Wunderbarな日々

妻子連れ30代生物系ポスドクのドイツ滞在記です。

研究雑話(18)

・海外でさきがけ研究費を使う。

国内の機関なら事務にお願いすればよさそうなものですが、海外だとお互い初めてのことが多く、手探り状態です。

1)契約書締結

契約は大学本部の管轄で、大学側とJSTが折衝します。知的財産権(IP)や、間接経費などのところで何回かやりとりがありましたが、無事になんとか丸く収まりました。11月研究開始とのことでしたが、実際に契約書が締結されたのは12月に入ってからでした。

 

2)研究費の受け入れ準備

大学側では研究費の受け入れの準備。書類どっさり、、、。研究費専用の口座を開けてもらって、Übertragung von befugnissen
Anordnung und feststellung "Sachlich Richtig"という書類で、だれが支出に署名できるかを申請します。署名は超大事なんだなあ。いろいろ手続きをお願いすることもあるので、僕本人に加えて、教授や秘書さんもリストに加えます。研究費受け入れの申請には研究科長のサインも必要ですので、ハンコリレーじゃないですが、署名リレーです。

次に、どういうお金なのかについて、いろいろと申告。何がどうなったのかよくわかりませんが、EU外からの研究資金は消費税の免税を適応できるそうです。いくつかの高価なものについては適応して、免税で購入できました。この年末はコロナの影響を受けて消費税が一時的に19%から16%に下げられていて、、、いやぁ、こりゃ会計手続きややこしそう。

 

3)郵便が届かない

12月初めに大学の郵便から書留で日本へ署名した契約書を送ったのですが、郵便局がパンクしてたらしく、いつも来るはずの書留の追跡番号は待てど暮らせど帰って来ない。。。学内の人に問い合わせると、郵便物は郵便局の人が持ってったけど、君のだけじゃなくて追跡番号は全学で帰ってきてないと衝撃的な事実。いろいろ電話かけましたが、番号がわからないことには何も埒があきませんでした。。。

結局は無事に届いたのですが、着いたのは1月下旬と、届くのに40日以上かかってしまいました。心臓に悪い。ということで、

・年末に国際便を送るのは時間に気を付けましょう。
・大学郵便は、研究費番号を知らせると、通常は郵便局の人が郵送費を研究費から直接請求してくれるので便利ですが、書留などのように、もう一度番号を返さないといけないとかとなると面倒くさいからか、後回しにされるかもしれません。
・この一件以降はいったん立て替えて発送して、あとで払い戻しを請求するようにしました。事務の手続きを増やしてしまうのは申し訳ない限りですが、、、。Deutschpostのウェブサイトでも国際書留は簡単に注文でき、追跡番号も即時に発行されますので、荷物がどこに行ったか分からないというようなことはありません。

 

4)請求書の発行

てっきり双方が署名した契約書が郵送でJSTに届けば研究費が振り込まれるのかなと思ってましたが、そういうものじゃないらしい。契約書の郵送はあくまで保存用で、契約自体はPDFのスキャンで締結で確認してるので問題ないが、研究者の機関から請求書を発行しないといけなかったらしい。。。こういうのはてっきり大学本部がやってくれるのかと思いきや、請求書は各研究室で勝手に発行してくれだって、そんなん知らんよ。。。全員がお見合いしてました。

慌てて秘書さんにお願いして請求書を準備して、これも郵送で原本送付しました。あくまで日本円建ての請求書だそうです。FedExだと100EURを超えますが、DHL International ExpressEasyだと50ユーロぐらいで、2日で届きました。急がない書類はDeutschpost International Einschreibenで10ユーロもかかりません。10日以内には大体届くようです。

請求書が届いたのが1月末、2月末にやっと研究費が振り込まれました。ふぅ。

 

 

5)研究費を使う

家庭の銀行口座とは違うので、お金が振り込まれなくても、残高マイナスのままでどんどん使ってよかったらしいですが、初年度で研究費がどう振り込まれるかもよくわからなかったので、控えていました。請求書を出してから、もう大丈夫そうだなと思い、2月から支出を始めました。3月末が年度末ですので、買おうと思っていたものを次々に発注です。

日本の大学と同じで、ドイツの大学でも金額に応じて手続きが違います。一品500ユーロ以下のものは、各研究者で自由に発注。500ユーロ以上、5000ユーロ以下は、見積もりなどをとって、なぜその業者にしたのかというDokumentation für dezentrale Beschaffungsvorgängeという書類を出せば、各自で発注可能です。5000ユーロ以上の機器は、大学本部のBeschaffungsstelleからの発注となり、入札的なものが必要となり、いろいろな書類をへて、手続きが完了するまでは通常6週間かかるそうです。。。納品間に合うかなあ。。。このあたりはもうラボの人におんぶに抱っこでいろいろ教えてもらうしかありません。抜け道的なものがあるので、相談しながら上手いごとシステムを使い分ける必要がありました。一つだけ5000EUR超の機器を購入しましたが、書類の数が半端なく、しかもドイツ語だったりするので、もうおまかせっていう感じでした。なお、50万円以上のものはJSTの資産登録も必要になります。

支出した金額の30%以下の金額が間接経費として大学にとられ、いろいろ差し引かれたのち、PPKという名目(なんの略称なんだろ。。。)で幾分か研究者側に戻ってきます。これは文房具とか、研究に直接関係ないものでも自由に使える貴重なお金だそうで、他の資金の項目で支出しづらいものはこれでまかなうようです。帳簿はつけますが、報告の義務はありません。

 

 

6)会計報告

年度末から30日以内に会計報告を提出する必要があります。これも国内なら、はいよろしく!ですみそうですが、ドイツだと誰も経験がないので会計担当者と相談しながらさきがけのマニュアルと睨めっこで、初年度はいろいろ苦労しました。英語版の契約書と日本語のマニュアルと書いてあることが微妙に違ってたりするので(おそらく英語版が逐一アップデートされていない)、その度にJSTに確認をとりながらすすめていました。年度末の頃にはJSTから会計報告書作成上の注意事項が英語でも届きました。たとえば、ハイデルベルク大の通常の会計システムでは請求書単位でエントリーしているようですが、JSTへの会計報告書ではどのアイテムを何個購入でいくらかの記入が必要で、もう一回請求書を読み直して記入したりとまあ、いろいろありました。会計担当者はあくまでラボの秘書さんですので、「なんでこんなことしなきゃいけないのよ!」と思われないよう、背景やねらい、文化の違いを丁寧に説明しながら、ひたすらお願いするしかありません。

