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Wunderbarな日々

妻子連れ30代生物系ポスドクのドイツ滞在記です。

部屋探し

語学学校も落ち着いてきて、受け入れ先研究室の先生にアポをとり、ハイデルベルク大学へ行きました。何しろ初対面です。研究室をいろいろ案内していただいたところで、

「まだ語学学校中ですが、空いた時間で少しずつ研究室にも通って、研究の準備をしたいと思います。」

と挨拶すると、眉間にしわを寄せて聞いてきました。

「ところで、君、住むところは見つかったのか?」

「今探し始めたところです。」

「そうか。それじゃ研究室には来なくていいから、まずは家を探してくれ。ここハイデルベルグは住む場所が少なくてみんな苦労しているんだ。」

「いや、でもまだ二か月先のことですし、おいおい見つかればよいかなと思いまして。」

「君の100%の空き時間を使ってアパートを探した方がいいと思うぞ。」

「さいですか…」

となりました。そのあと知ったころですが、スペインから来た同僚や日本人の知り合いも結局家が見つからず、知人の知人宅を転々としたり、ユースホステルを転々としたりと、本当にここの住宅事情がひっ迫しているとのことでした。とりあえずゲストハウスにでも入れればよかったのですが、連絡を取ってみたところ長期滞在のせいか、少しも空はないよとのそっけない返事がすぐに帰ってきました。というわけで、家族で住む家探しです。

 

・不動産屋

結局これで家が決まりました。日本的なノリで街中をふらふら歩いて、ようやく不動産屋を見つけました。机といすとパソコンだけがあるような簡素なオフィスに大柄の男が一人座っていました。早速入って相談してみたところ、

「まあ、そこに座れよ。」

と幸いにも堪能な英語で言われ、ハイデルベルグの住宅事情の講義が始まりました。

「日本ではどんな風にして家を探すんだね?」

「大体は不動産屋にいって、いくつか物件を紹介してもらって、2、3個選んで内見してその中から決めます。」

「そうか。手数料はどれぐらいだい?」

「会社によっても異なりますが、大体家賃の半月分かひと月分といったところですね。」

「なるほど。ここドイツでは不動産屋を通すと、大体家賃の二か月分だ。しかも大家から不動産屋に借主を探してくれと依頼した時は大家がそれを払わなきゃいけない。だからみんな不動産屋をあまり通さず、自分で借主を探すんだ。」

「自分で探すってどうやって探すんですか?」

「前の借主が次を探してくることが多いな。あとは新聞広告とか、インターネットとかだ。」

「それはずいぶん大変ですね…。」

「なーに、心配することはないよ。ここハイデルベルグは山と川があるからな。人口のわりには住むところが慢性的に足りないんだよ。新聞広告でも出せば、普通の条件の物件なら10人ぐらいの応募者はすぐに来るよ。」

「えっ!そんなに!じゃ、そこからどうやって絞るんですか?日本だと早い者勝ちでしたけど。」

「そこが違うところだ。ここでは借主が家を選ぶんじゃなくて、家主が借主を選ぶんだ。まずは単身がいいだろ、それで長期で借りてくれる人がいいなあ。仕事はちゃんとしたところで長く働いて、ドイツ語がしゃべれる人の方がいい。ペットも楽器もなければ最高だ。」

「最後の条件以外は当てはまりません…なんだかめまいがしてきました。妻子連れで、とりあえずは二年間、フンボルト財団から奨学金もらって、ハイデルベルグ大学で働きます。その後は奨学金次第です…。ドイツ語はいま頑張って勉強中ですが…」

「それは大変だな。まあ、大学で働いているというのは悪くはないから、そこをアピールして探すんだな。」

「ええっと、、、ここでは難しいということでしょうか?」

「そうだなあ、うちでは二つぐらいは選択肢があるかな。一つは私のアパートで、家具付きのシングルルームだ。家族で住むのにはちょっと狭いが、ここに住んでゆっくり家を探してもいいんじゃないか?」

