれいいのかわからんし。。。S先生はいつもタンクトップの体育の先生で、なかなかキャラが濃いけれども、しかしクラスは本当によくまとまっているのよと、複数の親御さんがそんなことを口にしていた。

夜の教室の様子はアテンドしていただいた親御さんからグループチャットで写真が届き、とりあえず子供の生存は確認。S先生が何冊か本を朗読してくれたらしい。翌朝迎えに行くと、子供は神妙な面持ち。まだ何が起きたか消化しきれてない様子。一皮むけたのかどうかは微妙なところだけど、楽しいかどうかも微妙なところという感じかなあ。まあ、何はともあれ無事家に戻ってこれて一安心。

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・Klassenfahrt

ほっと一息する暇もなく、今度は6月下旬に、なんとクラスで4泊5日の泊まり込み旅行でKiez Prebelowという、車で一時間半ぐらい離れたところに行ってくるらしい。そりゃ子供の表情も曇るわけだ。1泊でも不安だったろうに4泊だなんて。。。これもどうやらうちのクラスだけらしい。かわいい子にはなんとやらはS先生の指導方針に違いない。日本の自分の母校では小学校5年生でやっと泊まり込みの旅行に行った気がするんだけどなあ。

学校を出発する日は、親もバスを見送りに校庭へ集合。楽しみにしてるというよりは、さすがに不安な子供が多く、どうやらうちの子供だけじゃなかったらしい。これも旅行に帯同した親御さんからSNSに逐一写真やら動画が送られてくるけど、なんかうちの子顔がずっと引きずってるし。無事に帰ってくるかどうかを心配するレベル。ちゃんと食べてるんだろうか。。。

行った先は学校用のそうした活動向けの宿泊施設の様で、体育館でなんかやったり、みんなでご飯食べたり、湖に入ったり、砂浜で遊んだり、工作したり、宝探ししたり、夜中にコウモリを探しに行ったり、ダンスしたりと、随分盛沢山ではあるのだが、7歳のうちの子にはまだちと早かったような気もする。転校してからのまだ二か月も経ってないのだが、大人の階段を二段ぐらい引きずって上らされた。残された家族の方も、長男だけがいないという不思議なシチュエーションに、少しさびしさを覚える感じであった。将来子供が一人暮らしを始めるときはこんな気持ちがするのだろうか?

 

・ドイツ語の勉強

旅行が終わった6月末は学校の教室で二者面談。30分枠だったけど、S先生しゃべりっぱなし。こちらのドイツ語の理解度はあいにく6-7割ぐらいか。。。疲れた。S先生が教職をとったころはまだ東ドイツの時代で、あの時代に習ったことは何もかも変わってしわったわ、みたいなことを遠い目をしながら言っていた気がする。激動の時代を生きてきたのねー。

子どもの目下の課題はディクテーション(Diktat)だそうで、聞くとか以前の話で、板書も筆記体で読めないし、小テストも筆記体で書けないらしい。まあ筆記体を小学校で習ってた頃は日本にいたので仕方がないし、そもそもアルファベットの書き方もHeidelbergとPotsdamで微妙に違うらしく、連絡帳(Hausaufgabenheft)に宿題を書けと言われても、そもそも読めないことも何回かあった。どうすればいいですかと聞くと、そういう専門のところに行けばいいのよと予想外の返答。紹介されたのがDuden Instituteというところで、一回話を聞きに行くことに。Dudenはドイツ語の広辞苑のような標準の辞書のことらしい。

Standorte > Standorte | Duden Institute

実際にアポイントメントをとって行って話を聞いていると、そういうお子さんは珍しくなく、ここでゆっくりドイツ語について学んでいくということだが、Webサイトとかを見る限りはどちらかというとディスレクシアなどの治療をしていくところらしい。いや別に日本語は読めてるし、そういうのじゃないんだけれども。。。週1回45分で、月謝は270EUR。集中コースは一日3回×月-金で週890EUR。医者の診断書があれば全部無料にはなるんだけど、診断もそのあとの申請も人手足りてなくて、無料の申請するのに一年ぐらいかかるから、とりあえず始めてみたら?ということだった。

うーんしかし、そこまでせんでも何とかなるだろうと腹をくくり、夏休みは筆記体特訓。ドイツ語のテレビでも見せて何とかなるかなあ。

 

ってか子供用の万年筆(Füller / Füllfederhalter)また買わなきゃ。。。

ドイツでは小2から万年筆使用が始まり、子供も調子乗ってなんでも万年筆で書くので、日本語の補習校の先生によく怒られた。消せないかと思いきや、この謎のインク消し(Tintenlöscher)というので一応消せるらしい。あら不思議(化学反応らしい)。

最初は貴重なもんかなとおもって、Pelikanでちゃんとした子供用万年筆(Griffix)を買ってみた。子供用にちゃんとできてて、壊れにくくはなっているが、すぐに失くされる。。。

こんなもんしょっちゅう買うわけにもいかないということで、近所の格安スーパーで売っていた、Schneider社製に格下げ。書き味が違うんだよなとか、ぶつくさ言っていた気もするが無視。そのうち慣れたらしい。