JSTからなんとかOKをもらい、会計担当者のサインが入った原本をJSTに送付してようやくひと段落です。ふぅ。。。

勝手が分からずにいろいろ苦労はしましたが、要求自体は穏当なものだったかと思います。他の大学はどうかわかりませんが、ハイデルベルク大じゃ検収なるものをほとんど見かけたことがありません。買ったものがちゃんと届いているかどうかを管理するのはあくまで研究者側の責任で、大学側がいちいち口出すことではないようです。日本のようにメーカーと研究者の間に業者が入りませんので、購入したものは宅配業者によって直接ラボに届けられ、請求書もいまだに郵送です(いい加減そろそろ大学のシステムが電子化するらしい)。他のラボの請求書やものが紛れ込んでることもしばしばです。もちろん不正がないわけでもないでしょうが、研究費を無駄遣いしても論文書いて次の研究費を稼げるなら、そりゃもう勝手にどうぞという感じな気がします。無駄遣いは研究者側の損になるはずで、それを防ぐのは研究者側の役目といったところでしょうか。まあ、そんな単純でもありませんけれども。

通常はこんな感じですが、ランダムに研究費をくばる団体から監査が入ることがあり、その時は大変です。学内の共有施設を当たり前のように使っていたのに、急に他の会社の見積もりとちゃんと比較してない!、請求書の中身が曖昧!とかいろいろ言われて、ボスが釈明に追われておりました。

 

7)更新

契約は一年ごとの更新。次年度の研究計画、予算計画を承認してもらって、年度末前になって更新の契約書を再び署名しあって、研究費の請求書も振り出します。

 

さて、買うものは買ったし、あとはデータにして論文にしないといけませんな。。。

生活雑話(16)

通販ブログではありませんが、最近買ったものの紹介です。

 

・炊飯器が壊れる。

5年前に購入した炊飯器(Reiskocher)が故障。加熱ができなくなってしまいました。分解して裏をじっと眺めても原因は分からず、、、寿命ですかね。毎日使ってたしな。お疲れさまでした。使い方は慣れてるし、機能に満足はしていたので、同じものTristar製品を再購入することに。ヨーロッパじゃほかのメーカーもみませんからね。近所のアジアスーパーでも売ってますが、Amazonの方が10ユーロぐらい安いんで、アマゾンで購入。地元経済を活性化したいけど、資本力の差にはかないませんな。。。26ユーロでした。

(Amazon.deの広告です)

5年もあれば改良は進むようで、内側のコーティングがよくなりました。あと、前のものは設定があまりよくなく、手動で早めにスイッチをオフにしないと、2合炊きだとほんのり焦げていたのですが、それがなくなりました。ふたが割れたときにすんなり買いなおしてればよかったんだな。。。

 

小型電化製品なので、ゴミ箱に捨てるわけにもいきません。ハイデルベルク市の下記のサイトから申し込み、予定を決めて取りに来てもらいます(無料)。住所ごとに取りに来る日が決まっているようで、この時は一か月半ぐらい先の予定になりました。

heidelberg.de - Sperrmüll

予定日の前日の夕方に、玄関先に壊れた炊飯器を出しておきます。ふたはまた割れた時用に予備でとっておいて、ふたなしのまま出しておいたのですが、夜みたらもうありません。誰かが拾ってしまったようです。使えないのに。。。ドイツじゃよく庭先に物が置いてあって、ご自由にどうぞという感じで、ゴミ回収も特にシールとかステッカーとか貼るわけじゃないので、こういうことがよく起こります。壊れた炊飯器はまたしばらく世をさまようことになりそうです。

 

・インラインスケートを買う

ロックダウンで暇になるから、子供にインラインスケート(Inline-Skates)を格安スーパーのAldiで購入していました。20ユーロぐらいで安くてよかったのですが、もう靴のサイズが小さいから痛いとクレームがつくように。なかなかうまくなってきていたので、もうちょっとまともなものということで、もうちょっとまともそうな専門店(decathlon.de)で40ユーロのもの(OXELO Inline-Skates Inliner Fitness FIT 3 )を買いました。

www.decathlon.deこれが子供に評判上々。ぜんぜんスムーズさが違って、ぐいぐい進むようです。そうか、やっぱり高いものはいいんだなあ。。。相変わらずヘルメットとか、サポーターはつけてくれませんが。ドイツはまじめな人が多いので、自転車に乗っている大人がヘルメットを着けているにもちらほら見かけるぐらいですので、防具つけずにインラインスケートさせてるとほかの大人からよく怒られます。。。買ってはいるんですが。。。痛い目に合わないと覚えない性格のようでして。。。

 

・ストライダーを買う

お兄ちゃんがインラインスケートをゲットしたのだから私だって!!という要望に負けて、下の子にはストライダー(Laufrad)を購入。定価50ユーロのものが、セールで35ユーロでした。いやぁ、それでも高いけど。。。Müllerでお取り置きしてもらって、時間があるときに取りに行きました。結構すぐに乗りこなして、大好きなPeppa Wutzで気分上々。保育園もこれで行くと言い出すので毎日が大変になりました。。。まあ、子育てってこういうものですよね。買う前はねだられ、買った後は買った後でまた駄々をこねられる。

 

www.mueller.de

・風呂を買う

2020年の冬は雪も多く、寒い日も何日か。うちの家にはシャワーしかなく、コロナ前はちょくちょく温泉に行っていたのですが、あいにくコロナで休業中。休業が長くなりそうなので、シャワー室におけるタイプの折り畳み五右衛門ぶろを購入しました。約80ユーロと安くはありませんが、背に腹は代えられないということで。。。

 (Amazonの広告です。)

 サイズはシャワールームにピッタリ。半ば冗談のような商品ですが、結構保温性があって、思った以上にお風呂感が味わえました。お風呂上りもぽかぽかです。子供たちもえらく喜んでいて、週一回湯船につかることになりました。

ネックはお湯が足りなさそうになること。温水器でお湯がタンクにたまっていますが、使い切ってしまうと加熱が間に合わないので、途中でいったん止めて、ふたをして、加熱を待って~とかだと、匙加減が難しいです。あと、水をためる前に排水のことを考えて向きちゃんとしとかないといけません。

 