といいながら、iPadで部屋の写真を見せてくる。

「いやぁ、、、きれいですけど、できれば引っ越しは一回ですましたいですねえ、えへへへ。」

「まあ、そうだな。もう一つは私のラグビー友達がもっているアパートだ。場所は大学の近くだな。写真はどこだっけなあ、ああ、あったあった。」

「なんか機材がすごく置いてありますけど。」

「ああ、やつがキッチンを新しくするといってな、このときはまだ工事してる時だ。いまはもう終わってるんじゃないか。」

「場所は職場に近くてすごくいいですね。寝室+ダイニングのみで部屋数はちょっと少ないですが。」

「ちょっとまってくれ、こいつは確か今香港にいるからなあ。ちょっと電話して聞いてみるわ。ちょっと顔写真送るからこっち向いてくれ、よしよし」

-------------------ここから先はドイツ語で会話されたため想像になります。--------------------

「おおっ、元気か。香港は熱いだろ。」

「おおっ、おまえか。まあ、熱いけど、試合はもっと熱いぜ。どうしたんだこんな時間に。」

「おまえのとこのアパートって、もう借りる人見つかったのか?」

「いやー、まだだよ。まだ最後の工事が終わってなくてな。いろいろ忙しくてやる暇がないんだよ。」

「ならよかった。いま俺のオフィスに日本人の研究者が来ていてな、家族で住むアパートを探しているっていうんだよ。ドイツ語はしゃべれないけど、悪い奴じゃないよ。顔つきも送ったけど、そんなにわるくなかったろ?なんちゃら財団から奨学金もらってるっていうから、賢いんじゃないか?こっちのことなにもわからなくて困ってるみたいだから助けてやってよ。」

「まだ募集始めてなかったしな。お前がそういうなら悪い話じゃないんだろうよ。ちゃんと家賃は払えるんだろうな?」

「給料は2650ユーロだって。お前のところいくらだっけ?」

「家賃は光熱費別で1100ユーロにしようかなと思ってたけど、そんなもんだよな?」

「まあ、いいんじゃないか。きっと払ってくれるよ。」

「そうか、じゃあとは任せたよ。来週には帰るからな。続きはまたそのときな。じゃ、ねるわ。」

「おお、またな。」

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「よかったな。まだ空いてるってさ。」

「ああっ、ありがとうございます。」

「来週には香港から帰ってくるから、その時に家見に行こうか。」

「はい、じゃあ、よろしくお願いいたします。」

「ところで、What's up?」

「はい?とくになにもありませんが。。。」

「違うよ。WhatsAppのことだよ。こっちでは連絡はみんなWhatsAppでやるんだ。さっき友達に電話したのもこのアプリだぞ。おまえ持ってないのか?」

「ええ、まだ来たばかりでして、、、すぐにインストールして連絡取ります。」

「それがいいよ。おれの電話番号はXXXだからな。おっと電話だ、俺はそろそろ出かけなきゃいけないからな。じゃあな。」

 となって、WhatsAppで連絡をとり、次の週が下見でした。全部で6部屋ある小さな集合住宅で、大家さんが地下と1階に住んでいました。

 

・インターネット

https://www.immobilienscout24.de/

で主に探しました。物件も豊富で、頻繁に新しく登録されます。有料のオプションもいろいろあるようですが、無料でも簡単に応募できます。Hauptstr.のお店の上の物件に申し込んだところ、下記の日程で見学会やるから、と二つの日程が提示されました。競合相手はそれなりの数がいるようです。結局ほかの物件がよさそうだったので、見学にもいきませんでした。

少し離れたKirchheimの物件にも申し込んだのですが、こちらは今住んでるやつの電話番号教えるから、自分で連絡取って下見してきて。よかったらまた返事くれという放置プレイでした。住所はわかっていたので、外観だけ見に行きましたが新しそうです。閑静な住宅街で裏も公園、スーパーも近くてとなかなかよいところでした。市内までは少し時間がかかりますが。下見はしたいけど電話だと大変なので、どうしようかと思っていたところ、WhatsAppのチャット機能で連絡が付きました。確かにみんな使っているようです。つたないドイツ語で連絡をとるのですが、今週はダメ、来週もダメとのらりくらり。これも結局ほかのに決めてしまったので、部屋を見ることはありませんでした。

ほかにもすごい激安物件だと思って連絡したら、詐欺だったこともありました。英語が通じてラッキーだと思ったのになあ…危うく引っかかるところでした。今リバプールに住んでいて、親から相続したアパートなんだけど、先にお金振り込んでくれたらAirbnbを通じて金渡すわ~といかにも怪しい感じでした。メールの文面をGoogleで検索してみると出るわ出るわ…。

https://wohnungsbetrug.blogspot.de/2016/04/katherinelsmithangmailcom-alias.html

追加で写真を見せてくれた物件もありましたが、あとは連絡がなかったり、もう借主が見つかったとかでした。

 