・アンティーク食器を買う

https://www.ebay-kleinanzeigen.de/

ドイツで個人間の売り買いでは一番使われているのがebay kleinanzeige。メルカリのようにちゃんとしたものではなくて、あくまで掲示板ぐらいの感じです。出品する方も、買う方も原則無料で、お金のやりとりも個人間です。お金を払うと、検索で自分の出品が上位に来るようになります。まあ、変な人もたまにいますが、おおむねは大丈夫です。

妻がアンティーク食器を見つけて、チャットでやりとりして、予定を決め、譲受に行ってきました。なんでも上の世代からもらったものらしく、捨てるに捨てられない状態だったそうでした。しかし、えらい量だけど、これ全部日本にもって帰れるのかな。。。

 

生活雑話(15)

・いちご狩り

車を走らせてると、「Erdbeer」と書かれた看板を見かけることがあります。大概の場合は売っているだけですが、自分で収穫するところがあったり。ハイデルベルクの近郊だと、Obstbau Pfistererが運営しているところがあり、自分で収穫して量り売りで売ってくれます。イチゴを摘むはpflückenだそうで。春から初夏にかけて何回か行きました。旬なときは毎週末やってるようです。

Obstbau Pfisterer – Erdbeeren & Blumen pflücken & schneiden

まず入口のところで、持ってきた空の容器の重さを測定。重さを記したメモ用紙をくれるので、それをもって入場。最初は勝手がよくわからなかったので、クッキーの空き缶とか持っていきましたが、周りは大きなかごやら、トレイやら、手押し車までもってきている強者もたくさん。どっかに転売でもする気か?値段も安いことは安いものの、ディスカウントスーパーと同じぐらいです。まあ、新鮮さはそりゃ違いますけど。収穫しない人も、パックに入ったいちごが並んでるので購入することができます。

日本のいちご狩り体験だと、時間が決まってて、入場料があって、時間内は食べ放題で、お持ち帰りは量り売りで有料みたいなのにいったことがありました。ドイツ式は時間無制限で入場料も取らないので、食べても大丈夫かいなと不安になりますが、周りの強者たちは十数キロの単位で摘んで帰ってますので、人が食べれる量は誤差の範囲内で誰も気にしてなさそうです。水で洗わずそのまま口に放り込んでる人もいっぱいいました。品種が何種類かあるので、味の違いも楽しめます。

連休のあるときは、窓口で地図のアドレスが記されたQRコードを渡され、違う畑に案内されたこともありました。コロナ中ですが、激混み。イチゴをいっぱい摘んでどうするのかという話ですが、ボウルかなんかにぐしゃって入れると傷むのも早く、生で食べるだけでは間に合いません。摘んでる間は楽しいのでついついいっぱい採っちゃいますが、結局はジャムにでもしないと、そんなにいっぱい食べれるものでもないですね。。。

 

・リンゴ狩り

こちらはHeidelberg郊外のEdingen-Neckarhausenにある果物農園Baumschule und Obstbau Georg Schneiderで、秋に数日だけ開催される催しで、リンゴ農園でリンゴを摘ませてくれます。

https://www.schneider-baumschule.de/

www.youtube.com

リンゴの木が思ったより低い。まあ、収穫は手作業なんで、高かったら簡単に採れないか。接ぎ木で増やされて、各品種が畑のようにずらーっと並んでいます。たわわに実っていて、イチゴと違って、あっという間に数キロとれました。一つか二つかはその場で食べましたが、そんなに食べれるものでもないですね。

飲み物やソーセージのスタンドもありますが、長蛇の列でなかなかありつけませんでした。リンゴの計量も長蛇の列で。。。時間にはゆとりをもって出かけましょう。

 

・そりすべり

普段は温厚な気候のラインネッカー流域ですが、2020-2021年の冬はハイデルベルクでも実によく雪が降りました。

www.rnz.de

市内から見渡せる周りの山もすっかり雪化粧に。ハイデルベルク城があるKönigstuhlはそり滑りの名所で、いかにも混みそう。ちょっと車を走らせて他に雪で遊べるところがないか探してみました。

https://goo.gl/maps/b8dyGZWdNAip2sAp6

ハイデルベルクから車で10分ほど。Dossenheimから東へ道なりに登って、上記のリンクぐらいまでたどり着くと、あたり一面の雪景色に。道が二股に分かれていて、右に行くと、電波塔と、ヒュッテZum Weissen Steinというところまでたどり着けますが、コロナで残念ながらヒュッテは閉まっています。

Höhengaststätte "Zum Weißen Stein"

狭い道中、ただっぴろい斜面になっているところがあって、そこがそり滑りの名所のようです。スキーの中級者の斜面ぐらいで、結構怖そうですが、これぐらいないと楽しくないよう。最初に行った日はあまり雪が残ってなくて、雪が積もった週末にもう一回出かけようと意気揚々で出かけたのですが、なんと先ほどの分岐点でパトカーが止まっていて車は通行止めに。。。確かにまあすれ違いが難しいところもある狭い道で、路面が凍ってれば危ないですね。かといって歩いていくには遠すぎるので断念。

そこであきらめて引き返す人もいましたが、よく見ると分岐点から川沿いに左の方に曲がっていく人もちらほらいるので、ついていってみることにしました。ハイキング道の入り口に何台か車を停めれるところがあり、そこからは登れるようになっていました。南側の道にそって上ると、ハイデルベルクから数分とは思えないような雪景色。

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ツルツルの凍った急斜面を登るのになかなか苦労しましたが、15分ぐらいでしょうか、ただっぴろい斜面(=そりで遊べる)につながる脇道があり、そこをめがけて子供たちがそりをもって出かけているようでした。特に木製のサンタさんが乗ってそうなそりはスピードが出やすく、ブレーキも利かないため、大体がそりから落ちてようやく止まってました。子供にとってはだいぶ楽しかったようで、帰り道にそりに乗せて坂道を降りていく途中で眠りについてしまいました。雪山で寝たら死ぬぞ。。。。

 

コロナでどこもしまってしまい、なかなか遊びに行けるところも少なくなっていましたが、雪のおかげでだいぶ週末がつぶせました。スキーリゾートみたいになったと、研究室の古株の同僚も喜んでましたので、ハイデルベルクではなかなか珍しいことのようです。

 

・アレルギーテスト

子供が喘息持ちで、風邪やらいろいろ重なると大変です。小児科の勧めで、Lufuというのを受けてきました。Lungenfunktionsprüfungというもので、肺機能のテストのようです。紹介されたのが、Dr. Dunckelmannというところです。

Kinderarzt Dr. Dunckelmann, Facharzt für kinder- Und Jugendmedizin

呼吸器のところはこのご時世予約をとるにも一苦労。電話したところ、書類を3枚ぐらい埋めて事前にメールしてくれとのことで、やっととれた予約は一か月先以上。行くと吸ったり吐いたりの呼吸器のテストと、皮膚パッチでアレルギーテストもやってくれました。訪れた日は特に喘息の症状が出ていない日でしたが、それでも弛緩薬を吸引すると肺機能が上昇したため、気づかないけど慢性的にいくらかは症状が出ているよとの診断でした。ストレスや寝不足や、アレルギーなどが重なるとどこかのポイントで閾値を超えて発症してしまうようです。

花粉症でもあるため、花粉が出てる日は外に遊びに行かない方がいいですかと尋ねたところ、子供は外で遊びに行くものだから、そうしてもいいように治療するのが私たちの仕事との頼もしい言葉をいただきました。なるほど。ドイツにしばらくいるなら、製薬会社がやっている喘息との付き合い方を学ぶプログラムとか、アレルギーを克服するプログラムがあるので、参加するといいよとのことでした。へー。

 

・カメラ壊れる

 子供がニコンの一眼レフを落とす。。。無事とはいかなかったようで、ミラーのところが壊れました。ミラーのところをちょんちょんと触って、引っかからなくする方法がYoutubeで上がってましたが、これでは治らず、もっと重症のようです。ミラー部分のパーツを取っかえる動画も見つけましたが、これは難しすぎてやる気がしない。。。修理に出すと数万円は取られるので、なかなか踏ん切りつきません。

www.youtube.com

治ってはいませんが、とりあえず、電源ON→シャッターを切って、エラー表示をなくす(何回かかかることもある)→Live Viewモードにして、シャッターを切ることで、ミラーを動かさずに写真を撮れるようにはなりました。フォーカスとか、フラッシュとかいろいろだめだめですけど。。。んんん。。。

ハイデルベルクでのCOVID-19(3)

・ロックダウン解除

2020年5-9月はコロナの感染者も収まって、新しい生活形式が始まりました。6月からはドイツにおけるEU内国境管理もとれて、自粛要請はありますが、自由に移動できるようにはなっていました。

 

・プール

ハイデルベルクの野外プールも再開。Thermalbad, Tiergartenbadは2-3時間ごとの枠で、人数制限を課したうえで、入れ替え制でネットの事前予約制となりました。2日前の0時から予約開始となるのですが、夏の暑い頃はサイトが劇重で予約ページになかなかたどり着けません。広大な敷地に同時に入れるのは100人とかなので、入ってしまえば超快適。好きなだけ泳げます。水着に着替えてから行けば着替えも最小限で済み、更衣室に入らなければ、特に感染を恐れるような瞬間はありませんでした。

 

・遊園地

山の上のMärchenparadiesもWeb予約制。こちらは入れ替えではなく、時間枠当たりの入場者数で制限を設けていました。夏祭りなどでの移動遊園地系は全部なくなってしまい、上の子が同じ年の頃は散々遊んだのに、下の子には申し訳ないなあ、、、

動物園もWeb予約制でしたが、出口近くの遊具場で子供がごった返していて、ちょっと気になったと妻が言っていました。

 

・感染者増加・ライトロックダウン

10月から感染者が増加し始めて、一日のドイツ全土の新規感染者数が4桁に、11月からは5桁になりました。11月からはライトロックダウンが始まり、プール等は再び営業中止に。子供の水泳教室やっとこさは入れたのになあ、、、残念。旅行目的でホテルに泊まれなくなり、まあ、地元でおとなしくねということですね。飲食店も再び閉鎖。クリスマスマーケットなども中止になって、冬の楽しみがなくなった感じです。

 

・再びロックダウン

ライトロックダウンは奏功せず、新規感染者数は高止まりのまま。日本ならほどほどに空気を読んで自粛するのでしょうが、ドイツだと規制されていないことはOKとみなすし、3月の春先よりは大丈夫なのねという受け止め方だったかもしれません。パーティもそれなりに見かけるので、そりゃこうなるかなという感じではありますが、、、まあ、これまで通りの生活をしてるだけなんでしょうけれど。メルケル首相が決死の形相で議会で訴えて、12月16日からは再びハードロックダウンが始まって、学校・店舗の閉鎖が決まりました。

 経済も自由も大事なので、これぐらい訴えないと議会での賛同が得られなかったかもしれません。ハイデルベルクは比較的落ち着いていましたが、他では反マスク・反コロナ規制でそれなりに反対運動も広がっていました。首相の訴えはなかなかドイツ人の心に響いたようで、こういうのを余人をもって変えがたいというのでしょうねえ。。。日本の首相にこういう演説を期待するのは酷ですか。やったところで「なに感情的になってんの?」と冷めた感じになるかもしれませんね。

 

https://twitter.com/GermanyinJapan/status/1338811182266761216?s=20

・子供のオンライン授業・宿題

 年が明けても、新規感染者数は4桁にはなるものの、収っているとはいい難い状況でロックダウンの継続が決定。学校も閉鎖が継続し、オンライン授業となりました。小学校1年生はフルの授業ではなく、あくまで課題のサポート的な位置づけで、週に2回、30分だけの会で、5-6人ごとの少人数制です。ZoomでもWebExでもなく、Jitsi Meetというオープンソースのソフトウェアが採用されました。

Jitsi Meet

本当に商用サービス嫌いなんだなあ。。。でも商用じゃないので、よく落ちます。オンライン授業自体は、日本語補習校の授業がずっと春先からオンラインだったので、わりかしすぐに慣れてくれました。マイクのオンやオフをどう操作するかなど、オリエンテーションから説明してくれました。

Chrome推奨だったので、Macbook Pro 2010 Midに、macOS High Sierra 10.13.6を入れて、やっとChromeが入るようになりました。今時Chromeのシェアが63%なのかー。Firefox人気ないなあ。。。

gs.statcounter.com

https://ja.padlet.com/

他にもPadletという電子掲示板が採用され、教科ごとの教材、ビデオ、課題などが次々に更新されます。PCのWebブラウザだとスクロールしづらいんだけどなあ。。。

課題が入ったLernpaket(茶封筒)は毎週各クラスの保護者代表の家に送られ、手分けして家まで配達される仕組みです。うちも一回配達を手伝いました。

課題は学校が再開されてから提出するか、スキャンして送ってもいいよとのことで、毎週スキャンして送ることに。知人のおさがりのスキャン付きプリンタがこれほど活躍することになるとは。学校側がNextcloudというオンラインストレージを立ち上げていて、それを経て送ります。大学も原則データを大学外のサーバーに置くなとの指示で、Dropboxとか、Google Driveは忌み嫌われます。なんでもデータはドイツ国内にないといけないそうでして、、、