・新聞広告

地元紙のRhein Neckar Zeitungの広告ページを探しました。略語がいっぱいですが、これもGoogleで探すとなんとか意味が分かります。

Chiffre-Antwort - Rhein Neckar Zeitung

Chiffreと書かれているのは下記のサイトで広告主とやり取りするための番号です。

Mietgesuche - Rhein Neckar Zeitung

電話はおっくうだし、メールアドレスが書いてあるものや、携帯番号が書いてあるものにSMSを送るという作戦で行きました。これも返事がないものが多かったのですが、一つKirchheimの物件からは返事がありました。手作りっぽい応募用紙のPDFが送られ、入居者情報を記入して返信すると、内見の予約となって見に行きました。大家さんもすごくよさそうな人で、3部屋もあって、家賃もお安めでした。まわりは田舎の小さな町といったところで、トラム沿線に個人商店が並んでいる感じでした。これにするか、上記の不動産屋に紹介してもらった部屋にするかで最後まで迷いましたが、いきなりの海外生活で不安も多かろうということで、少し狭いけど街中で職場に近い方を選びました。

 

・大学のWelcome Centre

Accommodations - Heidelberg University

大学のWelcomen Centreの情報は結構役に立ちました。ゲストハウスには入れませんでしたが、ほかにもどこで部屋を探せばよいかとか、いろいろ有用なリンク集もあります。

Wohnungsangebote fuer Mitarbeiter - Heidelberg University

で担当者にメールに連絡すると、広告主の連絡先が入ったPDFを入手できます。毎週1回更新されるので、日本にいる間は結構頻繁にチェックしていました。ただ、3か月先から借りたいんだけどというと、それまでには見つかってるわみたいな返事が多かったっです。

 

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部屋不足のハイデルベルクでは、部屋が空く一、二か月前からしか情報が出ないので、事前に抑えるのは難しそうです。しかも、内見できない人には貸さない感じですので、現地で知人(とか研究室の秘書とか)でもいない限りは、ゲストハウスかどこかに住んで、来てから探すしかないようです。日本人じゃなくとも部屋探しは大変みたいですし。隣町のマンハイムで事前に語学研修できたので、そういう意味ではよかったです。

借りるとなってからは、不動産屋のおじさんから契約書類が幸いにもWordファイルで送られてきました。10ページを超える代物でしたが、Google翻訳でコピペして英語に翻訳して一読しました。あとで聞いたらどこにでもある一般的なテンプレートで、僕以外誰も本当に読んでなかったようですが。。。大家さん印刷すらしてなかったし。ここは契約の国じゃなかったのか!雪かきはしろとか、大家さんが入室する際は24時間以前に通告しないといけないとか、いろいろ面白かったです。通常はいろいろ取り決めがちゃんとあるようですが、たまたま、ここの家主がおおざっぱだったんだと思います。入居してからはベビーカーを外に置くなとか、壁が汚れたとか、少しは小言がありました。まあ、今でも仲良くやっています。

本当は月の途中から借りて、家具入れて、家族を迎えるといった感じで家賃を抑えたかったのですが、月の初めからだとごり押されて仕方がなく一か月間は住む家が二つありました。その代わりに、中古家具をいろいろ大家さんにひっかき集めていただきました。まあ、そっちの方がありがたかったかな。もらいものの家具に統一性がないと妻は不満たらたらでしたが。

実は後日、不動産屋のおじさんから、そろそろ手数料の請求をしたいんだがとメールが来ました。まあ、いい部屋に住めたのでお金を支払うのはやぶさかではないが、友達の物件だから手数料はいらないかと思ってましたと素直に返信しました。すると、そうか、それはきちんと説明しないといけなかったねえ、本当はここから先はお金取るけど、それでも探すかいと確認しないといけなかったな。おれもあそこで電話したらつながってここまで話が進むと思ってなかったんだよといわれ、結局手数料はいらないよとなりました。いろいろ内見やら、契約やら付き合ってもらったのに、大家さんからも借主からもお金をもらえないのもなんだか不憫だなと思い、後日事務所を訪れて500ユーロ渡しました。不動産手数料の相場は家賃2か月分(2200ユーロ)ですから、それには及びませんが、一応お気持ちということで。

適当に歩き回って見つかった不動産屋で部屋を借りるということになったので、あまりほかの人にはお勧めできない方法ですが、まあ、人生いろいろですね。こちらの人と話していても、知り合いの知り合いの家に住んでるとか、親戚の知人のところに住んでるとか、結構不動産屋やインターネットを介さず、物件をいろいろ回しているようです。業者じゃない分、不安もありますが、それも人のつながりということで、部屋を探している方はそういう方面にもアンテナを張るとよいかもしれませんね。