小学校一年生なんで、まだそんなに課題が多いというわけではないですが、家庭内でやる気にさせるのが難しいところ。同僚も30分子供と戦って、やっと3分ぐらい課題やってくれるという感じだそうで、毎日ともなるとへとへとになります。

 

 ・マスク

2021年1月25日からは、公共交通機関や小売店では布マスクの使用が禁止に。まあ、マスクを忘れて服を手繰り寄せて口やら鼻を隠している人もいましたからね。。。大学でも同様の措置となりました。各研究室にもそれなりに十分の数のマスクが配られ、さらに全住民大人一人当たり6枚のFFP2マスクのクーポン券が2枚配られました。近くの薬局で2ユーロで6枚購入できます。アベノマスクに比べると、だいぶ用意が整っている感じです。

 

・授業再開

新規感染者数が一日5000人ぐらいに落ちてきたころ、2月10日の会議で幼稚園・学校の再開などが決定。まだ完全に落ち着いたとは言えないですが、子供が家にいるといろいろ大変なので、政治判断の匙加減ですかね。3月1日から美容室も再開される見込みとなりました。髪伸ばしっぱなしだからなあ。。。うちの子の小学校では、ファッシング休暇明けの22日から再開。クラスの人数を半分に減らして、一日おきで通学することになったそうです。

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https://corona.rki.de/

ハイデルベルクは近くの地方に比べても新規感染者数が少なく、10万人あたりの過去一週間の累積新規感染者数が23.5と、しきい値となっている35を下回っています(2021年2月14日現在)。外出禁止もとれて、さっそく先週の木曜あたりから夜22時までスーパーなどが開くようになりました。50を超えるとまたロックダウンになるので、なんというか、市民全体で共同責任を負った課題を与えられた感じですね。。。

 

研究雑話(17)

次から次へとタスクが降ってきて、1月はついに初めてブログの更新を落としてしまいました。いやー、バリバリ仕事しながらSNSとかじゃんじゃんやってる人すごいですね。。。締め切りと締め切りの合間にやっと更新です。

とはいえ、仕事しかする話ない。。。コロナでどこもいけないとなると話のネタにも困ります。

 

・論文受理

追加実験のデータも出そろい、完璧じゃないにしろ、許容の範囲内。他のところはコロナ中にちまちまデータ・原稿をなおしていたので、すぐにまとめて再投稿。と思ったら、すでにアカデミアを離れたフランス人ポスドクが投稿を承認してくれない。。。スマホ持ってなくてSNSもやってない人だから、メール読んでくれないと連絡が取れない。ちょうど彼女のところを訪ねたことがあって、フランスでの携帯番号を何とか発掘し、SMSでメッセージを送ったら、すぐに承認してくれました。メールアドレスもそうですが、mixiもfacebookもLINEもいざというときは連絡取れないことがあるから、やっぱり電話番号・住所は聞いとくもんですね。

数週間でマイナーリビジョンのコメントがきて、2、3日で直してすんなりアクセプトとなりました。よかったよかった。あれこれポジション申請するのにも、なんだかんだいって論文ないと勝負になりませんので、これでなんとかたたき台には乗った感じでしょうか。

祝賀会はオンラインで30分ほどと、ちょっと味気ないですが、まあ仕方がない。どのタイミングでやるのかというのも難しく、ほぼアクセプトのマイナーリビジョン、あとは編集チェックするだけのアクセプト、アクセプトといろいろ形の連絡が来てました。2つ目で敢行しましたが。

個人的にはちょっと無理めのジャーナルに挑戦という感じでしたが、エディターが乗ってくれて、査読もデータのさらなる検証だけで、核心のところはOKという反応。うちのボスはジャーナル選びが堅実で、あまり無茶しません。最近だと大体2つ目か3つ目のところで論文を通しているようが、今回も最初に投稿したジャーナルに受理されました。共同研究先じゃ、とりあえずどんな論文でも片っ端から姉妹紙に挑戦というところもありますからね。。。祝賀会でボスに投稿当時の心境を聞いてみたところ、無茶なことは主張してないから査読に回ればたぶん行けるだろうし、エディター(知人)の感じからすると5分以上は勝算があったとのこと。そうですか、僕はちょっと悲観的過ぎましたか。

 

いろいろ頑張っているジャーナルで、受理後も結構業務がごっそりありました。

 

・レビュアーレポート

初めてレビュアーレポートが公開されることに。いやぁ、レスポンスレター書いてるときは出版されるつもりじゃなかったから、大丈夫かなといろいろドキドキです。ジャーナル側で編集をしてくれて、メジャーコメントだけで、マイナーコメントは削除です。一応著者側にもチェックがまわってきて、特に問題ないよとすぐに返しました。特に未公開データを出したわけでもないですし。

今回の論文では最終的にすべてのレビュアーが同意してくれたので、本文の理解をより助ける感じで、レポートが公開されても全然問題ないんですが、こうしてみると、なんで今まで公開してこなかったんだろうと不思議にもなります。初版はプレプリントに載ってるし、最終版までの過程がほぼオープンです。いまはこんな時代になったんですね。

レビュータイムラインもすべて公開されました。2月に初投稿、3月に再投稿を促すリジェクト、10月初旬に再投稿(新規投稿扱い)、10月下旬にマイナーリビジョン、11月上旬にリバイス投稿で即日受理。微修正を経て、11月中旬に最終受理でした。ジャーナルポリシーでは投稿されてから4か月で出版することを目指すため、リビジョンは2か月以内で、これまでの一般的なメジャーリビジョンコメントでも、基本は一旦はリジェクトのようです。てっきりこれはスピードが速いジャーナルに見せかけるための策かと思ってましたが、リジェクト時の日時も査読コメントも結局公開されているので、そうでもないらしい。それならまあ、フェアかなあ。リジェクトされている間はほかの雑誌にも気軽に投稿できますし。

 

・要約、筆頭著者紹介・・・

高校生か大学1年生にわかるように要約をよかったら書いてねー、とのお誘い。いうのは優しいものの、書くとなったら難しい。指示がいろいろあって、語彙は簡単なものを使いましょうということで、novelじゃなくて、new、simultaneouslyじゃなくて、at the same time。すべての文章は35単語以内だそうで、そういうの簡易な文章っていうんですね。四苦八苦して仕上げてボスのところに送りましたが、ほぼ全面改訂で原文の跡形もなくなった。。。ははは。ボス版の方がいいのはわかるので、まだまだ力が足りませんね。この要約はジャーナルのブログと、論文のPDF版に載るとのことです。

筆頭著者紹介もせっかくだからいろいろ自由に書かせてもらいました。ジャーナルのブログやTwitterで紹介してくれましたが、論文のページにリンク貼らないとさすがに誰も読まないと思うけどなあ。。。

 

・校正、校正・・・

ちょうどジャーナル側の出版会社の切り替わりにかぶってしまい、いろんな作業がのびのびに。速報版PDFの校正というのをもう済ませていたのですが、論文が公開されたのは12月に入ってから。切り替わる前は数日で公開だったので、思わず問い合わせてしまいました。宣伝だと思って、公開と同時にボスがTwitterで頑張ってましたが、そういう集計が始まったのはしばらく経ってからで、がんばりはそういうスコアには影響しなかったらしい。ドンマイ。まあ、やっぱり引用数が一番あてになりますね。時間はかかりますが。正式な出版は年越えが決定し、2021年のヘッダーをすべてのSupplemental Dataに入れるようにとの指示。さいですか。やってくれないんですか。。。エクセルファイルにヘッダーって、かっこいいような、ダサいような。。。

年が変わらないとdoiがリンクされないので、関係各所(データレポジトリ、bioRxiv、フンボルト財団等)への登録・連絡もできず、pubmedにも収録されず、、2月に入ってからようやくproof版のPDFが届き、さらに校正。そこそこ修正を入れたので、そろそろ最終版が世に出てほしいところです。

学会誌なので、それまではたぶん自前のサーバーで、自前のスタッフで出版作業をこなしていたのですが、出版社のタスクも多方面にわたってきていて、長い目で考えればこれではやっていけないということで、大手出版社に委託するようになったようです。しかし、大手出版社にとってみれば、ただの顧客の一人になってしまうので、そのあたりの愛情やスピード感はやっぱり違いますよね。。。難しいところです。

 

さて、これでドイツに来てからの論文に出そうなものは全部出しました。次の論文はどんなタイトルになるかまだ想像もつきません。ワクワクドキドキする一方で、ちゃんとまとまるんかいなと不安は尽きませんが、まあ、続けられる環境を与えてもらったので、また新しい航海に発ちたいと思います。

研究雑話(16)

・面接

 7月末、JSTより選考日程のアップデート。いまどきツイッターで告知するのか。。。しかもこの情報、たしかツイッターでしかつぶやかれてなかった気がする。

https://twitter.com/JST_Kisokenkyu/status/1289025490246754304?s=20

 該当領域の期日が過ぎても連絡が来なかったので(落ちた人は郵送通知)、まあ、落ちたかなと思いましたが、一日遅れで面接へのご連絡。。。いろいろ心臓に悪い。中の人もコロナとかで、てんやわんやなんでしょう。面接自体はコロナの影響でオンラインですることになったので、日本に帰る口実がなくなりました。残念。

面接の日程は3週間後。面接までに提出するファイルやら、説明書きやらで10個ぐらいのファイルがどっさり送られてきました。ZOOMの使い方についてスクリーンショットがいっぱいの説明ファイルもついてきて、こういうの作ってたから期日に間に合わななかったんだろうな、、、でもZOOMのサイトの説明書き読めでいいんじゃないかな、一応対象は若手研究者なんだし、ZOOMみんな使い始めてたし。

そこからは準備に追われる日々。大学本部ともやり取りして、チェックリストという書類に署名をもらわないといけません。大学もJSTとのやりとりは初めてなのでいろいろ慎重になります。チェック項目に「原則として、上記以外の条項においてもJSTが指定する内容で契約を締結すること。」というのがあるのですが、英語版は「原則として」が抜かれてあり、結局大学の法律担当の人は契約書の全条文をチェックする羽目に。。。しかもミスでこの項目だけチェックされないまま署名されてしまって、JSTに釈明したり、大学本部から事情を聞いたりと、てんやわんやでした。最終的には無事何とか間に合いました。

学振側ともやりとり。JSTとしては、海外学振の身分でさきがけをもらうことに問題はないかという確認をしてほしいとのことで、海外学振側に問い合わせて、前記事での受給条件を満たせばOKとの言質をメールでとり、JST側に転送。月額10万円の兼任報酬を辞退することで問題がないようです。一件落着かと思いきや、面接の直前になって、今度は、JSTとしては、海外学振のテーマを含むような研究提案という形は既存のテーマにお金を足すという形は受け入れられないので、海外学振とは別のテーマであることを希望。そのあといろいろ頑張って、面接後もやり取りが続きましたが、何とかJST、学振両方が合意できるような形で着地させることができました。今回は学振側がずいぶん柔軟に対応してくださいました。

面接はプレゼン10分に質疑応答15分。上記のようなもろもろに追われ、たどり着くだけでもう精一杯という感じで、あんまりしっかり準備ではできなかったです。反省。だって。。。以下略。一応上半身だけスーツに着替えて、ラボのセミナー室を貸し切って臨みました。おおむね申請書どおりにプレゼンし、追加でとれたデータも少し足しましたが、あくまで研究提案なのでこれから解くべき問題・手法について時間を多めに割きました。質疑では将来的に何がやりたいのか、一番の売りはなんなのか、などについても聞かれましたが、他は科学的な質疑応答でした。ZOOMでの質疑応答はちょっと難しく、誰が聞いてるのかすぐにはわからないし、タイムラグもあって2、3問はうまくかみ合ってませんでしが、ほかはなんとか答えられたかなあ。終わるとどっさりと疲労感で、ちょうど8月末で、この夏はこれで終わった感じです。

 

・採択

面接後もいろいろと電話・メールでやりとりがあって、約3週間後に、メールで採択との通知。Wow!と喜んだのも束の間で、だんだんとプレッシャーの方が大きくなってきましたが。。。領域会議怖い。。。

 

・採択後

研究計画書やら、予算計画書やら、採択後も書類がどっさり。学振側にも研究資金受給届を提出。大学広報にも一応お知らせ。

海外の機関とは、研究開始日以降になってようやく契約締結の手続きが始まり、こちらも紆余曲折合って、一か月半ぐらいかかってようやく締結。お金が実際に振り込まれるのは研究開始日の3か月後ぐらいのようです。今現在まだ振り込まれてません。国内ならお金が振り込まれる前から使えるようですが、海外だとどうなんでしょうね。。。予算間の付け替えはあとで簡単にできるようですが、僕がもってる研究費はほかにないし、ボスに毎回頼むのもなあ。。。悩ましいところです。まあ、請求書はどうにかなりますが、技術支援員や学生を雇うとなると、そのあたりの計画がたたないと難しいです。たぶん無理そうだと見込んで、初年度は人件費計上しませんでしたが。また、国内と違って、海外機関では年度繰り越しができないようです。うむむ。

 

・創発

さきがけの採択情報が公開されたと同時に、JSTより連絡が入り、重複制限の対象となりますので、さきがけを受託するなら創発の申請を取り下げてくださいとの旨。放置すると不採択になるので、応募できる回数が一回減ってしまいます(?)。お金の使い勝手は創発の方がよかったので、あわよくばこっちをと一瞬浮気心に思ったこともありました。ごめんなさい。さきがけさんと一蓮托生します。

 

・影響

正直なところ、まさか通るとは本気で思ってなかったので、将来の身の振り方についていろいろ急に考えさせられることになりました。さきがけ研究は3年半あるのですが、海外学振は開始時点であと1年3か月しかありません。現ボスは特に雇える予算はもっておらず、「いてくれるのはいろいろ助かるけど、君のキャリア的にもそろそろ異動だよね。」というのはお互い思うところです。

さきがけ専任研究員となればJSTから給与が出るし、研究費ももっていくんじゃ、国内のはどこでも受け入れてくれる可能性が高いはずです。人間として個人的に嫌われてなければ。。。そういう意味じゃ非常にありがたいシステムで、研究を進めるうえで一番いい環境に入れます。4000万円もあれば、結構な設備投資もできるので、できればどこかで腰を据えてやりたいところです。ただ、早く動かないと人材的な魅力は研究費の使い込みとともに減っていきますし、物を買ってから動くのは面倒だし、海外学振が終わるのを待ちたくはないなというのが心情です。また、雇用する側に立てば、人件費という意味でも魅力的で、ドイツでフルタイムの技官さんを雇うと年俸600万円はくだらないですが、日本は2-300万でいけるらしい。まあ、それがいいかどうかはまた別の問題ですが。。。博士課程の学生もしかりで、日本ではRAとして年俸200万円が推奨されていますが、ドイツでは支出する方は4-500万円ぐらい用意しないといけません。

となると帰国一択のような気もしますが、一方でこのライフワークバランスは手放しがたいものでもあります。日本で一人だけ9-17時で帰ったり、バカンスで2週間休み取ったら確実に浮くし、し烈な競争に勝てる気がしません。。。ドイツはそれでも研究が回るようなシステムになっていますが、日本で一人で孤軍奮闘してもなんとかなる問題ではない。。。給料や福利厚生面は断然ドイツの方が良く、また、独立ポジションのチャンスは日本よりは多い印象です。任期なしの職に就くのは同じぐらい大変ですが、、、さきがけ研究をやるとなると、他のプロジェクトで雇用されるポスドクにはなれないし、教授の下の助教である程度自由に研究できるようなポジションは、ドイツではほとんど見当たりませんので、必然的に独立しか方法がありません。そして、海外で続けるとなると、子供が小学校に入学したこともあって、できるだけドイツ語圏で探したいところです。アメリカ・イギリスもいいけれど、、、うーん。

ということで、最終的にはせっかくのチャンスなので、年内いっぱいぐらいはドイツ語圏のグループリーダポジションに応募してみて、だめそうなら来年は日本に帰って腰を据えてやることにしました。来年末にハイデルベルクに残らないよう(=職探しが失敗して他が見つからない)、がんばります。

赤裸々に書き過ぎかな、、、まあ匿名だし(笑)。だれも傷つけないよう配慮はしたつもりですが、差し障りがあるようでしたら削除しますのでご一報ください。

 

・領域会議

2期生(今年度採択)だけの領域会議と、1期生も交えた領域会議が終了しました。残念ながらオンライン開催。また日本に一時帰国する口実が一つ減りました。コロナよ、早く終わってくれい。。。内容は守秘義務があるので何とも言えませんが、、、まあ、よくもまあこのメンバーに入れさせていただいたという感じで、とても刺激的でした。ポスドクよりは先のステージに進んでる人も多く、抱えてる複数のプロジェクトのうちの一つがさきがけ研究ぐらいな感じで、将来はこうならないといけないんだなと勉強になりました。こっちはもう、ほぼ全戦力・データつぎこんで、やっとこさ1プロジェクトですからね、貫禄+余裕具合が違います。一年ごとに進捗をチェックされるので、緊張感をもって取り組みます。そのためにも早く居場所を見つけないといけませんね。

研究雑話(15)

・背景

海外からでも使える日本の研究費は少ないのですが、その一つがJST(科学技術振興機構)がやっている「さきがけ」です。3年半の期間で最大4000万円までの研究費です。

さきがけ

将来の教授になるひとたちがよく採用されていて、登竜門的な印象です。いつかは応募したいなと思っていて、まだちょっと早いかなという感じでした。が、聞けば同年代ぐらいの元同僚らも結構昨年応募していたし、分野的にちょうどフィットする領域もあることなので、思い切って応募してみることにしました。1領域は3年にわたって応募を受け付けますが、これを逃せば次は何年後にフィットする領域が来るかわからないので出し惜しみしても仕方がないし、まあ、ちょうどロックダウンでホームオフィスも増えたことだし。くくりは緩いものの、戦略に沿った提案が採択されるので、通常の科研費のようにどの分野でも出せるというわけではありません。他の方と比べるとまだ業績がだいぶ見劣りしますが、、、まあ、何事も経験ということで。

 

・申請手続き

さきがけの申請はe-rad。研究者番号が必要で、通常は所属機関の事務が登録してくれるのですが、海外にいると個人申請になります。

(研究者向け)新規登録の方法|府省共通研究開発管理システム(e-Rad)ポータルサイト

日本まで郵送申請ですか、さいですか。。。案内に従って郵送したところ、内閣府の担当者からメールが来て、あなたすでに登録されてますとのお知らせ。ああ、そうだった、ドイツに来る前にポスドクで科研費を申請したことがあったから研究者番号を作ったんだった。採択されなかったからすっかり忘れてました。

e-radの担当者から、研究者番号をメールで教えてもらい、それを使ってログインIDをe-radのシステムらからメールで教えてもらい、パスワードを再設定して、ようやくログインできました。日本にいた所属機関のメルアドを登録していたので、あやうくメールが受け取れなくなるところでしたが、わがまま言ってにアカウント維持してもらってよかった。これでお役御免ということで、解除してもらいました。

ということで、海外に行くときは研究者番号をメモって、e-radのメルアド変更を忘れないようにしましょう。

 

・申請書作成

当初の締め切りは5月12日でしたが、コロナの影響で6月16日に延長されました。2ページの要旨(ショートバージョン)に、6ページの研究提案(フルバージョン)が様式です。海外学振に比べたら長いのでいろいろ書き込めますが、ドイツの申請書に比べたら短いので、ちまちま書かずに目的・ねらいなどを重点的に書きました。

他制度での助成等の有無のところで、海外学振のことを書くわけですが、書き方が難しい。受給研究費という意味では、0円で、滞在費・研究活動費としてもらっていると書き込みました。エフォートはもっと難しい。海外学振側は専任義務を課している一方で、研究費の申請・受給は下記条件のもとに許可しています。

【受給条件】
1.海外特別研究員の研究課題の遂行に必要であること
2.研究資金の経費には海外特別研究員採用者本人の給与(相当)等、 生活経費に関するものは含まれていないこと

とりあえず申請時点では、さきがけのエフォートを100%として、海外学振は本提案に含まれるとしましたが、のちのち事務方より修正要求が来ました。

特記事項のところある程度自由が利くので、提案書には書けないような意気込みとかアピールポイントとかを書きました。「海外研究機関での研究実施を希望する理由」「着想に至った動機・いきさつ」「なぜさきがけ研究費がいるか、海外学振だけじゃどこが足りないのか」などについてです。現所属が海外だから海外で研究というだけではだめで、さきがけは国内で研究する分には、身分がどうしてもないときはさきがけ研究員としてJSTが雇ってくれるので、いろいろ理由付けが必要なようです。また、海外学振の任期が途中で来るので、異動をどう予定しているかについても書きました。

海外研究機関の研究契約担当部局 責任者の連絡先も書かないといけません。ということで、教授とも相談して所属機関の担当者に事前に連絡したのですが、数週間まった挙句に、これは大学本部の仕事だからと言われ(早くいえ。。。)、大学本部の人を紹介してもらい、いろいろ説明して、最後なんとか承諾を経て間に合いました。

Research Division – Contacts - Heidelberg University

本当は申請書の成功例をいろいろ取り寄せたり、日本の同僚らにいろいろ見てもらいたいのですが、関係者・利益相反者が多すぎて誰に送っていいのかがわかりません。。。そんなに通るもんでもないし、ご迷惑を。。。とか本当は言ってちゃいけないのでしょうが。申請直前になってなんか不安になってきたので、一人だけ見てもらったぐらいでした。

 

・創発

6月1日付でJSTで新しい事業が発足され、「創発的研究支援事業」というのが始まりました。最大7年間で最大5000万円(最初の3年は2000万円)。よくもまあ毎回新しい名前を考えてこれるな。。。

事業紹介|創発的研究支援事業|JST

本事業は、特定の課題や短期目標を設定せず、多様性と融合によって破壊的イノベーションにつながるシーズの創出を目指す「創発的研究」を推進するため、既存の枠組みにとらわれない自由で挑戦的・融合的な多様な研究を、研究者が研究に専念できる環境を確保しつつ原則7年間(途中ステージゲート審査を挟む、最大10年間)にわたり長期的に支援します。

 具体的には、大学等の研究機関における独立した又は独立が見込まれる若手を中心とする研究者からの挑戦的で多様な研究構想を募集します。また、創発的研究の実施機関は日本国内の研究機関に限定しますが、採択時に国内機関に所属していない日本国籍を有する研究者には、研究を実施する国内機関に異動するまで、研究開始を一定期間に限り保留する資格を与えることで、そのような海外機関に所属する研究者からの積極的な応募も期待しています。

破壊的ってのもすごい言葉遣いだな。。。海外での研究には使えませんが、海外にいても申請でき、「ただし日本国籍を有する研究者については、研究開始の時期を採択後最大2年間猶予します」という但し書きがついているので、採択されてから、所属先を探し始めても十分に間に合う設計です。一方、さきがけ研究員のように雇用してくれるシステムはないので、ポジションは自分で探さないといけないようです。

締め切りは7月31日。研究計画書は最初の3年だけでよく、フォーマットも同じJSTのものでほぼ一緒なので、さきがけのものを流用すればそれほど時間はかからないこともあり、併願することにしました。

全分野で200件なので、広義の生物ではどのぐらいでしょう、1/2-1/3ぐらいでしょうか。博士号取得後15年までが申請可能なので、結構な競争になりそうです。7年というのはすごく長いのでいろいろ使い勝手はよさそう。3年目の時の申請でどれだけ落とすかにもよりますが、まあ、結果は出なくともまじめにやってたら、趣旨からして普通は通すでしょう。さきがけだとどうしても分野のムラがあるので、そういう面ではいつでも出せるからいいのですが、一方で提案者と審査委員の専門のずれも大きく、分野が違う申請書を比較評価するのは難しそうです。

 さきがけの方が方向性がある程度固まっていて、その分野の専門家がそろっているので、ごまかしが効かずにプレッシャーを感じながら研究することになりそう。もちろん、いろいろ勉強にもなりそう。創発の方は各分野のイケイケの人たちが集まってくるので、本当の意味での異文化交流になりそうです。まあ、さきがけほどは、領域内でのインタラクション・相乗効果を期待するようなプログラムではないのかもしれません。どっちも採択されたら創発の方が自由でのびのびしててやりやすいかなと、餅を描いておりました。

https://twitter.com/JST_Kisokenkyu/status/1289025490246754304?s=20

https://twitter.com/JST_Kisokenkyu/status/1289025490246754304?s=20